金融のプロたちが日本経済・金融の“これから”を語る!auじぶん銀行社長・臼井×西村元日銀副総裁 特別対談 これからの20年は効率化と高付加価値の二正面作戦がカギに!?

auじぶん銀行のプレスリリース

auじぶん銀行株式会社(所在地:東京都中央区 代表取締役社長:臼井 朋貴)は、「auじぶん銀行臼井社長×西村元日銀副総裁 特別対談『金融の未来とauじぶん銀行が担う役割とは~日本経済の “これまで” と “これから” を金融視点で切る~』」(以下 本イベント)を2021年11月25日に行いましたので、当日の様子をご報告します。

 本イベントでは、急速に進む技術革新の中で変革期を迎える金融業界について、auじぶん銀行社長の臼井と今年4月からauじぶん銀行のエグゼクティブアドバイザーに就任した西村氏が対談しました。日本経済のこれまでとそこからの変化について、景気の後退や、デジタル・デバイト問題、さらには投資におけるSDGsなどにも触れつつ、西村氏は「日本経済・世界経済のかなりの部分が、“既存のサービスの品質競争”から“私にふさわしい、今までにないサービスの供給競争”へと変化しているため、革新的なサービスの提供が求められている」と指摘。臼井は今後の展望として「グループ連携を強化し、さらにユーザーファーストを徹底したサービスへと繋げていきたい」など、対談を通して “これから” のauじぶん銀行について話しました。

<イベントレポート>
日本経済のプロが見る!日本経済・金融の「これまで」

―日本経済のこれまで

 日本経済を長きにわたり研究してきた西村氏は、バブル経済後の景気低迷とデフレは、日本経済にとって大きな足かせとなり、まさにこの困難な時期に、日本経済の構造転換が必要だったと説明。バブル崩壊が、IT化などに代表される産業技術の革新と重なったと語る西村氏は、日本経済と企業の成長について具体的に二つの道があったと列挙しました。一つ目は“新市場を創出して新しい付加価値を作り出す”という道。これは、新しい技術を、分野を超えて組み合わせ、革新的な商品・サービスを実験的に世に出し、消費者の反応を先読みしながら矢継ぎ早に変更していくもので、消費者の需要も拡大していき物価は上昇傾向になると説明しました。そして二つ目は“生産の絶え間ない効率化・費用削減”という道。これは、生産を効率化し低価格で商品を提供するということ。「本来日本は新市場創出と生産性効率化、この二正面で戦えたものの、金融危機以来、リスクを回避する傾向が強くなり、インターネットを通じたオープン化と連携の強化に企業や政府が乗り遅れ、結局生産効率化の道を選ぶことになった訳です」と振り返り、「“効率的に生産する”ことが重要なのはもちろんなのですが、今は“新たな価値”を創造する仕組みが求められていると思っています」と考えを述べました。

―“効率化”が金融業界に与えた影響

 西村氏の話を受けたMCが、日本経済が効率化への道を進んできた流れは金融業界にどのように影響しているのかと臼井に質問すると、臼井は「日本でのインターネット銀行の登場は2000年からでした。店舗の運営費や人件費をかけずにインターネットを通じて低コストで金融サービスを提供できるので、その分ATMや振込手数料は低くしたり、ローンは低金利で提供したりすることで従来型の銀行に対抗していました。“革新的な商品やサービスの提供”という道を目指しつつも、金融法制下における新商品・サービス開発は大変だということを言い訳に“効率化”の道の中で誕生したということなのでしょう」と、効率化に突き進む中での、IT革命のひとつの端緒としてインターネット銀行が誕生したことを語りました。この変化に合わせ、auじぶん銀行は2008年にモバイルバンクを設立。臼井は「実店舗を持たないという点では効率化と言えるかもしれませんが、それよりも、生活に浸透し始めたスマートフォンに特化してすべてのサービスを展開するという新たな市場を開拓し、顧客体験価値を提供することを目指しています。『手のひらの上の銀行』というコンセプトのもと、例えば、ネットだけで完結する住宅ローンなど新しい金融の形を見出せたと思います。現在は各社ともFintechやAI技術を取り入れた新たなサービスにも力を入れていますので、急速に発展してきています」と時代の流れに即して進化を続けてきたことを強調しました。

※住宅ローン:https://www.jibunbank.co.jp/products/homeloan/

日本経済の現在の課題とは!?広がる格差問題について指摘
auじぶん銀行の掲げる目標 「誰一人として取り残さない2030年の未来を創るために」

―日本経済の課題
 「広がる格差問題 資産形成」というテーマで現在の日本経済の課題に目を向けました。課題が山積みだと話す西村氏。金融サービスが便利に進化していく一方で、高齢層にはインターネットバンキングやキャッシュレスが浸透しておらず、ICTスキルの低さで取り残されてしまうデジタル・デバイド問題を指摘します。加えて日本人の金融知識についても、臼井は「実際に投資・資産運用にあまり関心の無い方が多いです。それは環境的に仕方のない側面もあり、欧米に比べて学びの機会が圧倒的に少ないことが課題だと考えています」と述べました。

―auじぶん銀行が提供する金融教育の取り組み
 この学びの機会の少なさに対して臼井は、大人向け金融教育として、資産運用のウェブセミナーや、元プロ野球選手と臼井自身が投資や資産運用について語る対談企画「教えて!臼井社長」の実施などを紹介。また、子供の頃から金融に関して正しい知識を身に付ける機会を提供していくことも必要だと考え、子供向けのアニメーション動画を作成してHPに公開するほか、実際に小学校を訪問してお金の授業をする「夢の教室」といったauじぶん銀行の独自の取り組みについて説明しました。西村氏は、auじぶん銀行ならではの金融教育に多大な興味を示し、「臼井社長の活動が大きな広がりを持っていって欲しいですね」と期待を寄せました。

