株式会社ストラテジックキャピタルが極東貿易株式会社への株主提案を公表

株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース

この度、株式会社ストラテジックキャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸木 強)は、本年4月22日に、極東貿易株式会社(東証プライム:コード8093)に対し、株主提案権を行使する書面を提出したことをお知らせします。

弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタル(以下「提案株主」と総称します。)は極東貿易株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。

提案株主は、本年4月22日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、同月25日に当社への株主提案に係る書面の到達を確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は下記の通りです。

                         記

[1] 当社の課題と解決策

(課題)資本市場を軽視し株主価値を毀損し続ける取締役会
(解決策)弊社代表取締役である丸木を取締役として選任する
弊社と極東貿易取締役とのこれまでの対話を踏まえると、極東貿易の取締役は資本市場に関する知見及び株主の視点を反映する意識が不足していると考えられます。
そこで、多くの上場企業に対して株主の立場から様々な提案や働きかけを行い、実際に株主価値向上を実現してきた実績を有する弊社代表取締役の丸木を取締役に選任することを提案します。
なお、昨年の定時株主総会において、極東貿易の取締役会は同じ候補者の取締役選任を求める株主提案に対して、事実とは異なる反対意見を述べており、本年の株主総会において改めてその選任を求めるものです。
(候補者の経歴はこちら(https://stracap.jp/team_profile))

(課題)割安な状態で放置されている株価のバリュエーション
(解決策)資本コストを開示する
極東貿易の資本効率性は資本コストを大きく下回る水準であり、結果として極端に低い株価のバリュエーションとなっています。
極東貿易経営陣の資本コストに対する意識を高め、株主との対話の実効性強化を促進することにより、現状の低い株価のバリュエーションを改善させるため、資本コストの数値とその計算根拠を開示することを提案します。

(課題)経営に対する規律の緩みや資本効率性の低下を招く政策保有株式
(解決策)政策保有株式の縮減に向けて行動する
当社は「取引関係の構築」「ビジネスの円滑化及び強化等」を目的に政策保有株式を保有していますが、政策保有株式の発行会社の中にはコーポレートガバナンス・コード補充原則1-4-1をコンプライしている企業も含まれる上、株主平等原則の観点から、政策保有株主という立場を利用し、取引を有利に進めようと取引先に期待すること自体、非倫理的です。そのため、株式保有と取引関係を関連付けることは不適切であり、政策保有株式を保有する合理性はありません。
そこで、政策保有株式の発行会社の方針も踏まえ、明確な基準に基づいた政策保有株式の売却を提案します。

(課題)定款を無視した34億円にも上る株式の投資運用
(解決策)純投資目的で保有する株式を売却する
当社は定款の事業目的として定められていないにもかかわらず、2021年3月期末には34億60百万円もの株式を純投資目的で保有しており、同期中には事業セグメントと同等以上の規模となる1億89百万円の運用益を上げています。
そこで、当社の実態を定款に反映するため、当社の取締役会に代わって、純投資目的で保有する株式の保有及び運用を定款の事業目的に追加することを提案します。なお、本議案が否決された場合、株主が当社による株式の投資運用を望んでいないことを意味しますので、当社は保有株式をすみやかに全て売却すべきです。
提案株主は、当社が株式の投資運用をすべきではないと考えているため、本議案に反対します。

(課題)自己株式の保有による潜在的な希薄化リスクの放置
(解決策)自己株式の消却を株主総会に授権し、消却する
当社は2021年12月末現在で、発行済み株式総数の約5.3%に相当する自己株式を保有しています。自己株式の保有は株主にとって潜在的な希薄化リスクと同義であるにも関わらず、当社の経営陣は保有する自己株式の使途を明らかにしていません。
当社の経営陣が自ら自己株式の消却を行わない以上、自己株式の消却を株主総会で決定できるようにした上で、速やかに消却することを提案します。

[2] 提案する議題の内容

1.監査等委員でない取締役1名選任の件
取締役1名(候補者:丸木強)を選任する。
〔氏名(生年月日)〕
丸木 強 まるき つよし
(1959年7月23日生)
〔略歴〕
1982年4月
野村證券株式会社 入社
1999年8月
株式会社M&Aコンサルティング
取締役副社長
2006年5月
株式会社MACアセットマネジメント
代表取締役
2010年2月
株式会社TNPストラテジックキャピタル

