TOPIX500の統合報告書×2年分、約5,000万語をAI・テキスト解析】日本企業の非財務経営トレンドを可視化する「モメンタム・キーワード大賞 2026」を発表!

独自フレームワーク「モメンタム・サイクル2026」も公開。統合報告書の言葉から、企業価値創造・AI活用・資本効率・地政学リスクへの対応を読み解く。

サステナブル・ラボ株式会社のプレスリリース

国内最大級の非財務データプラットフォーム「TERRAST」や、ROICやROEに寄与する非財務指標をデータ分析により可視化支援を行うサステナブル・ラボ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:平瀬錬司、以下「当社」)は、日本企業の統合報告書におけるテキストデータを解析し、企業が投資家やステークホルダーに向けてどのような非財務・サステナビリティ・経営テーマを語り始めているかを可視化した「モメンタム・キーワード大賞2026」を発表しました。

今回の分析では、地政学リスクを反映した「関税」、生成AIの経営実装を示す「AI活用」、資本市場との対話を象徴する「資本効率」、新たな開示基準への対応を示す「SSBJ」「LEAP」などが急上昇しました。また、頻出ワードでは「価値創造」が2年連続で1位となり、統合報告書が形式的なESG対応を説明する文書から、非財務資本を企業価値へ接続し、投資家との対話を深めるための戦略的な開示文書へ進化していることが示唆されました。

当社は、本キーワード大賞の発表にあわせて、分析結果をさらに深掘りする無料ウェビナーを開催します。プレスリリースでは紹介しきれなかったTop50キーワードや、企業の対話姿勢を映す「一般語部門」も解説予定です。申し込みはこちら。

■今回の分析から見えた3つのポイント

  1. 統合報告書は、「ESG対応の説明」から「企業価値創造の説明」へ移行している。

  2. 非財務テーマは、環境・社会・ガバナンスにとどまらず、AI活用、資本効率、地政学リスク、サプライチェーン、競争優位まで広がっている。

  3. SSBJ、TNFD/LEAP、人的資本、人権、自然資本などの開示テーマは、「対応」から「実装・定量化」の段階へ進みつつある。

■「モメンタム・キーワード大賞2026」について

「モメンタム・キーワード大賞」は、企業が統合報告書を通じてステークホルダーへ発信している言葉の変化を分析し、日本企業のサステナビリティ経営・非財務経営の潮流を可視化する当社独自の企画です。

統合報告書におけるキーワードの変化は、単なる表現上の流行ではありません。企業がどの非財務テーマを経営課題として認識し、どのように投資家へ説明しようとしているかを映すシグナルです。

本アワードは、以下の3つの分析で構成されています。

  • Next 急上昇中!トレンドワード部門:前年度に比べ、使用する社数が最も増加したワードをランキング化

  • Now 頻出!もはや定番ワード部門:前年度に比べ、出現回数が最も増加したワードをランキング化

  • モメンタム・サイクル2026:出現社数と出現回数の変化をもとに、各キーワードが企業の開示・経営実装プロセスのどの成熟段階にあるかを5段階で分類・評価

■データ分析概要

項目

内容

調査対象企業

TOPIX500のうち、2024年・2025年の両年で統合報告書の発行が確認できた382社

調査主体

サステナブル・ラボ株式会社(自社調査)

調査方法

対象企業の統合報告書PDFからテキストを抽出し、2024年発行分と2025年発行分を比較。使用社数が増加したワード、出現回数が増加したワードを集計。

分析対象

382社・2年分の統合報告書、約9,000万字・約5,000万語規模のテキストデータ

集計対象

単語に加え、2語からなるフレーズも含む

注記

ランキングには、統合報告書内の株主構成・所有者情報等に由来する固有名詞が含まれる場合があります。固有名詞は、経営テーマそのものではなく、資本市場環境や開示構造の変化を示す補助的シグナルとして解釈しています。

1) Next 急上昇中!トレンドワード部門

前年度に比べ、使用する社数が最も増加したワードをランキング化した部門です。2026年版では、国際政治・通商政策、AI実装、資本市場対応、人的資本リスク、開示基準対応といった、企業価値に直結するテーマが上位に入りました。

1位「関税」・2位「トランプ/米国政権」・7位「通商」:地政学リスクが非財務経営のアジェンダへ

前年度から採用社数を大きく増やしたのは、米国の政権交代や通商政策に関連するキーワードでした。「関税」「トランプ/米国政権」「通商」が上位に入ったことから、不確実な国際情勢を外部環境のリスクとしてだけでなく、サプライチェーン、価格転嫁、収益力、事業継続性に直結する経営課題として、多くの企業が統合報告書で言及し始めたことが分かります。

