EY Japanのプレスリリース
・コロナ禍で取り入れた行動パターンは今や「ノーマル」に
・消費者は必要ないと考えるアイテムを買わなくなる傾向
・この年末・年始商戦に実店舗で買い物をする予定の消費者は昨年より増加
EYは、最新の消費者動向レポート「第8回 EY Future Consumer Index」(以下、「本調査」)を発表しました。消費者がコロナ禍で取り入れた行動パターンを2020年4月から追跡した結果、本調査で一部の行動パターンが消費者のマインドに根付いていることが判明しました。
今回の調査対象となった1万6千人の消費者の過半数(63%)が、コロナ禍で取り入れざるを得なかった新しい行動パターンが、今や「ノーマル」に感じていると回答しています。そして消費者にとって重要になっているのが、気候変動の問題、および充実した体験を追求することです。本調査によると、前回調査で特定されていた「社会ファースト」、「健康ファースト」、「値ごろ感(アフォーダビリティ)ファースト」の消費者層よりも、「地球(環境)ファースト」の消費者層と「体験ファースト」の消費者層がコロナ禍で大きく躍進し、「地球ファースト」は16%から26%へ、「体験ファースト」は11%から18%に上昇しました。また、回答者の85%が、購入の意思決定の際に、サステナビリティが重要な要素だと回答しています。
少ない持ち物で暮らす選択
本調査によると、回答者は購買の決定をする際の優先順位を見直しており、必要ないと感じるアイテムに対して以前より購入しない傾向になってきています。これには、経済的な理由で必要ない(49%)と感じる場合と、環境を配慮して必要ない(30%)と感じる場合があります。こうした傾向は、自身の財力を示すための消費(conspicuous consumption)という行動パターンに長期にわたって大きな影響を与えるとみられます。実際、世界各国の消費者の44%(ミレニアム世代では49%、Z世代では47%)が、ブランドは購買の際の決定要因にあまりなっていないと考えられます。この傾向は特に中国において顕著で、中国の回答者の59%が、購入決定においてブランド名はあまり重要ではないと回答しています。最新のガジェットやテクノロジーのトレンドに関しては、世界各国の回答者の半数近く(41%)、および米国の回答者の約半数(45%)が、トレンドに遅れを取ってはならないというプレッシャーを以前より感じなくなっていると回答しています。購買が幸福感をもたらすことを、購入を決定する理由に挙げたのは、回答者のわずか27%のみで、48%はそうは思わないと回答しています。
世界各国の回答者の約半数(47%)が、ありのままの自分の姿をこれまで以上に受け入れるようになっており、美容化粧品の必要性がないと回答しています。このように考えている回答者の割合は、米国で51%、ブラジルで57%、中国で60%、インドで73%と高くなっている。一方で、欧州の一部(フランスで37%、ドイツで43%)は、低いまま留まっています。
全般的に、コロナ禍は、より少ない持ち物で生活しても問題はなく、“より賢い”消費が可能であることを、消費者に気付かせるきっかけとなりました。消費者は、本当に必要な数よりも多くの衣服を持っていると考えており(48%)、物を買い替えるより修理して使う(53%)傾向がより強くなっています。
EYグローバル・コンシューマー・リーダーのクリスティーナ・ロジャースは次のように述べています。
「多くの消費者が、コロナ禍でより少ない持ち物で暮らす生活様式を習得しました。この傾向はコロナ後も定着していくことが見込まれます。節約志向がこの方向転換の最大の理由ですが、環境への配慮、より長持ちする品質の高いアイテムの購入、物よりも体験を求める姿勢、といった要素もまた重要な要因です。消費者が今年の年末商戦で、そして2022年において、こうした新しい価値観を体現していくことは確実です。企業はこの新しい消費者の行動パターンを分析することが必須となるでしょう。それによって、企業は、以前より多くの時間を家で生活、仕事、遊ぶことになった消費者に対するエンゲージメントの方法を見直し、実店舗でもオンラインでもシームレスで一貫性のあるブランド体験を、消費者に提供することができるようになります」
今年の冬、消費者は店舗に戻りつつある
本調査によると、若い世代の消費者が、年末・年始商戦をけん引していくことを示唆しています。Z世代の71%、ミレニアム世代の68%が、来たる年末・年始セールに参加する予定だと回答しています。これに対して、ベビーブーム世代でそう答えたのは37%でした。しかし、人々の買い物の方法は、昨年と比べて変化しています。
コロナ禍に見舞われて以来、ネット通販の普及が主な潮流となっていますが、世界各国の回答者の半数以上(51%)が店舗で掘り出し物を探し求めることを計画していると答えています。これは昨年の39%から上昇しています。この傾向の理由として、本調査から2つの要因がうかがわれます。1つ目は、世界の大部分の国で行動規制が緩和され、店舗が再開されていること、2つ目は、消費者が、サプライチェーンのディスラプションによって増加している配送コストや配送の遅延を嫌っているためです。実際、この年末年始にオンラインで買い物をする予定の消費者にとって、最大の懸念材料は高い配送コスト(32%)となっており、製品が入手できるかどうか(25%)がそれに続いています。従って、企業は、この懸念を緩和するために、サプライチェーン、在庫管理、ロジスティクスを見直す必要があることを、本調査は浮き彫りしています。特に、少なくとも57%の消費者にとって、企業が提供するサービスの質がますます重要な購買要因となっている状況を考えると、これらの見直しが重要となるでしょう。消費者はより賢くお金を使うようになっています。従って、企業は、配送のコストや遅延などの問題を緩和し、消費者がネット通販と実店舗での買い物を自由に使い分けられるようにサポートすることが必須となるでしょう。
EY Japan 消費財・小売リーダーの平元 達也は次のように述べています。
「新たなコロナウイルス変異株により更なる行動制限も懸念され、我々の生活が平時に戻るタイミングは不透明感が増していますが、コロナ後も見据えた消費行動のモメンタムとして、より必要なモノだけを消費する傾向は一層高まっています。商品・サービスを提供する企業側が、この少ないチャンス(消費機会)を獲得するためには、消費者が商品・サービス選択時に考慮する経済的条件(値ごろ感)や環境への配慮、体験重視に加えて、日本国内でもコロナ禍を通じて急速に拡大したネット通販における高い利便性といった消費者ニーズに応えることがより重要になっています」
EY Future Consumer Index の最新版は以下をご覧ください。
これまでのEY Future Consumer Index に関しては、以下のEY Japanのウェブサイトよりご覧ください。(最新の日本語版のレポートは近日公開予定)
ey.com/ja_jp/future-consumer-index
※本プレスリリースは、2021年11月17日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。
英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:EY Future Consumer Index: consumers are choosing to live with less and re-evaluating purchases
<EYについて>
EY | Building a better working worldEYは、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をパーパスとしています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
<EY Future Consumer Indexについて>
EY Future Consumer Indexは、タイムホライズンとグローバル市場を対象に、変化する消費者のセンチメントと行動を追跡し、台頭しつつある新たな消費者セグメントを識別するものです。このIndexは、どの変化がコロナ危機への一時的な反応で、どの変化がより根本的な転換なのか、そして、コロナ禍後の消費者行動がどのようになるかについて、通常の経年的指標と独自の観点を提供します。第8回EY Future Consumer Indexでは、2021年10月6日から10月25日までの期間に米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、中国、インド、ブラジル、サウジアラビア、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、インドネシア、イタリア、スペイン、メキシコ(今回初)、南アメリカ(今回初)の16,000人の消費者を対象に、調査を実施しました。