代表取締役
2012年9月
株式会社ストラテジックキャピタル
代表取締役(現任)
〔重要な兼職の状況〕
株式会社ストラテジックキャピタル
代表取締役
〔所有する当社の株式数〕
0株
〔取締役候補者とした理由〕
提案株主は、当社の大株主として、資本コストを踏まえた経営により当社の株主価値が向上することを切望しています。
そこで、提案株主は、候補者が、野村證券株式会社での業務を通じて得た資本市場に対する知見と、その後から現在までの投資運用業者の経営者及び運用担当者としての経験から、当社の株主価値の向上に貢献できることを確信し、新たに候補者といたしました。
なお、候補者が代表取締役を務める株式会社ストラテジックキャピタルが運営するファンドは、2022年3月31日現在、発行済株式総数の17.38%の当社株式を保有しており、総議決権数に対するその保有比率は10%を超えています。このため、候補者は、東京証券取引所に独立役員として届け出される予定はなく、非常勤の社外取締役として活動することが期待されます。
(注)
1.候補者と当社の間に特別の利害関係はありません。
2.候補者が代表を務める株式会社ストラテジックキャピタルは、本年3月末日現在で当社株式を200株保有するとともに、同日現在当社株式を112万9200株保有するINTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UPとの間で投資一任契約を締結しています。

2.資本コストの開示に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第7章 資本コスト
(資本コストの開示)
第37条 当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において、当該報告書の提出日から遡る1か月以内において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するものとする。

3.政策保有株式に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第8章 政策保有株式
(政策保有株式の目的の検証と結果の開示)第38条 
(1)当会社は、当会社が保有する政策保有株式の保有目的である「取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、または協働ビジネス展開の円滑化および強化」が、政策保有株式の保有によって実際に果たされているかを検証するため、少なくとも年1回以上、保有する政策保有株式の発行会社に対して、当該株式の売却を希望する旨を伝える。
(2)当会社は、前項の発行会社への売却の打診に対して得られた発行会社からの回答の内容を、発行会社ごとに、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書で開示する。

4.保有目的が純投資目的である投資株式の保有及び運用を定款目的事項へ追加する定款一部変更の件
現行の定款第2条に新たな12項を加え、第2条第12項以降の項数を1項ずつ繰り下げる。
(目的)
第2条
12. 保有目的が純投資目的である投資株式の保有及び運用

5.自己株式の消却に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第10章 自己株式の消却
(自己株式の消却)
第13条 当会社は、会社法309条1項に定める株主総会の普通決議をもって、自己株式の消却(消却する自己株式の種類及び種類ごとの数の決定を含む。)を行うことができる。

6.自己株式の消却の件
議案5が承認可決されることを条件として、当会社が保有する自己株式の全てを消却する。

[3] 提案の理由

1.監査等委員でない取締役1名選任の件
候補者は、本株主提案の共同提案者である株式会社ストラテジックキャピタル(以下「SC社」という)の代表者である。同社は、これまで多くの上場企業に対して株主の立場から様々な提案や働きかけを行い、実際に株主価値向上を実現してきた実績を有する。
仮に、下記2から6までの議案のいずれかが可決された場合、候補者は、取締役会の一員としてその推進を担うことが期待できる。他方、これらの議案が全て否決された場合でも、当社の株主価値を向上させるための施策を取締役会に提案し、継続的な議論をさせる役割を担うことができる。
なお、SC社は国連責任投資原則(UNPRI:United Nations Principles for Responsible Investment)署名機関であり、いわゆるESGの視点を投資プロセスに取り入れている。候補者が取締役に就任し、環境(ESGのE)の観点からも取締役会の議論を活発化させることで、環境に配慮した事業ポートフォリオ最適化という方針を加速させ、更に事業ポートフォリオの整理が推進されることを期待できる。
当社は、昨年の定時株主総会において、本議案と同内容の取締役選任議案について「(候補者の丸木は)特定の大株主の利益を優先して具体的な経営判断に介入することに繋がるリスクがあり、上記施策(注:中期経営計画)の実現がむしろ困難となる」との反対意見を発表した。
しかしながら、SC社は、これまで「特定の大株主の利益を優先」して行動したことはなく、今後とも「大株主の利益を優先して具体的な経営判断に介入すること」はない。SC社は、当社の株主全体の利益となる提案を当社に対して行ってきたのであって、例えば、当社に対し中期経営計画の修正を継続的に働きかけ、当社はこれに応えて、2021年5月、SC社の提案した配当性向100%の株主還元方針を取り入れた新たな中期経営計画を公表している。したがって、昨年の定時株主総会における会社の上記反対意見は事実とは異なるものである。

2.資本コストの開示に係る定款変更の件
コーポレートガバナンス・コードの原則5-2は、経営陣が自社の資本コストを的確に把握することを求めている。当社経営陣においても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。
しかしながら、当社の株価は、解散価値未満の評価で長期にわたって推移している。これは、当社のROEが投資家の求める水準(株主資本コスト)を上回っていないということである。
当社は加重平均資本コストを開示し、さらに株主を含む投資家と対話を実施して、資本コストを正しく把握したうえで経営戦略や経営計画を策定するべきである。そうすれば、当社株式の市場における低い評価の改善を図ることができると考える。

