じぶん銀行×auカブコム証券×堀潤 特別座談会金融・報道のプロ達が振り返る、2019年最も反響があった金融ニュースTOP3!

株式会社じぶん銀行のプレスリリース

株式会社じぶん銀行(所在地:東京都中央区 代表取締役社長:臼井 朋貴、以下 じぶん銀行)とauカブコム証券株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長 齋藤 正勝、以下 auカブコム証券)は、2019年12月12日に、「じぶん銀行×auカブコム証券×堀潤-2020年の金融を紐解く特別座談会」を実施しましたので、当日の様子をお知らせします。

特別座談会では、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行「じぶん銀行」社長・臼井 朋貴と、2019年12月1日に社名変更した三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券「auカブコム証券」社長・齋藤 正勝、ニュース番組『モーニングCROSS』のMCを務めるジャーナリスト兼キャスターの堀 潤氏が2019年を振り返り、最も反響があった金融ニュースTOP3について掘り下げる対談を行いました。老後2,000万円問題や消費増税、FinTechの各テーマを深掘りし、今後起こると予測されている「2020年問題」や来年の金融・経済についての予測なども語られました。

2019年、最も反響があった経済・金融関連のニュースTOP3とは
──TOKYO MXのニュース番組『モーニングCROSS』のMCとして世界情勢や社会問題などのさまざまなニュースを報じている堀さんですが、堀さんから見て、2019年特に一般の方からの反響があった、経済・金融関連のニュースTOP3をお選び頂けますでしょうか。

堀:途中ですっかり議論も有耶無耶になってしまいましたが、年金をどうするんだという話の中で金融庁が出した報告書は、大きな政治問題にもなりました。その文脈では老後2,000万円の自己資金が必要という話が先行しましたけども、実際書かれていたのは若年層が賃金も低い中で資産形成をどうしていくのかということについてですが、実際メディアで踊ったのは「老後2,000万円問題」。この辺りもうちょっと煮詰めてもいいんじゃないかなというので、TOP1ですね。
TOP2は、「消費税増税」です。アクセルとブレーキ両方踏みながらという今の経済の仕組みの中で、法人税も収入が“減”ですし、一方で消費税増税の影響がどうなっていくのか、というのは今後2020年以降見ていく上でも非常に大きなポイントだと思います。
TOP3は、「FinTech」ですね。「FinTech」って言葉が使われるようになってだいぶもう定着してきたと思う一方で、具体的な実装されているサービスって一体何なのかという部分はこれからまだまだなんじゃないかなって思ってますね。

──どれも確かに聞いたことがある単語です。1位の「老後2,000万円問題」から解説をお願いできますでしょうか。
堀:既に少しお話しましたが、「限られた資金の中で、どうやって若い世代から資産運用していくのか」というのがポイントだと思うんですね。実際には「老後を生きるのに2,000万円もかかるのであれば、今の状況だと自分で資産運用しなくてはいけないのは、年金制度が破綻しているからなのか?」みたいな話になったのですが、実を言うとその話よりも前段の部分の方が僕は、大変関心があります。是非その辺り2人のご見解をお伺いしたいですね。

臼井:2,000万円という数字が独り歩きする結果になっていますが、この2,000万円の根拠には、高齢夫婦無職の年金受給世帯の平均的な姿で見た時に、月に5万円強ぐらい赤字が発生しており、掛ける30年で大体2,000万円が必要になりますよ。と言うことでした。一方で、65歳の時の平均の金融資産は、大体2,300万円と言われてるんです。だから実際はカバーできてしまうという話にもとれます。ただ、やはり2,000万円必要なんじゃないかという話が出た際にそういった解説が特になくて、「老後2,000万円が必要」と言われて、皆さん不安な感じになってしまっていると思います。これが実態だと思うんですけど、それでは果たして2,000万円要るのか要らないのかって言われると、これは人によりますよね。年金の額も運用の額も違うし生活水準もそれぞれ違うので、2,000万円もいらない人もいるかもしれないし、実はもっといるかも…というのは分かりません。銀行の立場からすると、そういう意味では2,000万円大体平均的に必要であることを前提として、早めから少しずつ長期的な投資・資産運用をやって頂くのが一番良いのではないかとは思っています。

