三菱UFJ信託銀行株式会社のプレスリリース
*1 ブロックチェーン等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、法定通貨と価値の連動等を目指す決済手段の総称
1.「SRC」のこれまでの取組み実績と課題認識
三菱UFJ信託銀行では、「Progmat」を活用したSTO(セキュリティトークンオファリング)*2の迅速な社会実装・普及を目指し、2019年11月6日付で「ST研究コンソーシアム」(略称SRC)を設立し、現在の会員企業数は 83社まで拡大しております。
「Progmat」を利用するSRC会員企業間の共創により、本邦初となる資産裏付型STの発行に続き、複数の公募実績が積みあがっており、2023年度にはデジタル証券PTS*3連携によるセカンダリ市場確立や、ブロックチェーンのオープン化を予定しています。このような動きを踏まえ、「Progmat」利用者間のST取引において、ブロックチェーン上で効率的且つ安定的に資金決済が可能なSCの必要性を認識しておりました。
*2 ブロックチェーン等の電子情報処理組織を用いて移転することができる有価証券等であるセキュリティトークンを発行し、資金の調達を行う行為の総称
*3 証券取引所を介さずデジタル証券を売買できる私設取引システム(Proprietary Trading System)
2.ステーブルコインを巡る規制動向
2021年11月17日に公表された「「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」中間論点整理」や、2022年1月11日に公表された「金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」報告」において、SCは新たに「電子的支払手段」として定義され、具体的な制度設計や法制化の方向性について検討されており、受益証券発行信託を用いたスキームについても触れられています。
3.受益証券発行信託スキームを用いた「Progmat Coin」の概要
三菱UFJ信託銀行では、「電子的支払手段」に係る法制化内容(以下、新法制)に準拠する形で、“1円=1Coin”で価値が固定化されたSCを発行・管理するための「Progmat Coin」の仕組みを開発・提供し、新法制施行時期に合わせ、自らSC発行体の一角としてSC発行を目指します。
「Progmat Coin」は、「デジタルアセット領域におけるユニバーサルな資金決済手段を提供すること」を目標とし、「Progmat」上で発行されるSTのみならず、その他のST基盤上で発行されるSTや、いわゆるNFT*4や暗号資産についても、ブロックチェーン上での即時グロス決済(Real-Time Gross Settlement、RTGS)の対象にすると共に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や他の民間デジタル通貨等の決済手段ともシームレスに交換可能な仕組みを整備していきます。
「Progmat Coin」は広範な事業者のネットワーク直接参加を想定し、SC発行用信託の受託者向け機能の提供のほか、様々な仲介事業者が提供する日常チャネルへのプログラム組み込み(Embedded Finance(埋込型金融))も可能な“開かれた基盤”とすることを目標とします。
「Progmat Coin」は受益証券発行信託スキームを用いることで、以下の特徴を備えています。
- 新法制準拠:「発行者規制」「仲介者規制」を満たした仕組み
- SC利用者の権利保全:SCの裏付となる法定通貨は全て信託財産となり、SC提供者(発行者・仲介者)の倒産リスクから隔離され、常に全額償還請求が可能
- 高い効率性:対抗要件問題く、デジタル完結でSCの転々流通が可能(ブロックチェーン更新を受益権原簿記録とする仕組みで特許登録済み)
*4 ブロックチェーン等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、一意で代替不可能なデータの総称
4.「ST研究コンソーシアム」の改組と「資金決済WG」の設置
以下2点の背景を踏まえ、2022年4月より、「ST研究コンソーシアム」(略称SRC)を「デジタルアセット共創コンソーシアム」(Digital Asset Co-Creation Consortium、略称DCC)に改組します。
- 対象アセットの拡大:STのみならず、SCやNFT、暗号資産等まで拡張している
- 協業領域の拡大:会員企業間による協業領域が既に研究フェースを超え、新たなエコシステムを共創するフェーズに移行している
「DCC」では、2022年4月より、「Progmat Coin」を活用したデジタルアセット決済の迅速な社会実装を目的に、以下の内容を検討テーマとした「資金決済WG」を設置します。
- Progmat内RTGS:「Progmat」上のSTとのRTGSに係る、提供者間連携を具体化
- クロスチェーンRTGS:「Progmat」以外のブロックチェーンとのクロスチェーンに係る技術検証、及び商用化の在り方に係る関係者間合意形成
今後も三菱UFJ信託銀行は、テクノロジーの積極的な活用を通じて、様々な社会課題の解決に貢献してまいります。
以 上
◆「Progmat(プログマ)」について
Webサイトを公開しておりますので、以下URLからご覧ください。
https://www.tr.mufg.jp/progmat/
◆「Progmat Coin」のコンセプト
コンセプトペーパーをご用意しておりますので、以下URLからご覧ください。
https://www.tr.mufg.jp/ippan/pdf/progmat_coin.pdf
◆「Progmat Coin」のスキームイメージ