3.政策保有株式に係る定款変更の件
当社は、2021年3月末現在、貸借対照表計上額(単体)で14億26百万円、3銘柄の政策保有株式を保有している。
2021年3月期の有価証券報告書によれば、政策保有株式の保有目的は、「取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、または協働ビジネス展開の円滑化及び強化等」と開示されているが、株式を保有していると何故取引が強化されるのか因果関係が不明である。
実際に、このうち1社はコーポレートガバナンス・コード補充原則1-4-1をコンプライしている。従って、当社が株式を売却しても、発行会社から取引を削減される等の可能性はないと考えられる。
提案株主は、政策保有株式は一切保有するべきではないと考えているが、本株主提案では、当社の開示する政策保有株式の保有目的が実際に果たされているのかを再検証することを求めている。そして、保有目的が果たされていない政策保有株式については、保有の合理性が認められないため、コーポレートガバナンス・コードに従い縮減する方針とすべきである。

4.保有目的が純投資目的である投資株式の保有及び運用を定款目的事項へ追加する定款一部変更の件
当社は、現行定款の目的事項として定められていないにもかかわらず、保有目的が純投資目的である投資株式(以下「純投資株式」という。)の保有及び運用を継続している。本議案は、株主の皆様に否決していただくことで、純投資株式の保有及び運用を停止させることを企図したものである。
当社の株主は、定款の目的事項として定められていない純投資株式の運用による利益ではなく、当社の本業での利益拡大に期待して当社の株式を保有しているはずである。それにもかかわらず、当社は、2021年3月末現在、貸借対照表計上額(単体)で69銘柄、34億60百万円もの純投資株式を保有し運用している。当社の株式時価総額は、2022年3月末現在で142億71百万円であるため、純投資株式の保有額は株式時価総額の約24%に相当する。従って、純投資株式が当社の株主価値に与える影響は無視できない。
さらに、純投資株式に係る2021年3月期の受取配当金及び売却損益の合計額は、1億89百万円、評価損益の合計額に至っては上場株式に限っても19億28百万円に達する。同期における基幹産業関連部門の営業損失が14百万円、電子・制御システム関連部門の営業利益が1億28百万円、産業素材関連部門の営業利益が1億35百万円、機械部品関連部門の営業利益が1億9百万円であることを踏まえると、当社にとって、純投資株式の保有及び運用事業は、セグメント区分された各事業と同等以上の事業規模である。
定款の事業目的に記載することもなく、セグメント区分された事業と同程度の規模にまで達した投資運用を行うことは、定款所定の業務の附帯的業務の範囲内とは認めがたい。提案株主は、このような定款違反の状態を放置することは、当社の取締役が負う善管注意義務に反するものであると考えている。
そこで、本議案では、当社取締役会に代わって、純投資株式の保有及び運用を定款の事業目的に追加することを提案する。当社経営陣においては、本議案が否決された場合、当社株主が純投資株式の運用を全く望んでいないという事実を正しく認識するべきである。そして、現在保有する純投資株式をすみやかに全て売却し、その売却代金を株主還元などの株主価値向上のために使うべきである。
なお、当然のことながら、提案株主は本議案に反対する。

5.自己株式の消却に係る定款変更の件
当社は、2021年12月末現在約34万株もの自己株式を保有しており、これは発行済株式総数の約5.3%に相当する。当社のM&A取引等の際にその対価として自己株式を使用することを想定している可能性はあるものの、当社の財務状況を考慮すれば、自己株式ではなく有利子負債を活用することが株主価値の向上につながると考えられる。また、株式報酬として自己株式を利用することを想定している可能性もあるが、当社の財務状況及び株価水準を鑑みれば、適宜自社株買いを実施し、買い取った自己株式を利用するほうが株主の利益に資すると考えられる。
また、当社が自己株式を大量に保有し続けているこの状況は、株主にとっては、いつでも当社株式の希薄化が行われ得るということを意味している。
以上からすると、自己株式の消却は当社の株主価値の向上に資するものであるが、それにもかかわらず、当社取締役会は、これまで自己株式消却の決定を行ってこなかったことから、自己株式消却を株主総会の決議により行えるよう定款変更を提案するものである。

6.自己株式の消却の件
議案5の理由のとおり、自己株式消却は当社の株主価値の向上に資するものであるため、議案5の提案にかかる定款変更が可決された場合に、当社の保有する自己株式すべてを消却することを提案するものである。

                                                 以上

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