齋藤:当社に限らずネット証券は実は、この「老後2,000万円問題」から恩恵みたいなものを受けています。当社でもコンテンツとして当社が考える『2,000万円貯める為にはこうしたらいいんですよ』というのを、具体的にはつみたてNISA とかiDeCo等を全面に出してご案内してきたんですけど、お客さまもそこに一番需要があって。面白いことにちゃんと試算してみるとつみたてNISA、iDeCoを総枠でフルに20年間やっていくと、確実に2,000万円はいくので矛盾はないんですよね。合理性があるんです。だから若い方含めて不安と言えば不安かもしれないけど、つみたてNISA・iDeCo・あるいは積立投資という部分に関しては市民権が得られたのかなと、最初の一歩かなと思ってます。

──一般の人が「お金を増やす」意識をなかなか持てないのには、堀さんはどういった事情があるとお考えでしょうか。
堀:実際に今回金融庁の報告書でも書かれていたのは、特に実質賃金も下がる一方で、若年層の時代からどうやって資産を運用していくのか・確保していくのか・蓄積していくのか。その部分については金融教育の必要性であったり、私たちが資本主義の社会に生きていながらお金について学ぶ機会も義務教育課程でもなかなかない状態で…。今後そうした若年層が限られた資金の中で資産運用をどう行っていくのか、何が対策として必要なのか、そのあたりを是非お2人にお伺いしていきたいです。

臼井:金融教育に関して、堀さんがおっしゃっている通りだと私も思います。日本の場合は金融教育が0と言ってもいい程なされていないし、大人になってから投資しましょうと言われても、どうしていいか分からない場合が多いです。特に株って“損してしまうのでは”とか、“騙されるのでは”というどちらかというと負のイメージがあったり、お金の話をするのって上品じゃないみたいなイメージもあります。なぜそうなってしまっているのかというと、30年ぐらい前だと定期預金に預けておけば金利は年7~8%つきましたし、土地は買うとどんどん値段が上がる。つまり何もしなくてもある程度資産形成ができていた日本の時代背景があったと思うんですよね。なので、教育なんかなくても特に困らなかったというのが理由なのではないかと。ですから、本当は小学校の時からお金に真面目に向き合うのが良いですよね。英語やIT等の領域をどんどん小学生が学ぶのと同じように、金融教育ってそういう地道なところから始めていくともっともっと前向きになるのではないかと思いましたね。

齋藤:当社では、初心者の方が安心して投資をはじめられるよう「kabu.study」という無料講座をご提供しています。その講座を受けてから投資をはじめた方と普通に来られた方とでは、明らかにパフォーマンスが違うんです。その実態も開示してるんですが、なかなかそうは言っても金融を学ぶ意欲に結び付かないようです。あと個人的には金融教育以前に日本人の特性かもしれないのですが、『リスク』に関して拒否反応があるように感じます。欧米の人たちは「『リスク』は管理するもの」と捉えていて、日本人は「『リスク』は危険なもの」と思っているんです。例えば「10回やって1回失敗するパターンと、10回やって10回失敗するパターンだとどちらが危ないでしょう?」と簡単なクイズを出した時も、欧米人は絶対間違えないのですが、意外と間違える日本人が多くて。10回やって必ず10回失敗するなら、必ず失敗するのが分かっている方が安全なわけですけど、失敗が多いと『リスク』は高いという風に勘違いされやすいんですね。根本的にその『リスク』という言葉が「リスク=コントロールできない危ないもの」みたいに捉えられてしまって。

臼井:やはり慣れが大事だと思います。そのまま大人になっている人たちは、投資の知識をなかなか知る機会がないですよね。そこで私たちがまずお勧めしているのは、「ポイントを運用してもらう」ということです。auではau WALLETポイントを使った投資サービスを提供しており、投資したau WALLETポイントはauの投資信託の基準価額に連動します。要するに、投資信託を運用しているのと同じで、ポイント数が上がったり下がったりするので、「うわっ」てなったりするのですが、その感覚をまず体感して頂くことで、一旦慣れて頂くといいのかなと。変な話、投資の原資がポイントだからマイナスになってもそこまで痛くないのかなというのが感覚であるのではないかと思っていて、投資の入口の一つとして進められればなと思います。

