大阪本社移転に伴う短納期・専門性を要するプロジェクトにおいて、AIを主軸とした開発プロセスにより、人間による手書き実装コードのコーディング0%と安定稼働を達成
チームシロッコ合同会社のプレスリリース
チームシロッコ合同会社(本社:神奈川県川崎市多摩区、代表執行役員社長(代表社員):谷口 有近、以下「チームシロッコ」)は、株式会社堂島取引所(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:柴野 弘憲、以下「堂島取引所」)が大阪本社の移転に伴い開発した市況情報表示システムについて、当社のAI開発支援が採用され、同システムの運用が開始されたことをお知らせします。
本プロジェクトでは、その特性上、金融商品の市況情報やシステムの連続稼働に関する高い専門性を必要とします。今回、短納期かつユーザーの意向を汲み取る際の要求水準も高い状況で、AIによる開発を主軸とした開発プロセスを採用し、人間による手書き実装コードのコーディング0%を達成し、安定稼働を実現しました。チームシロッコが有する金融向け業務システム開発・運用の知見と、当社の完全子会社である株式会社あってなR&D(本社:神奈川県川崎市多摩区、代表取締役社長:谷口 有近、以下「あってなR&D」)における業務システム向けAI開発の研究・ノウハウを組み合わせることで、ユーザーの期待に高い水準で応える挑戦的なプロジェクト推進を実現し、短納期でのシステム構築と、運用開始後の安定性を両立しました。


開発の背景
堂島取引所の起源は、江戸中期の堂島米市場にあります。堂島米市場では、米の現物取引に加え、現在の先物取引につながる制度や慣行が形成され、現代の取引所の礎となる仕組みが整えられてきました。
このように、新しい市場や制度を切り開いてきた歴史を持つ堂島取引所にとって、AIを活用した新しい開発プロセスへの挑戦は、単なる技術導入ではなく、変化を前向きに取り込む姿勢の延長線上にある取り組みでした。
一方、本件は大阪本社移転の日程が概ね決定した後に発案されたプロジェクトであり、移転までの限られた期間内に、市況情報を表示するためのシステムを開発し、運用開始できる状態に整える必要がありました。
そのため、堂島取引所は、短納期に対応できる開発力に加え、金融商品・市場情報・業務運用に関する前提知識を有する支援会社を求めていました。
採用の理由
金融商品や市場情報に関わるシステムでは、単に画面や機能を実装するだけでは不十分です。情報の見せ方、更新の考え方、運用時の扱いやすさ、障害時の備え、開発コストと機能の実益の観点でのバランス確保など、業務上求められる基本的な作法や、利用者が当然に期待するUXがあります。
これらは専門性が高く、開発会社に一から説明するには大きな負担が発生します。特に短納期プロジェクトでは、要件を聞き取るだけの支援や、AIを単なる作業オペレーターとして使うだけの開発プロセスでは、十分な速度と品質を両立することが困難です。
チームシロッコは、証券取引システムのエンジニア経験を持つ代表が2015年に設立した会社です。金融向け業務システムの開発・運用、システムリスク・マネジメント、セキュリティ、クラウド活用を軸に、東証グロース上場企業向け金融商品管理システムや、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のDX認定制度システムの開発・運営などを支援してきました。
堂島取引所は、こうした金融業務への理解と、少数精鋭で小回りの利く開発体制を評価し、本プロジェクトの開発支援先としてチームシロッコを採用しました。
AIを主軸とした開発プロセス
本プロジェクトでは、AIを単なるコード生成ツールとして扱うのではなく、システム概要設計やフィード情報加工などの設計、実装、レビュー、改善のサイクル全体に組み込む開発プロセスを採用しました。
人間は、業務要件の整理、設計判断、AIへの指示設計、成果物のレビュー、品質確認、運用向け判断の取捨選択に集中し、実装コードの作成はAIを主軸として実施しました。その結果、人間による手書き実装コードのコーディング0%を達成しています。
この取り組みでは、チームシロッコが有する金融向け業務システム開発の知見に加え、完全子会社であるあってなR&Dにおける業務システムAI開発の研究成果を活用しました。
AIによる開発は、業務知識を持たない状態で行えば、単なる出力の高速化にとどまります。しかし、業務の制約、運用現場の事情、システムの安全性、金融領域における基本的な作法を理解したうえでAIを活用することで、短納期でありながら実運用に耐えるシステム構築が可能になります。
開発成果
本プロジェクトは、日程調整の自由度が少ない御社の移転計画と歩調をあわせることが期待される限られた時間制約のなかで進行しました。当初からAIによる試験実装と人間による仕様整理を同時並行で進めることで、システム稼働に必要な最低限の機能を備えた根幹部分の実装について、約10営業日で目処を立てることができました。
これにより、残りの期間をUIの調整・拡充、表示内容や運用性の改善、管理システムの操作性向上、非機能要件の拡充(遠隔管理操作、自動メンテナンス・バックアップ機能)に充てることができました。
また、単に短期間で開発するだけでなく、堂島取引所が自社で運用することを前提に、運用現場の都合を踏まえた設計を行いました。業務とシステムの双方を深く理解したうえで構築されたシステムであるため、今後の表示内容や運用要件の変化にも柔軟に対応しやすく、日常的なメンテナンス負荷を抑えた安定動作を実現しています。