これは、サステナビリティ経営が環境・社会対応にとどまらず、地政学、マクロ経済、資本市場、事業ポートフォリオまで含む広義の非財務リスク管理へ拡張していることを示す動きです。


4位「AI活用」・5位「資本効率」・10位「競争優位」:非財務テーマと企業価値の接続
「AI活用」は、生成AIの社会実装が進むなか、生産性向上、業務変革、研究開発、顧客体験、リスク管理など、企業の競争力に直結するテーマとして言及が増加しました。

また、「資本効率」や「競争優位」が上位に入ったことは、企業が非財務情報を単なる活動報告ではなく、ROIC、ROE、PBR、株価、成長戦略と接続して説明しようとしていることを示唆します。統合報告書は、非財務資本をどのように財務価値へ転換するかを語る重要な媒体になりつつあります。


6位「カスタマーハラスメント」:人的資本における新たなリスクへの着目
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の急上昇も特徴的です。従業員の心身の健康や安全を守ることは、人的資本経営における重要課題です。労働力不足が深刻化するなか、外部からのリスクから従業員を守る姿勢を明確にする企業が増えています。


8位「SSBJ」・9位「LEAP」:次なる開示基準への対応

国内のサステナビリティ開示基準である「SSBJ」や、自然関連情報開示における分析プロセスである「LEAP」が上位に入りました。これらは、多くの企業が新たな義務化や国際基準への対応を自社の経営課題として捉え、具体的な準備を開始していることを示すキーワードです。


3位「STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY」:株主構成・資本市場コミュニケーションの変化を示す補助的シグナル

3位には、株主構成欄などに由来すると考えられる固有名詞が入りました。これはサステナビリティ・経営テーマそのものではありませんが、政策保有株式の縮減や海外機関投資家の存在感の高まりなど、企業と資本市場の関係変化を読み解く補助的シグナルとして注目できます。

なお、固有名詞については、開示テーマそのものと同列に扱うのではなく、統合報告書の構成や資本市場環境の変化を示す参考情報として解釈しています。


2)Now 頻出!もはや定番ワード部門

前年度に比べ、出現回数が最も増加したワードをランキング化した部門です。2026年版では、「価値創造」を中心に、AI、中期経営計画、成長戦略、データセクション、ガバナンスといった、経営戦略・投資家対話・開示高度化に関わる言葉が上位に入りました。

1位は2年連続で「価値創造」

同一企業群の2024・2025年度の統合報告書を比較分析した結果、出現回数の増加数で2年連続のトップに輝いたのは「価値創造」でした。増加数は計7,000回を超え、2位に約5,000回もの大差をつける圧倒的な定番キーワードとして定着しています。

この結果は、日本企業がサステナビリティや非財務情報を個別施策としてではなく、企業価値向上に向けたストーリーの中で説明しようとしていることを示唆します。


2位は「AI」:技術トレンドから経営テーマの一つへ

「AI」は、生成AIの急速な普及を背景に、経営・事業戦略へどのように活用し、生産性向上や競争優位につなげるかという具体的文脈での言及が増加しました。AIはもはや技術部門だけのテーマではなく、企業価値創造、リスク管理、人的資本、ガバナンスにも関わる横断的な経営テーマになっています。


3位「中期経営計画」・5位「成長戦略」:中長期の時間軸で語る非財務経営

「中期経営計画」や「成長戦略」が上位に入ったことは、企業がサステナビリティや非財務資本を中長期の経営戦略と結びつけて説明する動きが強まっていることを示しています。投資家との対話においては、非財務施策を単体で列挙するだけでなく、目標、KPI、マイルストーン、資本配分との関係を示すことがますます重要になっています。


6位「データセクション」:定性的な説明から、比較・検証可能なデータ開示へ

「データセクション」の増加は、財務・非財務データを整理し、投資家が比較・検証しやすい形式で提示しようとする動きの広がりを示します。非財務情報は、理念や活動紹介にとどまらず、定量的なエビデンスとともに開示される段階へ進みつつあります。


9位「ガバナンス」・10位「社外取締役」:体制構築から実効性の説明へ

「ガバナンス」「社外取締役」は引き続き高い出現増加を示しました。制度や体制を整備したことを示す段階から、取締役会の実効性、資本市場との対話、企業価値向上への貢献を説明する段階へ、企業の関心が移行していると考えられます。

