2026年3月期の有価証券報告書がほぼ出そろいました。前年から平均年収を大きく伸ばした上場大手を、年収白書に掲載中の最新有報(提出会社=単体・直近期)の平均年間給与から集計すると、ネット・医薬・重工・素材・建設・海運まで幅広い業種で前年比2桁増が並びました。共通するのは「業績連動」——好決算の年は賞与が膨らみ、賞与込みの平均年間給与が跳ね上がる構図です。

集計時点:2026年7月。本記事の数値はこの時点の集計で、最新の順位は主要企業の年収ランキングで随時更新されます。

見かけの変動を除いています:出向・転籍などで単体の集計対象が変わると、実際には昇給していなくても平均が跳ねます(平均年齢や勤続年数が前年から大きく動くのが目印)。本記事は従業員1,000人以上かつ平均年齢・勤続年数が前年から±2年未満で安定した会社に絞り、「実額の上昇」だけを掲載しました(たとえば三菱地所は+30.5%ですが勤続が2年以上伸びており構成変化とみて除外)。

平均年収が上がった大手 TOP14(2026年3月期・前年比)

企業 業種 前年 今回 前年比
ZOZO 小売業 656万円 856万円 +30.5%
住友ファーマ 医薬品 713万円 906万円 +27.0%
ディー・エヌ・エー(DeNA) サービス業 883万円 1,118万円 +26.6%
IHI 機械 813万円 1,001万円 +23.0%
レイズネクスト 建設業 831万円 975万円 +17.3%
住友化学 化学 818万円 959万円 +17.1%
東急建設 建設業 889万円 1,028万円 +15.6%
商船三井 海運業 1,437万円 1,660万円 +15.5%
川崎重工業 輸送用機器 793万円 910万円 +14.8%
ツムラ 医薬品 795万円 911万円 +14.6%
大阪ガス 電気・ガス業 738万円 846万円 +14.6%
王将フードサービス 小売業 579万円 662万円 +14.4%
山九 陸運業 641万円 731万円 +14.0%
三機工業 建設業 1,078万円 1,228万円 +13.9%

ネット・サービスと医薬が上位

首位はZOZOの+30.5%(856万円)。ディー・エヌ・エーも+26.6%で1,118万円と、ネット系が好業績を賞与に反映しました。医薬では住友ファーマが業績の底打ちで+27.0%、漢方のツムラも+14.6%。いずれも従業員1,000人超・年齢や勤続は前年からほぼ横ばいで、サービス業医薬品としても実額の伸びです。

重工・機械・素材

防衛・航空エンジン需要を追い風にIHIが+23.0%で1,000万円台に到達。川崎重工業も+14.8%(従業員1.5万人規模)、三井E&Sオルガノも2桁増でした。素材では住友化学が市況回復で+17.1%。機械化学は業績連動が効きやすい業種です。

建設・海運・インフラ

建設は人手不足下の賃上げと好採算工事を背景に、東急建設+15.6%、レイズネクスト+17.3%、三機工業+13.9%と設備・ゼネコンが揃って上昇。海運は運賃市況に連動し商船三井が+15.5%で1,660万円(海運業のランキング)。ほかに大阪ガス、物流の山九、外食の王将フードサービスも2桁増でした。

「上がった=良い会社」と単純化しない

伸びた会社を並べたうえで、読み方の注意も書いておきます。

平均年間給与は基準外賃金(残業代など)と賞与を含みます(平均年間給与の中身)。業績連動が強い業種ほど、良い年は大きく跳ね、市況が緩めば翌年は下がります。今回の海運や素材、ネット系の高さも、来期に反落する可能性があります。「前年比が大きい=恒常的に給料が高い」とは限りません。

また有報の平均年間給与は提出会社(単体)の数値で、社内の分布(若手と管理職の差)は表れません。持株会社では単体が少人数で実態と乖離するため、本記事は従業員数の多い大手に絞っています。数字の読み方は平均年収データの正しい見方、高さの落とし穴は「平均年収が高い会社=良い会社」かもあわせてどうぞ。

まとめ

  • 2026年3月期はネット・医薬・重工・素材・建設・海運と幅広い業種で、大手の平均年収が前年比2桁増
  • トップはZOZO+30.5%・住友ファーマ+27.0%・DeNA+26.6%・IHI+23.0%
  • 背景は業績連動の賞与。良い年は大きく上がるが、市況次第で下がることもある
  • 出向・転籍などによる見かけの上昇は除外し、実額の伸びだけを掲載

データの詳しい集計方法は年収白書についてをご覧ください。最新の順位は主要企業の年収ランキングで随時更新しています。