【国内初】レベル4自動運転サービス向け「アフターサービスパッケージ」の提供開始

損害保険ジャパン株式会社のプレスリリース

 損害保険ジャパン株式会社(代表取締役社長:白川 儀一、以下「損保ジャパン」)は、ヤマハ発動機株式会社(代表取締役社長:日髙 祥博、以下「ヤマハ発動機」)と株式会社ティアフォー (代表取締役社長:武田 一哉、以下「ティアフォー」)との合弁会社となる株式会社eve autonomy (代表取締役 CEO:米光 正典、以下「eve autonomy」) が、11月30日から本格展開する自動搬送サービス「eve auto」※1に、「自動運転システム提供者専用保険」※2の提供と保険の付帯サービスとなる「自動運転専用の事故トラブル連絡窓口」の本格稼働とともに、新たに事故防止を支援する「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」を加え、レベル4※3以上の自動運転サービス向け「アフターサービスパッケージ(以下「ASP」)」※4の提供を開始しました。

 ASPは、自動運転の導入前から導入後も継続して安心・安全を支える保険と技術を融合させたインシュアテックソリューションをパッケージ化し、eve autonomyがサブスクリプション型※5で提供するサービスの一つに組み込まれて提供されます。
 なお、「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」の試験提供と、このソリューションも組み込んだ「レベル4自動運転サービスを導入前から導入後も継続的に支える保険サービスの仕組み」は、国内初の取り組みとなります。(損保ジャパン調べ)。

1.新たに提供する「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」
 自動運転車の安全な走行・運用に向け、リスク評価と安全対策に関し、導入前から導入後も継続して支援することで事故防止につなげるソリューションです。損保ジャパンがこれまで提供してきたリスクアセスメントは、手動運転を前提とするリスク評価をもとにし、走行現地に赴いてリスク調査を行なってきました。これまで国内で100を超える自動運転の実証実験に参加するなかで、自動運転の導入を検討する多くの関係者から「自動運転という新たな技術への評価」と「現地調査に係る負荷の軽減」への要望を受けています。従来の手動運転からシステムが制御する自動運転への変化にともない、自動運転固有の新たなリスクに対する評価手法を整える必要があるうえに、自動運転の安全性を高めるために保険会社が有する事故データや対応ノウハウを活かしたリスクアセスメントへの期待は高まっています。一方で、自動運転に対応するリスク調査員の増強は、「新たなテクノロジー領域の知見」が求められることと併せて「今後加速的な普及」への準備が必要となるため、保険会社としての大きな課題となることが想定されます。
 この課題に対し、損保ジャパンは2020年より国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の委託を受け、名古屋大学(総長:杉山 直) 、株式会社マップフォー(代表取締役社長:橘川 雄樹、以下「マップフォー」)および 株式会社 Human Dataware Lab. (代表取締役社長:大谷 健登、以下「Human Dataware Lab.」) とともに 「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」の研究開発を進めてきました。
 この研究開発では、独自のSLAM※6技術を活用した高精度な地図作成技術と自動運転車両の位置推定や環境認識に用いられるLiDAR※7のセンシング範囲を可視化する技術をマップフォーが、自動走行時のカメラやLiDARの情報からリスクシーンを抽出し、その判断根拠を言語化する技術を名古屋大学(武田 一哉研究室、武田 浩一研究室)がそれぞれ担当しました。さらに、これらの研究成果を、Human Dataware Lab.がAI・信号処理技術を活用してシステム化し、損保ジャパンが蓄積する事故データと融合することで、この「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」の開発※8に成功しました。
 今般本格展開するeve autonomyの自動搬送サービスには、マップフォーが開発する高精度三次元地図作成ソフトウェアであるMAP Ⅳ Engineを用いた高精度三次元地図および位置推定評価手法が採用されています。この自動搬送サービスの導入準備となる三次元地図作成と併せて「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」を実施することで、自動運転固有のリスクを包含した評価レポートの速やかな作成が可能となり、eve autonomyが進める安全な自動運転導入に向けた準備をサポートします。

2.今後の展開
 労働力不足の解決や事故削減などの課題解決につながる技術として期待が高いいっぽうで、自動運転の導入にあたっては、金銭面や準備期間にかかるコスト負担のみならず、新たな技術へのリスク対策も課題となります。
 損保ジャパンは、産官学連携の研究に積極的に参加し、事故に関するデータや対応ノウハウなどを融合させることで、研究の発展に貢献しています。同時に、自らも研究開発に加わり、新たなリスクや求められる役割を早期に把握することで、研究成果を組み込んだインシュアテックソリューションの開発と社会実装を進め、安心・安全な自動運転社会の早期実現に貢献します。

(今回ASPを提供するヤマハ発動機とティアフォーとの合弁会社eve autonomyが提供する「eve auto」)
屋内外の環境を含む、閉鎖空間における搬送の自動化ニーズに対応できるように開発された自動搬送サービス。 

(自動運転デジタルリスクアセスメントのイメージ)
自動運転に使われる高精度三次元地図の作成過程において、車載カメラとLiDARのデータを同時に処理するとともに、AIを活用して状況を文字としてテキスト化する技術を活用して「自動運転デジタルリスクアセスメント」を実施。
手動運転の視覚とは異なる「自動運転の視覚」(センシング)など、自動運転固有のリスクを評価に反映させる。

※1 自動搬送サービス「eve auto」
https://eveautonomy.com/services/

※2 「自動運転システム提供者専用保険」
ニュースリリース
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2021/20220204_1.pdf

※3 自動運転レベル4
特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施する自動運転レベル

※4 ASP
ASPに含まれる保険は、まず自動運転システム 「Autoware」の開発を主導するティアフォーへ提供し、eve autonomyが展開する自動搬送サービス「eve auto」に適用します。当面の間、2 社による自動運転サービスの実装とともに、レベル 4 自動運転向けの保険・サービスの検証を行います。将来的には、本自動運転サービスの多方面への展開を目指 します。

※5 サブスクリプション型
定期的に料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができるビジネスモデル

※6 SLAM
「Simultaneous Localization and Mapping」の略。移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術の総称

※7 LiDAR
「Light Detection and Ranging」の略。レーザーを対象物に照射し、散乱光を測定することにより、対象物までの距離や性質を取得する技術

※8 「 AI 技術を活用した自動運転向けデジタルリスクアセスメント 」の開発
NEDO事業「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」の委託を受け、名古屋大学が進める「判断根拠を言語化する人工知能の研究開発」において、名古屋大学から損保ジャパンが事業主体として再委託された研究開発

以上

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