2021年の市場見通し:ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの調査結果によると、機関投資家はリスクの高まりを想定してディフェンシブなポートフォリオを構築

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社のプレスリリース

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは本日、アジア、欧州、北米、中南米、中東の500を上回る機関投資家(企業・公的年金基金、財団・基金、保険会社、政府系ファンド等を含む)を対象に行った最新の調査結果を発表しました。主な調査結果は以下の通りです。

  • 機関投資家の約8割は市場が世界的なパンデミックによる長期的な影響を過小評価していると答えており、2022年までに景気が完全に回復すると予想する機関投資家は全体の2割のみ
  • 機関投資家は2021年に向けてディフェンシブな姿勢をとっており、株式投資の分散化、グロース株よりもバリュー株を選好、プライベートエクイティやプライベートデットの一段の活用を重視した資産配分を実践
  • ボラティリティ、政治的な緊張、社会不安の高まりを予想しており、コロナ危機への財政・金融政策対応の結果、今後はマイナス金利、増税、その他の積極的な財政・金融政策の副作用が長期的に大きなリスクになると見ている

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが本日発表した最新の調査結果によると、世界の機関投資家は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックによる長期的な影響を市場が過小評価していると懸念しており、2021年に向けて慎重な見方をしていることが判明しました。

企業・公的年金基金、保険会社、政府系ファンド、財団・基金など合計で13.5兆ドルを超える運用資産を有する世界の500超の機関投資家を対象に行った調査では、回復に関する見通しは好悪まちまちであることが明らかになりました。調査対象となった世界の機関投資家の8割が、少なくとも2022年まではGDP成長率がコロナ前の水準に戻ることはないと予想しており、このうち35%がコロナ前の水準を回復するのは2023年以降になる可能性があると見ています。さらに、回答者の8割近くは株式市場が現在の上昇ペースを維持することは難しいとしています。この結果、世界の機関投資家の半数以上(53%)が2021年にはディフェンシブなポートフォリオがアウトパフォームすると予想しています。

パンデミックがもたらした不透明感は、予想リターンにも悪影響をもたらしており、機関投資家の長期的な平均予想リターンは2020年の水準を60ベーシスポイント下回る6.3%となっています。現在の低金利環境からより大きな影響を受ける保険会社は更に大幅な修正を行っています。保険会社の長期的な平均予想リターンは2020年の6.5%から2021年には5.5%へと、100ベーシスポイント下方修正されており、2017年への予想水準が7.7%だったことと比較すると、大幅な下落を記録しています。

2021年もポートフォリオの資産クラス別の大まかな配分はほとんど変わらない見込みで、機関投資家は株式への配分は36%、債券は40%、オルタナティブ資産は17%、キャッシュは6%と予想しています。しかし、資産クラス内では戦術的な調整が行われており、2021年に計画されている資産配分の見直しで特に注目されるものは以下の通りです: 

  • 32%の機関投資家が米国株式への配分を引き下げる一方で、32%がアジア・太平洋、31%が欧州、31%が新興国市場の株式へのエクスポージャーを引き上げると予想
  • 全体の19%の機関投資家が国債へのエクスポージャーを引き下げる一方で、30%が投資適格社債への配分を引き上げると予想。グリーンボンドに対する確信度は高く、グリーンボンドを保有していると答えた48%の回答者のうち、47%が配分を引き上げると予想
  • オルタナティブ戦略の範囲を広げ、47%の機関投資家がプライベートデットへの配分を引き上げる考えで、また40%はインフラ、38%はプライベートエクイティへのエクスポージャーを引き上げると予想

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの北アジア代表を務める加藤欣司は、次のように述べています。「パンデミック、政局、世界経済が転換点を迎えるなか、機関投資家は短期的なボラティリティの高まりに備えるとともに、大規模な財政、金融政策の長期的な影響を予想しています。投資家の慎重な見通しは、パンデミックによる経済への打撃を緩和するために採用された異例の政策対応が今後もたらす悪影響への強い懸念を反映しています。しかしながら、同時に機関投資家はアクティブ運用、思慮深いポートフォリオ配分、分散化を通じてバリューを見出す機会が存在することも認識しています。」