3)モメンタム・サイクル 2026

■モメンタム・サイクル(Momentum-Cycle)とは

「モメンタム・サイクル」は、統合報告書におけるキーワードの出現社数と出現回数の変化をもとに、各テーマが日本企業の開示・経営実装プロセスのどの段階にあるかを可視化する、サステナブル・ラボ独自の分析フレームワークです。

キーワードを「萌芽期」「期待ピーク期」「深化・再定義期」「実装・浸透期」「価値創造・標準期」の5段階に分類することで、単なる流行語ではなく、非財務テーマがどのように経営に取り込まれ、投資家対話の共通言語へ進化していくかを読み解きます。

ステージ

意味

萌芽期
Emergence

新しい課題や基準が「芽吹いた」状態。まだ社数は少ないが、先進企業が先行して取り組み、開示を始めた言葉。

期待ピーク期
Peak

企業の関心が爆発的に高まり、具体的成果の有無にかかわらず、多くの報告書で多用され始めた言葉。

深化・再定義期
Deepening

モメンタムが一時的に落ち着き、自社の独自性や具体的な戦略と紐付けて語られ直すようになった言葉。出現回数の多寡よりも、使われる文脈の「質」が問われる。

実装・浸透期
Integration

組織の体制や具体的なプロセス、KPIの進捗と共に語られる言葉。理想論ではなく、実務の裏付けを持って報告書の中に安定的に配置される言葉。

価値創造・標準期
Standard

統合報告書の共通言語として定着した言葉。特別な強調をせずとも、企業の価値創造ストーリーを支える土台として、全社的に当然のように使われる言葉。

「萌芽期(Emergence)」:次なる価値創造のシグナル

このフェーズに位置するキーワードは、一部の先進企業が新しい社会的要請や経営課題をいち早く察知し、具体的な「開示」として形にし始めたものです。

1. 経営・ガバナンスの進化

・エグゼクティブセッション

社外取締役のみで構成される会議体。執行側(経営陣)を交えず、独立した立場から本音の議論を行う場です。形式的なガバナンスから、真の実効性を追求する姿勢の表れとして注目されています。

・IESBA(国際会計士倫理基準審議会)

サステナビリティ情報の保証業務に関する倫理基準。開示の「信頼性」を担保するために、会計基準だけでなく「倫理」まで踏み込む動きが始まっています。

・ボルトオン型M&A

既存事業の強化や補完を目的に、比較的小規模な企業や技術を「ボルトで締めるように」追加していく手法。大規模M&Aに比べ資本効率が良く、スピード感のある成長戦略として語られ始めています。

2. 人的資本・社会の再定義

・高卒社員

「大卒・専門職」中心だった人的資本が、現場を支える多様な人材の育成や地域雇用の維持へと広がっています。

・ジェンダーバランス

「女性比率」という言葉から、組織全体の男女構成の「均衡(バランス)」が経営の健全性にどう寄与するか、というより本質的な視点へと深化しています。


3. 環境・リスクの解像度向上

・WBGT(暑さ指数)

気候変動による酷暑を「労働安全衛生」のリスクとして定量評価する動きです。現場で働く社員の命を守ることが、人的資本と気候変動の交差点として重視され始めています。

・アウトカム(Outcome)

「何を投入したか(input)」「何が起きたか(Output)」の先にある、その活動によって「社会や企業にどのような変化・価値をもたらしたか」を問う指標。事業の意義や目標、社会的インパクトへの注目度が高まり、出現が増えていると考えられます。

・IPランドスケープ

経営戦略と知財戦略を融合させ、自社の特許網や他社の動向を地図のように可視化し、競争優位性を見出す。技術力を持つ日本企業が「攻め」の姿勢を示すための必須キーワードになりつつあります。


4. 国際基準への先行対応

・SSBJ / ESRS / NCFA

日本版サステナビリティ開示基準(SSBJ)、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、自然資本金融アライアンス(NCFA)。これらは「義務化」を待たず、グローバルなルール形成を先取りして自社の戦略に組み込もうとする企業の意志が反映されています。


「期待ピーク期(Peak)」:日本国内における目下の重要課題

期待ピーク期は、昨年度や今年度のトレンドワード、定番ワードの常連たちが集結しており、日本企業が捉える重要課題が投影されています。

「成長戦略」や「価値創造ストーリー」といった、企業価値向上のロードマップを語る言葉が主役を張るなか、「資本効率」や「資本コスト」といった、東証の要請を背景としたコーポレートファイナンスへの強い関心がピークに達しています。これと並行して、「コーポレート・ガバナンス」や「監査[等]委員」といった統治基盤の強化も最優先事項として語られており、経営体制を刷新し、市場からの信頼を盤石にしようとする姿勢が窺えます。