齋藤:資産運用を始めるきっかけとして、ポイントは分かりやすくて典型的な余剰資産というかプラスアルファのものなので、割とそこは『リスク』をとれると思うんですよね。0になってもいいやという感覚で。まだWALLETポイントを使った投資は、今は投資信託だけですが、この先株からFXまで広げていこうとしています。ネット証券を20年やっている私たちの次の課題は、投資を続けるお客さまを増やすことです。投資をはじめる方は増えてきてはいるものの、リーマンショック以降続かないというか、やめられてしまう。一度負けてしまわれるともうだめ。やはり、パフォーマンスを上げないと、という気持ちがあるのでしょうか。趣味とか特技の延長に留まるのでなく、仕事というか嗜みというか必須のアイテムとしてできるように本気でやってもらうには、意外と「ポイント」が重要なカギなのかなって感じはしますよね。

──ポイント運用が、投資への流れの後押しになるかもしれませんね。さて、続いて「消費増税」、これはわかりやすいと思いますが、増税関連ニュースについて、堀さんはどうお考えでしょうか。
堀:言わずもがなですが、増税に関してのショックというのがどうなっていくのかっていうのはこれから見ていく必要があると思っています。金融の観点からみると、どういう風に影響が出るのかというお話をお聞きしたいです。

臼井:一般的に銀行で増税の影響を受けるのは、住宅・マンションを購入した際それに伴う住宅ローンなのですが、9~10月の申込数が大体1割ぐらいは増えてるんです。これが駆け込み需要なのかって言われると、そうは思っていません。「住宅ローン減税」については控除期間が3年延長されましたし、「住まい給付金」で給付が受けられる年収のバーが下がるなど、増税後の政策が用意されていたからだと思います。一方で、『キャッシュレス』というキーワードで考えると、我々は口座開設者向けスマホアプリにデビットカードを内蔵した「スマホデビット」を提供しているのですが、これの申し込みが3倍ぐらいになっているので、『キャッシュレス』に関しては世の中の方がものすごく敏感になってきているなという風に感じます。

齋藤:キャッシュレスは一気に普及しましたね。セブン銀行やローソン銀行に聞いても、利用量が1/3、1/4になったという話もあるぐらいで、私自身も10月以降は確かにATMを使ってないんですよね。あれだけなんとかPayという風に宣伝されると、皆さん普通に慣れちゃいますよね。

──消費増税では、キャッシュレスも1つのテーマだったのですね。このキャッシュレスもFinTechの先駆けと言えるかもしれませんが、最後に「進むFinTech」について、解説頂けますでしょうか。

堀:「FinTech」が進むことによって色々変わるのではないかという懸念はありつつも、実際には良いカタチの協業も始まっているとも聞いています。今後、日本ではどのようにFinTechが進んでいくとお考えかは、ぜひお聞きしたいです。 

臼井:私たちはスマホ銀行なので銀行そのものが「FinTech」というのがありますが、大きいキーワードとして「AI」と「キャッシュレス」があります。当行では、AIを活用したサービスとして「AI外貨予測」というのをお客さまに提供しています。大体的中率70%ぐらいなので、外貨投資やFX利用の判断にご利用頂いています。キャッシュレスという意味では、今はグループ会社KDDIのau WALLETというのが 2,000万人ぐらいのユーザーさんがいらっしゃっいます。専用アプリのau WALLETアプリとじぶん銀行のアプリとは別のアプリですが、連携して使って頂けるようになっておりますので、
「ポイントをじぶん銀行でau WALLETにチャージしてau PAYで使う」という、シームレスな資金移動が実現しています。さらには、カブコムの預かり資産とじぶん銀行への資金移動もシームレスになっており、これをau PAYにチャージするなども可能です。今後は、たとえば投資で利益が出ている分を、別の場所でこう使いますよっていう流れもできていく。こういう発展していく社会っていうのが、どんどん来たらいいのかなと思います。

齋藤:じぶん銀行と当社、au等のグループ会社を含めてシームレスに綺麗に繋がっていくと思うんですけど、やっぱり「API」がすごくキーワードになると思っています。例えば証券会社を1つ作ろうとすると、システム構築に莫大な費用と人と期間が必要でしたが、当社のAPIを活用してアプリ開発だけ行えば、極端な話個人で証券会社を開業することも可能です。こうやって、他の業界の人たちでも繋がってくると思うので、やっぱり「API」が肝になるかなと。2つ目は「逆FinTech」というか。恐らく今年か来年にかけて、銀行・既存の金融機関が、異業種であるとか、新事業・Techを使う既存の金融機関のデジタル戦略みたいなところにフォーカスすることになると思います。その際にいくつかM&Aが起きたりとかして、銀行や既存の金融機関中心に「デジタル元年」になるのではないかと考えています。第5世代移動通信システム「5G」もサービス開始されますし。今までは社会のインフラは銀行だったかもしれませんが、今後は通信になると思っています。5Gの登場で世の中の仕組みは一変します。今までメガバンクは一等地に店舗を構えることで、顧客の利便性に答えていたましたが、今後は通信の中でいいポジションをおさえていく。ということに置き換わるんだと思います。