ディフェンシブなポートフォリオの構築
今後1年間では、58%の機関投資家が、バリュー株がグロース株をアウトパフォームし、また、53%の機関投資家は大型株が小型株をアウトパフォームすると予想しています。52%の機関投資家は、新興国市場が先進国市場をアウトパフォームすると見ていますが、大部分(86%)の機関投資家は新興国市場への投資機会に際してはより選別色を強める必要があるという見方で一致しています。

一方、増大した巨大IT企業の規模や影響力への政治的圧力の高まりにもかかわらず、66%がテクノロジー・セクターは2021年にアウトパフォームすると予想しています。これらの機関投資家は、2021年にはITとヘルスケアの堅調なパフォーマンスを見込む一方で、エネルギー、不動産、一般消費財、金融の各セクターはアンダーパフォームすると考えています。

多くの機関投資家は、株式市場(44%)、不動産セクター(41%)、テクノロジー・セクター(39%)、債券市場(29%)の調整は必至と考えています。リスク管理を目的に、8割超の回答者が株式のファクターの分散化が重要な要素になるとしており、71%の機関投資家は相場の下落に備えるためであれば同業他社をアンダーパフォームすることも辞さないと回答しています。

2021年の見通しを形作る主な要因
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの調査により、機関投資家による今後1年間の見通しを形作るいくつかの重要な要因が明らかになりました。
 

  1. 金融政策の影響:78%の機関投資家は、中央銀行の政策に比べれば選挙の結果による市場への影響は小さいと考えています。また、78%の機関投資家は再び深刻な下落局面に陥った場合には中央銀行が市場を下支えることに信頼を置いていますが、利下げや政府による財政刺激策を含めた政策措置は増税につながり(65%)、金融危機に直面するリスクを高め(53%)、将来の危機に対応する政府の余力を減じた(53%)と考えています。
  2. 政治的な不透明感への対応:英国のEU離脱の決定とトランプ大統領の就任以降の4年間、世界的な政局の不透明感が市場を揺るがせてきました。回答者の8割が、現在の政治情勢を踏まえるとポピュリスト的な政策をとる政治家が増えるとの見方で一致しており、77%の機関投資家は社会不安の高まりが続くと考えています。また、69%の機関投資家が地政学的な緊張は高まると予想しています。
  3. 社会的なリスクが高まると市場リスクも増大:2021年のポートフォリオへのリスクとして最も懸念される要因はマイナス金利(53%)で、82%の機関投資家が低金利により市場のバリュエーションにひずみが生じていると回答しています。半数以上(53%)の機関投資家が2021年にはマイナス利回りとなる債券が増えると予想しています。同時に、半数超(52%)の機関投資家がポートフォリオの最大のリスクとしてボラティリティを挙げており、特に65%の機関投資家が、来年は株式市場のボラティリティが上昇すると予想し、55%の機関投資家は為替のボラティリティの上昇を予想しています。71%が機関投資家は利回り追求のためにリスクを取りすぎていると考えています。
  4. 高ボラティリティ下での投資機会:ボラティリティの上昇が予想されるなかで1つの明るい材料は、2021年にはさまざまな投資対象のパフォーマンスに乖離が生じ分散効果が高まると見られることで、これによりベンチマークをアウトパフォームする機会がもたらされる可能性があります。79%の機関投資家は、2021年の市場環境はアクティブ運用に有利なものになるとの見方で一致しており、67%の機関投資家は、アクティブ運用がアウトパフォームすると考えています。
  5. パッシブ運用も軽視できない:58%の機関投資家は、パッシブ運用の拡大により市場ではファンダメンタルズが軽視されるようになったと考えています。また、71%の機関投資家はインデックスファンドの大量の資金流出入が市場のボラティリティの上昇を助長する結果となっており、この資金動向が個人投資家の動きを主に反映しているという観点では、63%の機関投資家が個人投資家の動向は市場にとって有益な価格シグナルにはならないと考えています。
  6. プライベートエクイティとプライベートデットが強力な代替資産に:69%の機関投資家が、今後ポートフォリオにおけるプライベート資産の重要性は高まるとしています。しかし、44%の機関投資家が、流動性リスクを最大の懸念材料として挙げており、61%の機関投資家は、あまりに多くの資金が限定的なプライベート市場に流入していると危惧しています。80%の機関投資家が現行の手数料規定は全般に高すぎると感じており、25%の機関投資家は今後手数料が引き上げられることを懸念しています。42%の機関投資家は、手数料を抑制するためにプライベート案件への直接投資を検討しています。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが実施した調査結果の全文は以下のリンクよりご覧いただけます。
https://www.im.natixis.com/intl/research/institutional-investor-survey-2021-outlook
 
