第2回 不動産投資オーナーのESG意識調査~不動産のESG投資の認知度が向上~

株式会社グローバル・リンク・マネジメントのプレスリリース

投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。
(過去のレポート一覧はこちら ⇒ https://www.global-link-m.com/company/institute/)
 同研究所では、調査・研究の第14弾として、全国の投資用不動産保有者400名を対象に、ESGに対する意識調査を実施しました。

 

  • 【01】不動産投資のESGの認知度が向上

不動産投資のESGの認知度 前年の24.3%から30.5%に向上
「重要だと思う」も25.0%から31.0%にアップ 注目度が高まる

 

 

不動産投資のESGの認知度が向上

グローバル都市不動産研究所では、全国の投資用不動産所有者400人に、不動産投資のESGに関わる意識調査を行いました。この調査は、2021年1月にも実施しており、今回が2回目です。

①ESGの知名度
そもそも「ESG」という言葉を聞いたことがあるかを尋ねた結果、聞いたことが「ある」は41.0%でした。
昨年調査ではこれが33.8%でしたので、不動産投資家のESGの知名度は7.2㌽上昇していました。

 

②不動産のESG投資の知名度
ESGとは別に、「不動産のESG投資」の認知を尋ねました。この結果、「知っていた」は30.5%で、およそ3人に1人が不動産のESG投資を認知していることが分かりました。昨年は「知っていた」が24.3%でしたので、6.2㌽認知度が向上しています。
 

③不動産のESG投資の重要度
不動産のESG投資の認知を問わず、その内容について、投資先を判断する材料・要素として重要だと思うかを尋ねました。この結果、「重要だと思う」は31.0%、「どちらかというと重要だと思う」は44.8%で、合計75.8%が「重要だと思う(計)」と回答しました。昨年と比較すると、「重要だと思う」という明確な回答が昨年から6㌽増えており(昨年25.0%、今年31.0%)、「重要だと思う(計)」は昨年から2.8㌽増えています(昨年73.0%、今年75.8%)。この設問は不動産のESG投資の認知を問わないものですので、ESGという言葉を知らなくても、投資先判断において環境・社会に対する好悪の影響の考慮が重要だと考える不動産投資家が増えていることが確認できました。

④重要だと思う理由
不動産のESG投資が重要だと思うと回答した人に対して、その理由を複数回答で尋ねました。この結果、「中長期的な資産価値の維持に寄与すると思うため」「賃料収入などリターンに好影響をもたらすと思うため」が5割前後を占めていました。昨年との比較では、全体的な傾向に変化はありませんが、各項目の選択率は上がっています。

 

  • 【02】在宅時間が伸びた影響か 「S」の健康性・快適性に注目

長引くコロナの影響か 重要だと思う分野は「健康性・快適性」が1位
今後の不動産投資でESGを意識する 85.2%

⑤重要だと思う分野
不動産のESG投資が重要だと思うと回答した人に対して、どのような分野で重要だと思うかを尋ねました。昨年は「地域社会・経済への貢献」がもっとも高く、「気候変動への対応」が続いていました。今年は、「健康性・快適性」の向上が最も多く48.8%、これに「地域社会・経済への寄与」が続いています。「健康性・快適性」については、新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、家で過ごす時間が長くなっている背景があると考えられます。
昨年との比較でほかに変化が目立つのは、「災害への対応」で33.9%から40.9%に上がっています。自然災害の甚大化が続いており、防災意識が強くなっていることが分かります。

⑥今後の不動産投資でESGを意識するか
今後の不動産投資で、ESGを意識するか尋ねた結果、「必ず意識すると思う」が20.5%(前年比3.5㌽増)、「投資目的によっては意識すると思う」が最も多く45.0%(前年比-0.5㌽)、「投資対象となる物件によっては意識すると思う」(前年比-1.0%)でした。「意識しないと思う」は、14.8%にとどまり、昨年比で2㌽減少しています。理由を問わず「意識する」は合計で85.2%に達しており、中でも「必ず意識する」が前年より増えていることから、不動産投資でESGを意識するとの考え方が色濃くなってきていることが分かります。

⑦どのような目的であれば意識するか
今後の不動産投資でESGを意識すると回答した人に対して、どのような目的なら意識するか尋ねました。
この結果、昨年は3位だった「余剰資金の活用」が43.7%で最多になりました。余剰資金の活用と不動産のESG投資の親和性があると受け止めた不動産投資家が多いようです。

 

 

  • 【03】ESG対応物件 購入費用増額を許容 72.4%

「購入費用増額を許容」が72.4% 増額許容の度合いは1~6%程度が多い
不動産のESG投資を意識する物件は「ワンルーム区分マンション」が大幅増加

⑧ESG対応物件の購入額
ESG対応を進めている物件の価格に対する影響を探るため、ESG対応物件の購入額の増額に対する意識を尋ねました。
この結果、「意識はするが、購入費用に差が出ることは許容できない」が最も多かったものの、27.6%と全体の1/4程度に留まりました。この回答を除いた72.4%は、増額を許容する結果になっています。昨年との比較でも、「許容できない」の比率は0.6㌽とわずかではあるものの減少しており、許容度が増していることが確認できました。
増額の許容額については、「1~2%」が19.4%、「3~4%」が20.5%、「5~6%」が20.8%で、この3つで全体の約60%を占めています。昨年との比較では「1~2%」が15.9%から19.4%に増えている一方、「9~10%」が3.6%から5.6%に増えています。