株式会社堂島取引所 代表取締役社長 柴野 弘憲氏 コメント

AI開発で誰にでもシステム化の道が開けるという意見もありますが、専門性の高い業務では、決して簡単ではないと考えています。“AIでは出来ない”のではなく、“AI能力を引き出せない”のでしょう。
今回、チームシロッコ合同会社による支援で、株式会社堂島取引所の希望が実現できたのも、AIを活用できるだけの『業務への理解』が根付いていたからだと感じています。特に、短期間でユーザーの意向を汲み取り、細かな補正対応まで行いながら形にしていく開発対応は、従来の開発常識を超えるものだったと思います。
正直なところ、一定の期間と予算を確保すれば、既製品にカスタマイズを加える形でも実現は可能だったかもしれません。しかし、今回評価すべきは、期間とコストを大幅に圧縮しながら品質を保ち、さらに完成後の運用・メンテナンスまでユーザーサイドに立った“かゆいところに手が届く”仕様に落とし込めた点です。単にお金をかけて良いものを造るのではなく、過不足なく、適正なシステムを提供する新しい手法だったと感じています。
チームシロッコ合同会社の代表である谷口氏とは旧知の仲ですが、AI時代になっても以前とは変わらない仕事ぶりで、新しいことを達成するには、やはり技術だけでなくマインドが大切なのだと改めて感じました。
チームシロッコ合同会社 代表執行役員社長 谷口 有近 コメント
今回の開発では、AIを使うこと自体を目的にするのではなく、業務システム開発における現実の制約、例えば業務仕様とシステム動作との調整や、非機能要件の取り込みの程度など、バランスを工夫すべき点の水準を、AIによってどこまで高められるかを重視しました。
金融領域などの業務システムでは、速く作るだけでは不十分です。安全に運用できること、現場の業務に馴染むこと、将来の変化に対応できることが求められます。
堂島取引所様が持つ新しいことに挑戦し続ける姿勢と、当社がこれまで培ってきた金融向け業務システム開発の知見、そして株式会社あってなR&Dで進めているAI開発プロセスの研究が重なり、実社会で意味のある成果につながったと考えています。
今後もチームシロッコは、業務システム開発と事業の距離をさらに近づけるため、AI時代にふさわしい開発支援のあり方を追求してまいります。


今後の展望
チームシロッコは、業務システム開発への洞察を今後も深めるとともに、株式会社あってなR&DにおけるAI開発プロセスの研究を加速させてまいります。
AIによる開発は、単なる省力化の手段にとどまりません。業務を理解し、運用を見据え、事業の変化に追従できるシステムをより速く、より柔軟に実現するための新しい開発基盤です。
チームシロッコは今後も、金融領域をはじめとする専門性の高い業務システム開発において、AIと人間の役割を適切に設計し、事業に近いシステム開発を支援してまいります。
株式会社堂島取引所について
株式会社堂島取引所は、先物取引を行う取引所市場を開設・提供し、市場の公正を確保する事業を行う取引所です。堂島取引所の起源は江戸時代の堂島米市場にあり、堂島米市場における取引制度や慣行の多くは、現代の取引所の礎となっています。
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会社名 |
株式会社堂島取引所 |
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所在地 |
大阪府大阪市北区中之島3丁目2番18号 住友中之島ビル 3F |
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代表者 |
代表取締役社長 柴野 弘憲 |
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事業内容 |
先物取引を行う取引所市場を開設・提供し、市場の公正を確保する |
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公式サイト |
チームシロッコ合同会社について
チームシロッコ合同会社は、金融向け業務システム開発支援、クラウドコンピューティングのコンサルテーション、システムリスク・マネジメント、セキュリティ対策、インフラ・アプリケーションの設計・開発・運用などを支援する少数精鋭の開発会社です。また、IT×事業の実践として、台湾茶のオンライン販売チャネルの梅花茶楼も運営しており、長きに渡り好評を頂いています。
本プロジェクトを推進した特装開発事業部では、金融向け業務システムの知見を軸に、事業の規模やフェーズに合わせた小回りの利く業務システム開発と、安全性を重視した運用支援を提供しています。
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会社名 |
チームシロッコ合同会社 |
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所在地 |
神奈川県川崎市多摩区中野島6-21-27 エンガワ オフィス |
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代表者 |
代表執行役員社長(代表社員) 谷口 有近 |
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事業内容 |
金融向けシステム開発支援、クラウドコンピューティングのコンサルテーション、台湾茶および雑貨のオンライン販売 等 |
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公式サイト |

