2023年3月期から、上場企業は有価証券報告書で女性管理職比率・男性育児休業取得率・男女の賃金の差異を開示しています。年収白書では従業員300人以上の開示企業を集計し、業種ごとの中央値を出しました。全業種の中央値は、女性管理職比率6.4%、男性育休取得率75.0%、男女の賃金差69.7%(女性の賃金が男性の何%か)。同じ会社でも指標によって得意・不得意があり、業種ごとの傾向もはっきり分かれます。
集計時点:2026年6月。本記事の数値はこの時点の集計です。最新の中央値・社数は、記事内のリンク先(業種別の多様性比較や各ランキング)で随時更新されます。
3つの指標が示すもの
- 女性管理職比率:管理職に占める女性の割合。全業種の中央値は6.4%(1,705社)
- 男性育休取得率:男性の育児休業取得率。事業年度内の取得換算のため100%を超えることがあります。中央値は75.0%(1,743社)
- 男女の賃金差:女性の賃金を男性=100としたときの割合。100%で同水準、低いほど差が大きい。中央値は69.7%(1,784社)
いずれも外れ値(小サンプルの極端値)に引っ張られないよう、平均ではなく中央値で見ています。33業種すべての横並びは業種別の多様性比較にまとめました。
女性管理職比率が高い業種・低い業種
中央値が高いのは空運業23.7%、その他金融業17.4%、サービス業15.8%。低いのは鉄鋼1.9%、建設業2.8%、金属製品2.8%でした。重工業・素材系は管理職に占める女性比率が低く、空運やサービスは高い、という人員構成の違いがそのまま出ています。企業ごとの順位は女性管理職比率ランキングへ。
男性育休取得率が高い業種・低い業種
中央値が高いのは銀行業100%、鉱業100%、空運業93.8%。低いのは倉庫・運輸関連50%、金属製品63.3%、鉄鋼63.6%。銀行をはじめ制度整備が進んだ業種は中央値が100%に達します(事業年度内の取得換算のため、100%超になる企業もあります)。企業ごとの順位は男性育休取得率ランキングへ。
男女の賃金差が小さい業種・大きい業種
女性の賃金割合が高い(=差が小さい)のは情報・通信業77.8%、鉄鋼74.7%、医薬品74.5%。割合が低い(=差が大きい)のは空運業48.7%、銀行業53.4%、水産・農林業59.1%でした。企業ごとの順位は男女賃金差ランキングへ。
数値の読み方——「差」は差別の大きさではない
ここで注意したいのが、賃金差は同一労働での男女差を示すものではないことです。象徴的なのが空運業で、女性管理職比率は全業種で最も高い(23.7%)のに、男女の賃金差は最も大きい(48.7%)。これは客室乗務員など女性が多い職種と、相対的に賃金の高い職種・職階の構成差が反映された結果で、「女性を差別している」と読むのは誤りです。銀行業も、男性育休は中央値100%なのに賃金差は大きめに出ます。
つまりこれらの指標は、職階・勤続年数・職種構成といった人員構成の違いを多分に含みます。単独の数字で会社や業種を断じず、業種の中での位置づけや複数指標を合わせて見るのが正しい使い方です。だからこそ、外れ値に強い中央値で業種別に横並び比較できるようにしています。
開示対象は原則として常用労働者301人以上の企業で、出典はすべて各社の有価証券報告書(提出会社=単体)です。集計方法の詳細はデータについてをご覧ください。平均年収そのものの業種比較は業種別の平均年収ランキングも参考になります。