犬の腸内環境が多様なほど、健康度が高いことが明らかに!

アニコム ホールディングス株式会社のプレスリリース

アニコム ホールディングス株式会社(代表取締役 小森 伸昭)は、2016年からペットの腸内フローラに関する調査・研究を開始し、「腸内フローラ×健康」の関係性について分析を行ってまいりました。この調査を通じて、この度「犬の腸内環境の多様性※1が高いほど健康度※2が高い」ということが明らかになりましたので、お知らせいたします。また、腸内環境の多様性は先天的な要素のみに依存するわけではなく、後天的な要素によっても変化するという結果も得られましたので、あわせてご紹介いたします。

(N=76,540/対象期間:2019年7月~2022年4月)(N=76,540/対象期間:2019年7月~2022年4月)


 

  • ​「腸内環境が多様なほど健康度が高い」のは、犬種や年齢ごとに分解しても同様の傾向

(N=76,540/対象期間:2019年7月~2022年4月)(N=76,540/対象期間:2019年7月~2022年4月)

「犬の腸内環境の多様性が高いほど健康度が高い」という結果は、アニコム損保のペット保険における5つの犬種クラス(A~Eクラス)いずれについても同様の結果となりました。例えば、トイ・プードルなどを含む犬種クラスBの場合、多様度がもっとも高い5.0~6.0のグループ(42.4%)は、もっとも低い2.0~3.0のグループ(24.2%)に比べ、健康度が約1.8倍も高いことがわかりました。

また、犬種ごとや年齢ごとでの分析においても、同様の傾向が見てとれました。
 

(N=23,152/対象期間:2018年12月~2022年3月)(N=23,152/対象期間:2018年12月~2022年3月)

(N=35,627/対象期間:2018年12月~2022年3月) (N=35,627/対象期間:2018年12月~2022年3月) 

これらの結果から、今回調査した犬種や年齢に限らず、「どんな犬種・年齢においても、腸内環境と健康には相関関係があるのではないか」ということが考えられます。また、今後さらなる調査・研究を進める必要はありますが、「腸内にいろいろな種類の菌をバランス良く生息させることが、犬の健康につながる」ということも、将来的に言えるかもしれません。

 

  • 後天的な要素でも腸内環境の多様性は変化する

同じく犬において、0歳・1歳・2歳のそれぞれの時点における腸内環境を調査しました。調査では0歳時の犬を腸内環境の多様性により4つのグループに分け、それぞれのグループの加齢による腸内環境の変化を追いました。

(2.0-3.0のグループ:N=252、3.0-4.0のグループ:N=2,204、4.0-5.0のグループ:N=1,420、5.0-6.0のグループ:N=433。いずれも0歳から3回測定した犬、全品種/対象期間:2018年12月~2022年3月)(2.0-3.0のグループ:N=252、3.0-4.0のグループ:N=2,204、4.0-5.0のグループ:N=1,420、5.0-6.0のグループ:N=433。いずれも0歳から3回測定した犬、全品種/対象期間:2018年12月~2022年3月)

その結果、全てのグループで、加齢とともに多様性のばらつきが大きくなることがわかりました。0歳時に「最も低い」グループと判定されても、1・2歳の時には「高い」「最も高い」グループと同じ水準まで腸内環境の多様性が高まる場合や、その逆もありました。つまり、健康度は先天的な要素(犬種など遺伝的に決まっているもの)のみで決まっているわけではなく、後天的な要素(フードや環境、生活習慣など)によっても変化するものであり、腸内環境を改善することでペットの健康度を高められる可能性があることを示しています。
 

  • ​ペットの健康度を高めるために必要なものとは

そもそも遺伝子には、生命がどのように環境変化に応答して生き抜いていくか、そのための手段が書かれています。地球上にはわかっているだけでも約27万種の植物※3や、約137万種の動物※4、細菌に至っては多すぎてわからない程の数※5の、多種多様な生命が存在しています。これらはみなそれぞれの環境に応答し、それぞれの地域で種を存続させてきました。
ただし人間だけは、一属一種で地球上のあらゆる地域に生息している、非常に特殊な生命です。平地にも山にも住居を構え、海を渡り、寒冷な大地から熱帯の森まで、世界中のあらゆる場所で生活しています。こうした多種多様な環境に応答する必要があったことに加えて、人間の歴史の中での学びを通じ、近親者間の婚姻を禁止する法令等も各国でいきわたっていることから、非常に高い遺伝的多様性を獲得してきました。その上人間は、その日の体調等にあわせて自分自身で日々多様な食事を選び、自分の健康と向き合いながら生活しています。
一方、犬猫をはじめとするペットは、人間がインブリーディング(近しい血縁関係での交配)を繰り返すことで生み出してきました。その結果として遺伝子の多様性が低下し、環境変化に応答して生き抜くための多様なプログラムも減ってしまった状態にあると言えます。この状態を改善する鍵になるのが“後天的要因”、つまり多様なフードを含めた環境です。季節に応じた・あるいは自然に近い食材を与えるなどしてペットの腸内環境の多様性を高めることが、ペットの健康度を高めることにつながると考えています。

今回の調査により、「犬の腸内環境の多様性が高いほど健康度が高い」こと、またその多様性は犬種などの先天的な要素だけでなく、フードや環境といった後天的な要素にも左右されることが明らかになりました。つまり、腸内にいろいろな種類の菌がバランス良く生きられる環境を作ってあげることが、ペットの健康につながる可能性があると言えます。
ただし、ペットの環境はペット自身が変えることはできません。飼い主である人間が、普段から自身の健康と向き合っているように、ペットの健康とも向き合うことが重要です。アニコムグループでは、ペットの健康を飼い主が守れるようにサポートするとともに、今後もペット保険を通じて蓄積してきたデータと腸内フローラ測定結果、遺伝子検査の結果などを活用し、どうぶつの病気を未然に防ぐ「予防型保険会社グループ」として、「予防」に関する取り組みを進めてまいります。

※1 腸内環境の多様性:「Shannon Index」という指標を用いて表現した腸内細菌の多様性をいいます。
※2 健康度:本稿では、対象となる保険契約のうち保険金請求のなかった契約の割合を「健康度」と表しています。個々のどうぶつと疾病との関係を示すものではありません。(集計対象契約:対象期間中にペット保険の付帯サービスである『どうぶつ健活(腸内フローラ測定):https://www.anicom-sompo.co.jp/special/doubutsu_kenkatsu/』を実施した0~3歳のどうぶつを対象とし、特定の傷病(骨折、誤飲)による保険金請求があったどうぶつは除外しています。)
※3環境省編『平成20年版環境循環型社会白書』より
※4NIKKEI STYLEライフコラム 子どもの学び『地球上に動物は全部で何種類いるの?』(2016/7/5)より
※5東京薬科大学 学科紹介 応用生命科学科 豆知識 微生物の数より

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