⑨ESG投資を意識する物件
今後の不動産投資でESGを意識すると回答した人に対して、どのような物件なら意識するか尋ねました。
この結果、「ワンルーム区分マンション」が42.2%で最も昨年から大きく伸びています。これに次ぐ2位は「ファミリー向け区分マンション」と、区分マンションが上位2位を占めました。
一方、企業への投融資におけるESG評価が広がってきていますが、ホテル、事務所・店舗、商業施設、物流・倉庫、データセンターは1割に満たない結果でした。今後、これらの非レジデンス分野に対するESG投資の意識が強まるか注目されます。

 

  • 【04】都市政策の専門家 市川宏雄所長による分析結果統括

ESGを配慮した不動産の価値が上がり、投資対象として注目が高まる

SDGsという言葉が世界の流行になり、環境問題に目を向けないことは許されない状況になりつつあります。そのなかでESGが投資の分野での常識となってきました。世界に遅れる日本でもその認知度は高まりつつあり、その比率は1年前の調査にくらべて2割5分から3割に上昇しました。

この1年間の最大のトピックはコロナ禍における世界的なパンデミックであり、人々はそのなかでESGを考えるという特殊な状況にありました。パンデミック前は、ESGは「地域社会・経済への貢献」、「気候変動への対応」といったいわば当たり前のことで重要だと思われていたのが、感染症への恐怖から、人々は自分たちが生活する居住環境へ目をむけ、その結果「健康性・快適性の向上」がESGを考える上で最も重要だと考えるようになりました。さらに、感染症による災害を経験したことで、「自然災害への対応」においても重要であるとの認識が高まっています。

こうした状況のなかで、不動産のESG投資については、現在、およそ3人に1人がその存在を知っていることが分かりました。さらに、今後の不動産投資でなんらかの形でESGを意識するであろう人は8割を超しています。ESGを考慮した不動産がこれから投資の価値基準の一つとして位置づけられることは間違いないでしょう。

では、そのために起こるであろう価格の上昇はどこまで受け入れられるかです。回答からは4分の3の人が受け入れる用意があることが分かりましたが、その増額許容の度合いは1~6%程度が多く、それ以上の価格上昇はあまり望んでいません。しかしながら、ESGを配慮していない不動産は価値が下がる可能性が考えられるので、価格の上昇幅の妥当性については、そのバランスで決まることになるでしょう。

不動産のESG投資を意識する物件については「ワンルーム区分マンション」が圧倒的なトップです。一方、企業への投融資において、ESG評価が重要な視点として広がっていますが、回答では、ホテル、事務所・店舗、商業施設、物流・倉庫、データセンターは1割に満たないのです。すでにオフィスなどの業務施設についてのESG対応は始まっているのですが、そのことがあまり知られていないのか、あるいはコロナの影響で人々の興味がレジデンス分野にシフトしているのがその理由かもしれません。

ESGを配慮した不動産の価値が上がり、投資対象としての注目が高まることがどのくらいの時間軸で進むのか、アフターコロナの経済活動の活発化が期待されるなかで、目が離せない状況になっています。
 

  • 取材可能事項

本件に関して、下記2名へのインタビューが可能です。
ご取材をご希望の際は、グローバル・リンク・マネジメントの経営企画部 広報担当までお問い合わせください。

 

・氏名  :市川 宏雄(いちかわ ひろお)
・生年月日  :1947年 東京生まれ(74歳)
・略歴  :早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。世界の都市間競争の視点から大都市の将来を構想し、東京の政策には30年間にわたり関わってきた東京研究の第一人者。
現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。
 

・氏名      :金 大仲(きむ てじゅん)
・役職      :株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役
・生年月日  :1974年 横浜生まれ(47歳)
・略歴  :神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。その後、家業の飲食店を経て大手デベロッパー企業に転職し年間トップセールスを達成。そこでの経験を経て30歳の時に独立し、グローバル・リンク・マネジメントを設立。

 

  • 会社概要

会社名  :株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社HP  :https://www.global-link-m.com/
所在地  :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
代表者    :代表取締役社長 金 大仲
設立年月日  :2005年3月
資本金  :539百万円(2021年12月末現在)
業務内容  :投資用不動産開発、分譲、販売、仲介
免許登録  :宅地建物取引業 東京都知事(4)第84454号
所属加盟団体  :(社)東京都宅地建物取引業協会、(社)全国宅地建物取引業保証協会、(社)全国住宅産業協会、(財)東日本不動産流通機構、(社)首都圏中高層住宅協会

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