調査方法
ナティクシスは、500名の機関投資家を対象に、アジア、欧州、北米、中南米、中東の企業年金、公的年金基金、財団、各種基金、保険会社、政府系ファンドなどの運用担当者に回答を求めました。回答は、英国の金融調査会社CoreData社により、米大統領選挙をまたぐ、2020年10月~11月に集計されました。

ナティクシス・インベストメント・インスティチュートについて
ナティクシス・インベストメント・インスティチュートは、Active Thinking®のもと、投資をとりまく環境を形づくる重要な問題に対する様々な考察を行っています。同機関は世界中で、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの投資家心理、マクロ経済、ポートフォリオ構築の分野における専門知識や運用子会社およびグループ外の専門家による独自の見解など、幅広い知見を集約させています。全方位からの市場見解や投資トレンドの洞察に満ちた分析を提供することで、問題に関する議論をより根拠のあるものとすることを目的としています。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ポートフォリオ構築に対する鋭い洞察力に裏付けられたアプローチを通じて金融プロフェッショナルにサービスを提供しています。世界の20社を超える投資運用会社の専門能力を結集して、Active Thinking®のもと、あらゆる市場でより良い成果を追求するお客様をサポートする先見的なソリューションを提供しています。ナティクシスは世界トップクラスの資産運用会社のひとつ(1)で、運用資産総額(2)は1.1兆ドル超(9,100億ユーロ)に達します。

パリとボストンに本社を置くナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの子会社です。パリ証券取引所に上場しているナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社です。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連資産運用会社は次の会社が含まれます。AEW; Alliance Entreprendre; AlphaSimplex Group; DNCA Investments;(3) Dorval Asset Management; Flexstone Partners; Gateway Investment Advisers; H2O Asset Management; Harris Associates; Investors Mutual Limited; Loomis, Sayles & Company; Mirova; MV Credit; Naxicap Partners; Ossiam; Ostrum Asset Management; Seeyond; Seventure Partners; Thematics Asset Management; Vauban Infrastructure Partners; Vaughan Nelson Investment Management; Vega Investment Managers;(4) and WCM Investment Management。 投資ソリューションは、ナティクシス・アドバイザーズおよびナティクシス・インベスト・ソリューションを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com )およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシス・ディストリビューションL.P.ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。ナティクシス・ディストリビューションL.P.は、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社がアドバイザリー・サービスを提供するさまざまな米国登録投資運用会社のための限定目的のブローカー・ディーラーおよび関連サービス会社です。

  1. Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2020によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2019年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第17位となっております。
  2. AUMは2020年9月末現在の数値(1兆673億ドル)。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数持分関連会社の資産、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社が資産運用サービスを提供しているその他の規制対象外のAUMが含まれている可能性があります。
  3. DNCA Financeのブランド。
  4. ナティクシス・ウェルス・マネジメントの完全子会社。

本文書に含まれる情報は情報提供のみを目的とするものであり、金融商品やサービスの販売および勧誘を目的とするものではありません。本文書の記載内容、データ等は作成時点等のものであり、今後予告なしに変更することがあります。また、本文書は翻訳、作成された資料であり、内容については原文(英語)が優先します。

 

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