農林水産業みらい基金 2018年度助成対象事業の決定について

農林水産業みらい基金のプレスリリース

 わたくしたち農林水産業みらい基金は、このたび2018 年度における助成対象事業を決定いたしました。

 農林水産業みらい基金では、「農林水産業と食と地域のくらしへの貢献」に向けて、「創意工夫にあふれた取組みで、直面する課題にチャレンジしている地域の農林水産業者へのいま一歩の後押し」を行うための助成活動を行っております。

 2018 年6月14 日から7月31 日まで一般公募を行いましたところ、全国各地より計90 件のご応募を頂きました。多数のご応募を頂きましてありがとうございました。

 今回、ご応募頂いた申請について厳正な審査を行った結果、本年度の助成対象事業として合計5件(前年比△4件)・助成総額7億4,442 万円を決定しました*。
 助成対象事業は別紙のとおりです。
 今後、助成対象事業に対する資金助成とともにそれぞれの取組みを広く紹介して参ります。

 来年度につきましても、募集要項の見直しを行いながら、農林水産業の発展に向けた助成事業を行ってまいりますので、今後ともよろしくお願いします。

以 上



*申請額ベースの金額であり、実際の助成金額と異なる場合があります。助成対象事業1件あたりの最大助成額は3億1,121万円、最小助成額は1,728 万円です。

私たち農林水産業みらい基金は、JA(農業協同組合)・JF(漁業協同組合)・JForest(森林組合)グループの一員である農林中央金庫によって設立されました。

2018年度 助成決定事業
■助成先①(農業)

事業主体    十勝農業協同組合連合会
プロジェクト名 農業情報のAI 解析による「生産者高度支援システム」の開発事業
事業地     北海道 帯広市

助成先①十勝農業協同組合連合会
・当会は、十勝管内の農畜産業の生産指導を担う連合会であり、これまで、地元JAと生産者を結ぶネットワークインフラの構築や、生産履歴情報・土壌分析情報といった個別運用してきた各種情報システムの一元化など、情報基盤とリテラシーの整備を進めてきました。
・このプロジェクトは、既存の営農支援情報システムをより高度化させ、当会内外で蓄積されたデータを活用しつつ、生産現場での課題解決を図る取組みです。
・具体的には、生産者がスマートフォンなどで害虫、食害痕、病変部位などの画像を撮影し送信すれば、AIが病害虫を判定し速やかに適切な対応をとることができ、マッピングシステムと連携した病害虫発生地点情報の公開によって、地域全体への注意喚起も可能となります。
・過去の生産履歴や衛星ドローン画像、作業情報、生育・収量情報、組合員勘定情報等を解析することで、圃場単位の費用対効果の確認や自己の経営の評価もできるようになります。
・今回の事業では、これまで熟練農家が有する高度で専門的な知識やノウハウと同等の情報をICTによって次代に継承することが可能となり、農業生産における収益安定とコスト削減、十勝管内の農業生産の伸長につなげていきます。

■助成先②(農業)

事業主体    萩アグリ 株式会社
プロジェクト名 “萩市東部地域”みらい活性化プロジェクト
事業地     山口県 萩市

助成先②萩アグリ株式会社
・当社は、担い手の減少や高齢化、耕作放棄地の増加といった中山間地域が抱える課題に連携して対応すべく、複数の地元集落営農法人により設立された農事組合法人連合体です。
・このプロジェクトでは、とりわけ高齢化で担い手確保が急務となるなか、冬季の仕事づくりにより周年雇用を可能とする事業の本格展開を図ることで、次世代後継者を地域内外から確保し、育成していきます。
・具体的には、IoTを活用した園芸ハウスの導入による冬春トマトの生産、露地野菜栽培、水田作物等の栽培を組み合わせた総合的な研修により、地域での新規就農を支援し、当社と構成法人が連携して担い手の育成を行っていきます。また、近隣地域の夏秋トマトと冬春トマトを組み合わせることでブランド化を図っていきます。
・JAや自治会、道の駅など地元関係機関からも、栽培の技術指導や販路開拓などについて、幅広くサポートを受けるなど、地域一丸となった仕組み作りもなされています。
・連合体組織である当社が核となって、施設園芸農業を入口に人材を集め、地域一体となって持続可能な地域農業の実現と持続的発展を目指していきます。

■助成先③(農業)

