株式会社ストラテジックキャピタルが世紀東急工業株式会社への株主提案を公表

株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース

この度、株式会社ストラテジックキャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸木 強)は、本年4月22日に、世紀東急工業株式会社(東証プライム:コード1898)に対し、株主提案権を行使する書面を提出したことをお知らせします。

弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタル(以下「提案株主」と総称します。)は世紀東急工業株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。

提案株主は、本年4月22日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、同月25日に当社への株主提案に係る書面の到達を確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は下記の通りです。

                         記

[1] 当社の課題と解決策

(課題)ROE低下を招く資本政策
(解決策)配当性向を100%とする
当社の株価は解散価値未満の水準で推移しており、株主価値の毀損された状態が続いています。株価低迷の原因の一つは、自己資本の積み上げに伴うROEの低下であると考えられますが、当社は総還元性向50%という、今後も自己資本を積み上げROEを低下させる資本政策を採用しています。
そこで、これ以上のさらなるROEの低下及びバリュエーションの低下に伴う株主価値の毀損を防ぐため、配当性向100%を提案します

(課題)自己株式の保有による潜在的な希薄化リスクの放置
(解決策)自己株式の消却を株主総会に授権し、消却する
当社は2022年3月末現在で、発行済み株式総数の約7.4%に相当する自己株式を保有しています。自己株式の保有は株主にとって潜在的な希薄化リスクと同義であるにもかかわらず、自己株式の使途は非開示のままです。
当社の経営陣が自ら自己株式の消却を行わない以上、自己株式の消却を株主総会で決定できるようにした上で、速やかに消却することを提案します。

(課題)独禁法違反行為を黙認した取締役の相談役就任
(解決策)相談役制度を廃止する
相談役就任を予定している佐藤俊明取締役会長(以下「佐藤氏」と言います。)に対して、東京地方裁判所は、当社の独禁法違反行為を知りながら黙認したと認定し、取締役としての善管注意義務違反を認め、当社に対する17億3227万円の損害賠償の支払いを命じています。
中長期的な株主価値の向上のためには、佐藤氏の影響力を排除することが必要であると考え、相談役制度の廃止を提案します

(課題)佐藤氏と当社取締役会の不透明な関係性
(解決策)佐藤氏が相談役に就任した場合はその報酬を開示する
当社取締役会は、自ら佐藤氏の責任追及を行わないどころか、東京地方裁判所が佐藤氏の善管注意義務違反を認めた後も、佐藤氏の相談役就任の方針を撤回していません。そのため、当社取締役会と佐藤氏の間には不健全な馴れ合いの関係が生じていることが強く懸念されます。
仮に相談役制度の廃止が認められず、佐藤氏が相談役に就任した場合、佐藤氏の相談役としての報酬の決定に際して、ガバナンスが働くことは到底期待できません。
そこで、相談役制度の廃止が認められなかった場合は、相談役の報酬を個別に開示することを提案します。

[2] 提案する議題の内容

1.剰余金の処分の件
(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
86円 から、第73回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。
第73回1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」という。)が86円と異なる場合は冒頭の86円を実績EPSに読み替える。
なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に、当社の第73回定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生じる日
当社の第73回定時株主総会の開催日の翌日
なお、本議案は、第73回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。

2.自己株式の消却に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第7章 自己株式の消却
(自己株式の消却)
第42条 当会社は、会社法309条1項に定める株主総会の普通決議をもって、自己株式の消却(消却する自己株式の種類及び種類ごとの数の決定を含む。)を行うことができる。

3.自己株式の消却の件
議案2が承認可決されることを条件として、当会社が保有する自己株式の全てを消却する。

4.相談役の廃止に係る定款変更の件
現行の定款第28条 を削除し、28条以下の番号を1つずつ繰り上げる。

5.相談役の個別報酬開示に係る定款変更の件
議案4が否決されることを条件として、現行の定款に以下の章及び条文を新設する。

第8章 相談役の個別報酬の開示
(相談役の個別報酬開示)
第43条
当会社は、相談役に対して前事業年度に報酬として支給した金額(非金銭報酬を含む。)を、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において個別に開示する 。

[3] 提案の理由

1.剰余金の処分の件
当社は2021年5月に発表した長期ビジョン及び中期経営計画(以下「本計画」という。)において、2031年3月末の自己資本比率を50%、ROEを10%にする数値目標 を開示している。
しかし、本計画においては、同時に株主還元について「総還元性向50%」とされており、当該株主還元の方針に従って弊社が試算を行ったところ、2031年3月末には自己資本比率は63.2%まで上昇し、ROEは8.2%に低下すると推定される 。すなわち、本計画にて示された株主還元の方針は、当社の自己資本を積み上げ、ROEを低下させるものであり、株主価値の向上にはつながらない 。 なお、このように本計画における株主還元方針に従うと、本計画における自己資本比率の目標値を超過する一方で、ROEの目標値は達成できない点 については、代表取締役社長を含む当社経営陣が自ら認めるところである。
2021年12月末現在の当社の自己資本比率が53.7%、自己資本が392億円 と、当社が既に盤石な財務基盤を有していることを鑑みれば、自己資本を増加させてもROEの低下を招くだけである。従って、余剰資金を株主に還元することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額すべきである。そして、今後の中長期的な資本政策として、配当性向100%を継続的に採用するべきである。
なお、当社は、2021年12月末現在で、現預金約149億円を保有しており、有利子負債は約51億円 に過ぎない 。現預金から有利子負債を控除した額(以下「ネットキャッシュ」という。)は約98億円であり、今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社のネットキャッシュ及び自己資本の水準は変わらず 、当社の財務状態は良好なままである。