また、変革の兆しとしての「AI活用」や「DX推進」、さらには「自然資本」や「GHG排出」、地政学リスクを象徴する「関税」など、外部環境の変化をいかに自社の機会(オポチュニティ)やリスクとして捕捉しようとするモメンタムを感じます。

「深化・再定義期(Deepening)」:流行から本質へ

深化・再定義期には、かつて「期待ピーク期」を賑わせた象徴的なキーワードが数多く並んでいます。「SDGs」や「ESG経営」、「ダイバーシティ」や「女性活躍」といった言葉は、異口同音に連呼される段階を終えました。現在は、これらを自社の経営戦略のどの部分に位置づけ、いかに具体的な競争優位へと繋げるかという、文脈の「質」が問われる再定義のプロセスにあると考えられます。

また、「気候変動」や「CO2排出量」、「再生可能エネルギー」といった環境関連のワードもこのフェーズに位置しています。これらは総論としてのリスク認識から、より詳細な算定根拠や削減ロードマップの実効性といった、具体的かつ実務的な深掘りが進んでいる証左と言えます。さらに「監査役」というガバナンス、社会の前提を変えた「コロナ禍」への言及が落ち着きを見せています。

「実装・浸透期(Integration)」&「価値創造・標準期(Standard)」: 

「実装・浸透期」に並ぶキーワードは、具体的な経営プロセスやKPIと連動した「実行」のフェーズに入っていると言えます。「人的資本」や「人権」、「マテリアリティ」といったテーマが、「ROE」「株価」「IR」といった資本市場の評価指標と密接に紐付けられ、語られ始めています。また、「実効性」や「セキュリティ」、「インパクト」といった言葉からは、構築した仕組みがいかに機能し、どのような社会的・財務的リターンを生んでいるかという、定量的なエビデンスを伴う開示が求められ、移行しつつあります。

さらにその先にある「価値創造・標準期」のキーワードは、統合報告書の「共通言語」として完全に定着しつつあるキーワードが並びます。「社外取締役」「リスク」「気候変動」といった言葉は、もはや特別なトレンドとして強調する必要すらなく、企業の価値創造ストーリーを支える「前提条件」として、報告書全体の共通言語となっています。これらは、流行に左右されない経営の不変的な構成要素として、日本企業の開示文化の中に深く根付いたといえるでしょう。


■2026年6月4日(木)12:00~解説ウェビナーを開催!

6/4(木)12:00より、本アワードの結果をさらに深掘りするウェビナーを開催いたします。

プレスリリース上では紹介しきれなかった「Top50」にランクインしたキーワードの解説に加え、キーワードの背後に潜む「一般語※」の変遷から日本企業の対話姿勢を読み解く「一般語部門」も公開予定です。データから見えた日本企業の「次の一手」を、いち早くお届けします。

※一般語とは、サステナビリティ領域の用語以外の語彙を指します。「覚悟」「問い」「丁寧」「多面的」など、企業の対話姿勢や価値観が色濃く反映される言葉の出現傾向(モメンタム)を分析対象としています。

こちらよりお申し込みください。


サステナブル・ラボ株式会社 ( https://suslab.net )

定性的に語られやすい企業の環境・社会貢献度をビッグデータとAIを用いて定量化する、国内最大級の非財務データプラットフォーム「TERRAST」非財務・ESGデータの集計・分析支援ツール「TERRAST for Enterprise」を開発・提供、サステナブル企業名鑑「テラスTV」を運営。非財務指標と財務指標の因果分析、相関分析も行い、データサイエンス × サステナビリティ × 金融工学領域の出身者による、ESG/SDGsに特化した非財務ビッグデータ集団として、社会・環境貢献と経済をシームレスに接続することを目指しています。

国内最大級ESG情報収集・分析・開示のための各種​プラットフォーム


  • 会社名:サステナブル・ラボ株式会社

  • 代表取締役:平瀬錬司

  • 所在地:東京都千代田区大手町1丁目6-1 大手町ビル 4 階 FINOLAB内

  • 事業内容:非財務データプラットフォームの提供および非財務情報を含めた企業価値に係る研究開発

  • 設立年月:2019年1月

  • 公式HP:https://suslab.net

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