事業主体    美瑛町農業協同組合
プロジェクト名 気象センサーのメッシュ配置による農業生産性向上事業
事業地     北海道 上川郡 美瑛町

助成先③美瑛町農業協同組合
・美瑛町は「丘のまち」と言われるほどの丘陵地帯であり、管内各地での天候が大きく異なる地域特性があります。近年では猛暑、冷夏、豪雨等の天候不順が農業生産に影響を及ぼしている状況です。
・一方で、生産者の平均耕作面積は年々拡大し遠隔地圃場も増え、気象状況を考慮した圃場管理にも課題があります。
・このプロジェクトは、町内3km四方ごとに気象情報収集センサーを配置し、リアルタイムで管内生産者に情報発信することで、収穫適期の把握、各種管理作業の判断、気象予測や防災への活用等を通じ農業生産性の向上を図る取組みです。
・ピンポイントでの気象データのリアル配信によって、生産管理に有用な情報把握が可能となることに加え、中長期的には、蓄積される経年データの分析による農業生産と気象条件との因果関係の解明を進めることにより、個々の圃場に適した新品目・新品種の導入検討につなげるなど、一層の農家所得向上を目指していきます。

■助成先④(林業)

事業主体    一般社団法人 天川村フォレストパワー協議会
プロジェクト名 木の恵みと生きる陀羅尼助の郷、天川村の豊かな未来
事業地     奈良県 吉野郡 天川村

助成先④一般社団法人天川村フォレストパワー協議会
・当法人は、奈良県吉野山地の中心に位置する天川村における森林林業の活性化を担う法人として、村の主導のもと設立されました。
・当地区では、キハダを利用した苦味健胃薬「陀羅尼助(だらにすけ)」が1300年以上の歴史をもつ特産品として有名です。しかし、自然林の減少により県外原料等への依存が続くなか、地産化が地域の長年の夢となっています。
・今回の事業は、杉林の伐採跡地に、キハダ・ホオノキ・クロモジといった広葉樹を植林し、地元特産物や観光資源として持続的に活用する取組みです。
・キハダを植樹することで、陀羅尼助の原料としての利用を目指すとともに、ホオノキ・クロモジを混植し、朴の葉寿司やアロマオイルの原料として特産品生産に活かしていきます。
・スギ・ヒノキの一大生育地である当地域において、新たに広葉樹に着目し、林型の多様性を確保しながら、伝統文化の継承と地域雇用の創出や域内収入の増加といった山村地域の活性化を目指します。

■助成先⑤(水産業)

事業主体    魚津漁業協同組合
プロジェクト名 地域力で構築する広域的連携による自立型セーフティネット
事業地     富山県 魚津市

助成先⑤魚津漁業協同組合
・当組合は複数の地元加工会社とともに、水産業界初となる有限責任事業組合を2006年に設立。加工会社と協働し、ホタルイカやブリなどの加工商品の開発とその販売先拡大を進めるなど、加工事業を通じた地元魚の需要創出による魚価の安定に取り組んできました。
・その一方、近年の加工事業を取り巻く環境は、加工原料の安定確保・後継者不足・HACCP制度導入・販路開拓といった課題への対応がますます求められる状況にあります。
・今回のプロジェクトでは、これまでの取組みをさらに進め、地元の複数の漁協や加工会社とともに広域的なコンソーシアムを立ち上げ、原料調達・加工・販路開拓の役割分担を行いつつ、加工事業の分業化を図ります。
・当組合が核となって、原料の安定調達、加工会社に対する人材支援、品質・衛生管理レベルの引き上げを図るとともに、加工場への高次加工ラインを導入することで中核施設として整備し、加工会社との間で高次・低次加工の分業化を進めるなど、単体では実現困難な生産態勢、連携基盤の構築を目指します。

2018年度 申請・助成件数
              件数  (前年度) (前年比)
助成申請受付<合計>    90件  79件   +11
産業別  農業       58件  46件   +12
     林業        7件  18件   △11
     水産業      25件  15件   +10
地域別  北海道・東北   22件  23件    △1
     関東・甲信越   13件  10件    +3
     東海・北陸・近畿 24件  18件    +6
     中国・四国    15件   8件    +7
     九州・沖縄    16件  20件    △4
助成対象事業合計       5件   9件    △4

以 上

【この件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人 農林水産業みらい基金
ホームページ http://www.miraikikin.org/

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