【野口悠紀雄氏インタビュー】ブロックチェーンが変革する金融業界

コインチェック株式会社のプレスリリース

コインチェック株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:蓮尾 聡)は、投資初心者でも安心してお取引いただけるよう暗号資産に関するお役立ち情報を「Coinchek Column」にてお届けしております。今回、「Coinchek Column」では暗号資産市場の変動要因やブロックチェーン技術の汎用性、ブロックチェーンが既存金融システムに与える影響などについて、一橋大学名誉教授である野口悠紀雄氏を取材した記事を公開しました。

【サマリー】
・2020年の暗号資産価格高騰の原因はコロナだけではない
・ハードフォークが生んだ2017年のバブル
・決済方法としての暗号資産の可能性「PayPalは価格変動のリスクを負った」
・CBDCの登場により銀行は「ナローバンク」になる
・ブロックチェーン技術と分散型ID

 

  • 2020年の暗号資産価格高騰の原因はコロナだけではない

—— 2020年後半頃から、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の価格は高騰を見せました。価格高騰の理由についてどのようにお考えですか?

新型コロナウィルスの影響により、昨年ビットコインの価格は金と同じような形で上昇し始めました。経済的な不安が社会に広がったときに、最終的な拠り所として金に投資が集まるということは過去にもありましたが、今回は同様のことがビットコインに対しても起こった。
 
ところが、金の価格が2020年の9月頃にピークを迎え、その後は目立った値上がりをしていないのに対して、暗号資産の価格は9月以降も上昇を続けている。このことから、暗号資産は金とは違う要因によって価格が上がっていると考えることができます。つまり、「暗号資産の価格は、コロナの感染拡大といった特殊事情のみによって高騰しているわけではない」ということが推察されるわけです。
 
しかし、具体的に何が原因で暗号資産の価格が上昇したのかという点については、現時点ではわかりません。さまざまなことが原因として考えられますが、今はまだそれらを証明できるだけの判断材料がないからです。
 
ただ、「暗号資産の将来性に対する人々の見方が変わった」ということだけはいえるかもしれない。暗号資産のもつ可能性や金融資産としての価値を、多くの人々が認め始めたという可能性はあるでしょう。
 

  • ハードフォークが生んだ2017年のバブル

—— 2017年は「仮想通貨バブル」と呼ばれるほど暗号資産市場は活況を呈しました。2017年と2020年では、どんな違いがありますか?
 
2017年には、ビットコインのスケーラビリティ問題が起こりました。暗号資産人気の高まりから取引量が急増して、それまでのブロックサイズでは膨大な数の取引を処理できなくなったわけです。
 
その際、ビットコインの運営サイドでは、問題の解決策としてブロックサイズを大きくする案や、Segwit(セグウィット)と呼ばれるトランザクション情報を圧縮する技術を導入する案などが提案されました。しかし結局議論はまとまらず、ビットコインはハードフォークすることになります。そしてビットコインのハードフォークによって、ビットコインキャッシュ(BCH)などのアルトコインが続々と誕生した。
 
ビットコインにおける相次ぐハードフォークは、ある種のバブルを引き起こす原因になりました。例えばBCHが誕生したときには、ビットコインの保有者は持っているビットコインと同量のBCHをタダでもらうことができた。ハードフォークしたからといって通貨としての価値が上がるわけではないのですが、新しく誕生する暗号資産を無料でもらえることが動機となって、ビットコインを購入する人が急増したのです。
 
そのような状況下で、ビットコインの価格は2017年の末ごろにかけて2万ドルまで上がっていき、そこから急落します。ビットコインにおける相次ぐハードフォークは、2017年に暗号資産の価格がバブルと呼ばれるほど急騰したことに大きく影響したのだと思います。
 

  • 決済方法としての暗号資産の可能性「PayPalは価格変動のリスクを負った」

—— 昨年はPayPalやSquareなどの決済大手の暗号資産市場への参入が話題となりました。決済方法としての暗号資産の可能性について、どのようにお考えですか?
 
ビットコインは価格変動が大きいので、決済では使いにくいという問題があります。PayPalは世界の加盟店で暗号資産決済を可能にすると発表していますが、それを実現するにはボラティリティの問題をクリアする必要がある。
 
一部のメディアでは「消費者は仮想通貨の残高を確実な価格レートで、追加料金なしで法定通貨に変換できる」、「店側はペイパルを介して換金された法定通貨を受け取る。」と報じられています。(※)もしそれが本当だとしたら、「価格変動のリスクをPayPalが負った」ということになります。
 
つまり、仮に実際のビットコインの価格がPayPalが設定した固定価格より安くなったとしても、店舗側の損失をPayPalが補償するということになる。
 
もし報道にあるようにPayPalが価格変動のリスクを負って、暗号資産を決済用に使えるようにするのであれば、これは非常に大きな決断だといえるでしょう。
 
※参照:日本経済新聞「米ペイパル、仮想通貨で支払い可能に ビットコイン高騰」

—— 暗号資産の決済利用に関しては、Facebookが2021年に発行を目指している「Diem(ディエム)」も注目を集めています。Diemが普及した際に既存の金融機関に与える影響についてお聞かせください。
 
Diemが目指しているのは、今までビットコインが果たさなかったこと、つまり現実世界での決済に使われる暗号資産になることです。もしDiemが発行されて世界に普及すれば、これまで銀行が行ってきた決済業務をDiemが代わりに行うようになる可能性が高い。
 
これは既存の銀行にとっては、非常に大きなインパクトです。Diemによって、自分たちの大切な業務を奪われるかもしれないわけですから。そういう意味では、Diemは今ある金融業界をひっくり返すような可能性を秘めています。
 
しかし、そのポテンシャルの高さゆえに、Diemは各国当局による規制からは逃れられないでしょう。規制当局はLibra(リブラ)のときと同じように、非常に強い圧力をかけてDiemを潰そうとしてくると思います。
 
また、このことで私が非常に重要だと思うのが、Diemが発行された場合に日本の暗号資産取引所がどのような対応をとるのかという問題です。
 
通貨の取引にはある程度の流動性が必要になります。買いたいと思ったときに、必要なだけの通貨を売ってくれる場所が必要になる。それが取引所の役割なわけですが、Diemが日本でも利用できるようになった場合に、Coincheckのような日本の取引所が取り扱いを始めるのかという点にはとても関心があります。
 

  • CBDCの登場により銀行は「ナローバンク」になる

—— CBDC(中央銀行デジタル通貨)の開発が各国で行われていますが、CBDCが普及することによって既存の金融業界はどのように変化すると思われますか?

記事の続きは以下よりご覧いただけます。
https://coincheck.com/ja/article/468

【Coincheckコラム】
暗号資産取引のコツや、通貨ごとの特徴、今後の展望についてのコラムを配信しています。
https://coincheck.com/ja/article

コインチェック株式会社について
商号:コインチェック株式会社(英語表記:Coincheck, Inc.)
本社:〒150-0044 東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー12F
設立:2012年8月28日
資本金:100百万円
代表取締役:蓮尾 聡
暗号資産交換業登録: 関東財務局長 第00014号

提供サービス:
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Coincheckアンケート https://coincheck.com/ja/survey
株主総運営会支援サービスSharely https://sharely.app/

商号:コインチェック株式会社
暗号資産交換業の登録番号:関東財務局長第00014号
加入協会:一般社団法人日本暗号資産取引業協会

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・暗号資産は本邦通貨又は外国通貨と異なります。
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・暗号資産は移転記録の仕組みの破綻等により、その価値が失われる場合があります。
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お問い合わせ:https://coincheck.com/ja/info/help_contact
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