──金融の専門家である両社長から見た、少し前から喧伝されている「2020年問題」、そして2020年の金融・経済の見通しについて、お話頂けますでしょうか。

臼井:1つは「人」の話があると思っています。シニア世代と我々のようなバブル世代や団塊世代がいて、その人たちをまだまだ現役でどう活用していくのかを考えるのが、取り組んでいく大きなテーマだなと思っています。そのなかで、我々ネット銀行はネット完結・スマホ完結が強みですが、それだけではなかなかちょっと難しい面もあって。「人」に背中を押してほしい、有人対応なというところがどうしても残っちゃうと思うんですよね。なので、そういうシニアの社会経験豊富な方たちがこういうところで活躍してもらえるんじゃないかなって思っているので、そこでの雇用創出はやっていきたいです。もう1つは「経済」の話ですけども、やはりアメリカの経済も見通しが分からないし日本もオリンピック景気の波に乗りたいがなかなかそうもいかないかと。我々の立場からするとそういうちょっと不景気かもしれないなという時、世の中的に投資を控える傾向にありますが、やっぱり不景気だからこそチャンスだということもあると思っています。分散投資を行ってリスクヘッジしつつ、長期的な目線でトライしてもらいたいという期待感があります。

齋藤:構造は変化してきていますよね。金融機関は特に分かりやすいんですけど、まさにバブル世代、レガシーな大企業で規模を追求してきた会社にいらっしゃった従業員の方たちが、ITネット系の、あるいは外資などの成長産業の方に人材が流動化するということも十分あると。分かりやすい構造改革ですね。この流れは銘柄選びにも波及してくると考えています。
 

──12月頭より改名された「auカブコム証券」、そして2020年の2月に「auじぶん銀行」への改名を控える、じぶん銀行。2019年も色々な取り組みを行われてきましたが、2020年はこれをやる、という宣言を頂いてもよろしいでしょうか

臼井:面白いことをやりたいですよね、一言で言うと。金融ってまだまだ規制があってなかなかとんがったことはやりづらいんですけども、その中でお客さまの声に耳を傾けて面白いサービスを出していきたいなと思っています。

もう1つは世の中の役に立つことをやらねばならないなと思っていて、今日もオレンジのリボンのピンバッチをつけてますけども、これは児童虐待防止を掲げる「オレンジリボンキャンペーン」で我々が賛同していることを示すもので、こういった社会貢献活動にもっともっと真剣に取り組んでいきたいなと思います。また、社名が「auじぶん銀行」になるのですが、auブランド自体がオープン化していく戦略です。我々も、auの携帯電話、スマートフォンをお使いでないお客さまにもご利用頂きたいと思っているので、まずはしっかり認知していただけるよう取り組んで参ります。

齋藤:当社12月1日から「auカブコム証券」という名前で名乗らせてもらっているのですが、それと同時に信用取引の手数料を撤廃しますと宣言しまして。ただ、手数料競争しているつもりでは実はなくて、「すべての人に資産形成を」という気持ちから、資産形成ビジネスをちゃんとやろうとしてます。うちのお客さまと一緒に2年ぐらいかけて作ってきた新システム・サービスがあって、それは絶対的なパフォーマンスを追求するサービスなんです。自分たちは資産形成ビジネスのソリューション、具体的には不運に負けず個人投資家の方に結果を出して頂けるようなスペシャルサービスマシンみたいなものでローンチを狙ってずっとテストしてきております。手数料競争の先に何があるのってよく聞かれるのですが、やっぱりパフォーマンス競争だと思います。今年は、そのプロのソリューションをお客さまに出して、「今年は一番勝たせます」という宣言をしたいですね。

堀:リスクを恐れないで良い仕組みづくりっていうのは1つの鍵になるんじゃないですかね。社会貢献活動についてのお話もありましたが、個人の生活・営み・個人の尊厳がきちんと守られる、発揮できる社会がないとやっぱり安定した経済活動っていうのは見込めないというのは、改めて感じました。

                                                                                                                                以上

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