2.自己株式の消却に係る定款変更の件
当社は2022年3月末現在で、約299万株もの自己株式を保有しており、これは発行済株式総数の7.4% に相当する。当社のⅯ&A取引等の際にその対価として自己株式を使用することを想定している可能性はあるものの、当社の財務状況を考慮すれば、自己株式ではなく有利子負債を活用することが株主価値の向上につながると考えられる。
また、当社が自己株式の保有を継続しているこの状況は、株主にとっては、いつでも当社株式の希薄化が行われ得るということを意味している。
以上からすると、自己株式の消却は、当社の株主価値の向上に資するものである。しかしながら、当社取締役会は、これまで自己株式消却の決定を行ってこなかったことから、提案株主は、自己株式消却を株主総会の決議により行えるよう定款変更を提案するものである。

3.自己株式の消却の件
議案2の理由のとおり、自己株式消却は当社の株主価値の向上に資するものであるため、議案2の提案にかかる定款変更が可決された場合に、当社の保有する自己株式すべてを消却することを提案するものである。

4.相談役の廃止に係る定款変更の件
当社には、現任の相談役が存在しないものの、社長及び会長経験者であり、2022年4月1日時点で取締役会長である佐藤俊明氏(以下「佐藤氏」という。)が同年6月下旬から相談役に就任すると開示 している。相談役・顧問制度については、経済産業省の策定した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(平成30年9月28日改訂)」(以下「CGS指針」という。)47頁以降 において問題点が指摘され、その後この制度を廃止する上場企業が続出した ところである。
当社は相談役の役割を「長年経営に携わってきた経験・知見等に基づき、会社の求めに応じて助言を行うこと」である と抽象的に説明しているのみであり、佐藤氏を相談役として雇用し、報酬を支払うこと の合理性については全く説明されていない。
また、佐藤氏は2012年から2019年まで当社の代表取締役社長を務めていながら 、当社が2011年から2015年にかけて行った6件の独占禁止法違反行為を未然に防止することができなかったばかりか、2015年に公正取引委員会が立入検査を行うまで当社による度重なる独占禁止法違反行為を察知できなかった 人物である。
それどころか、佐藤氏を含む当社の取締役及び元取締役の4名に対して当社への損害賠償を求めた株主代表訴訟において、東京地方裁判所は、当社が2011年から2015年にかけて行った私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)に違反する行為の存在を、佐藤氏が遅くとも2011年3月以降は認識していながらこれを黙認したと認定しており、佐藤氏について取締役としての善管注意義務違反を認め、当社に対する17億3227万円の損害賠償の支払いを命じている(以下「本判決」という。)。提案株主は、経営トップでありながら6件もの独占禁止法違反行為を看過し、あるいはこれを黙認していたと本判決で認定された人物については、会社に対して有益な助言を行うことを期待するのではなく、むしろその影響力を排除することが当社の中長期的な株主価値の向上に資すると考える。
以上のように、影響力を排除すべき人物が相談役に就任しうるという事態が生じないようにするためにも、当社は、合理性の認められない相談役制度そのものを廃止することでコーポレートガバナンスの充実を図るべきである。

5.相談役の個別報酬開示に係る定款変更の件
本議案は、議案4が否決された場合、2022年6月下旬に佐藤氏の相談役就任が予定されていることを踏まえ、佐藤氏の2023年3月期以降の相談役としての個別報酬を開示することを企図した提案である。
そもそも、会社法は取締役に対して支給する報酬総額の決定に株主総会の決議を要すると定めるとともに、取締役の個別報酬の決定方針を取締役会で決定することを義務づけ、取締役に対する報酬に関するガバナンスの整備を要請している。それにもかかわらず、取締役の退任後に相談役に就任し、漫然と相談役としての報酬を支給する行為は、会社法の趣旨に背くものである。
さらに、佐藤氏は、独占禁止法違反行為の発覚及びこれに伴う公正取引委員会からの排除措置命令を受けて、代表取締役社長であった2016年10月から2016年12月にかけて報酬月額の30%を自主返上 している。CGS指針51頁において、相談役の報酬は役員報酬の「後払い的要素」があると指摘されている ところ、役員報酬の後払いとして佐藤氏に相談役としての報酬を支給するのであれば、代表取締役時代の報酬の返上は、独占禁止法に違反する行為に対する制裁としての意味がなくなり、また、今後の再発防止の抑止力としての機能も失われてしまう。
また、本判決によれば佐藤氏は独占禁止法違反行為に対する責任が認められ、当社に対して17億3227万円の賠償金の支払い義務を負う。しかし、当社取締役会はこれまで佐藤氏に対して十分な責任追及を行ってこなかっただけでなく、本判決を経てもなお同氏の相談役への就任の方針を撤回していない 。これらに鑑みれば、当社取締役会または指名・報酬委員会と佐藤氏の間には不健全な馴れ合いの関係が生じていることが強く懸念され、佐藤氏の相談役としての報酬の決定に際してガバナンスが働くことは到底期待できない。
以上の懸念を払拭するためには、当社は、相談役の報酬を個別開示することで、相談役として受け取る報酬が妥当なものであることを示すべきである。

                                                 以上

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