※資産運用のウェブセミナー:https://www.jibunbank.co.jp/landing/jibunbank_japan_pmi/
 教えて!臼井社長:https://www.jibunbank.co.jp/dialogue/ceo_01/
 子供向けのアニメーション動画:https://www.jibunbank.co.jp/sdgs/mukasi_banashi/
 夢の教室:https://www.jibunbank.co.jp/corporate/news/2020/1127_01.html
 
―これからの投資は“安心・安全・納得”が新たな判断基準に!SDGsの視点を持つ重要性

 金融教育についての課題について、西村氏は「これからは、若者への金融知識の教育に加えて、高齢者のITスキル教育や金融知識の再教育も必要になっていきます。家計金融資産はシニア層に偏っているので、デジタル・デバイドのことも考え、金融教育と情報教育の適切な組み合わせというのも必要となるでしょう」と指摘。これを踏まえ臼井は、シニアまで視野に入れたauじぶん銀行の金融サービス提供について「幅広いユーザーに受け入れられ、誰でも簡単に操作いただけるものにしていきたいと考えています。SDGsが掲げる『誰一人として取り残さない2030年の未来を創るために』という言葉を実現していきたいですね」と、ユーザーファーストを追求する姿勢を見せました。
 金融教育を進める中で気を付けることとして、西村氏は三つのポイントを解説。一つ目は「ライフステージによって必要な投資情報や意識が変わること」を指摘し、長期に運用して将来への蓄えを増やす若い世代と、資産の取り崩しで長い残りの人生の支出をまかなう高齢層のお金の意識の違いについて述べました。二つ目は「十分な情報が分かりやすく伝わっているか」だと説明。有利な点に焦点をあわせて金融商品を売ろうとする売り手に対し、買い手が不利な点をよく理解した上で判断できるよう、ユーザー目線に合わせた情報提供のサービス展開が必要だと訴えました。そして三つ目は、「金融教育によって、単に資産形成に止まらず、“将来自分が何をしたいのか”を考えるようになる」ことを最も重要なポイントとして挙げ、「その資産を使って日本に、そして世界に貢献ができることが分かれば、生き方が変わっていきますよね。自分の考え方で投資をするときに、その投資が他の人々を傷つけることにならないかを気にするようになってほしいです。これは投資家を超えた個人としてのSDGsの基本だと思います」と力説しました。
 これらを踏まえ臼井は、auじぶん銀行としてさまざまなユーザーに向き合い、気づきを与えるような商品を提供していくと話します。その取り組みについて西村氏は「ニーズに対する気づきを与えることで、投資に対し“抵抗”ではなく“納得感”をもてるようになる」と話し、「投資は“安心・安全・確実”が理想ですが、価値が大きく変動するリスク資産に投資しながらそれらを確保することは難しい。しかし、“納得”できるものに投資をすることで、金銭的価値の変動に惑わされる程度は減少することになります。投資は“安心・安全・納得”が新しい判断基準になるのではないでしょうか。そして“納得”には、SDGsの視点も含まれます」と話ました。臼井は、西村氏の意見に納得しつつ「商品・サービスの面でも、お客さまひとりひとりの年齢、価値観、金融知識、ニーズに合わせ、金融をより身近に感じてもらえるサービスを提供していきたいです」と語りました。

日本経済・金融の今後を予想!
20年後は銀行が生まれ変わり、構造が変化する!?

―日本の銀行は生まれ変わる!?銀行の構造変化

 最後に「日本経済、金融の“これから”」というテーマについて語りました。西村氏は、20年後の日本の銀行について、今のような形の銀行がなくなっていると話し、「地方銀行も再編され、今我々が慣れ親しんでいる銀行店舗、そして銀行そのものも次々に減ってきています」と銀行の変化を予測。「暗号資産のような全く新しい資産が作られ、今まで存在した資産もインターネット上で形を変えようとしています。さまざまなプレーヤーが、インターネット上、クラウド上で、オープンに連携しています。金融と融合した多種多様なサービスを、即座に仮想的な市場で実験を繰り返しながら、形を変え矢継ぎ早に開発し、実際の市場に繰り出しています。この中で、モバイルバンクの先駆者であるauじぶん銀行がどの様に変身していくか、に注目が集まっていると言っても過言ではないと思います」と、急速に様変わりする金融業界について見解を述べました。臼井は、この見解を受け「無くなると言うより、生まれ変わるんだと思います。無くなるという意味では、メガバンク・地方銀行・信金・ネット銀行というような『構造』は無くなると思います。インターネット銀行といえば、低コストで、金利や手数料などで従来型のメガバンクや地方銀行に対抗していくということが以前までの構図ですが、今は低価格だけでは立ち行かない局面にきている。金融業界は競争の中で淘汰され、今までの銀行の姿のまま成長していくことは難しいでしょう」と構造の変化を語り、「我々の競争者は、今後、革新的な技術力で進化していくプラットフォーマーやリテーラーとなり、我々も意識していかなければならない状況です」と西村氏の発言に納得した様子を見せました。

―auじぶん銀行は“じぶんにとって便利で利用しやすい”と感じてもらえる銀行に

 加えて臼井は、KDDIや三菱UFJ銀行との連携強化や、グループ内でも存在感を出していきたいと意欲を示しました。「10年後、20年後、我々がグループを牽引するような企業へと成長していくためには、お客さまの目線に立ち、今までの発想にとらわれない商品・サービスを展開していきたいですね」とauじぶん銀行としてのスタンスを明らかに。これに対し西村氏は、多様な事業者との連携によるサービス提供で、産業横断的に発展していく重要性を語りながら「auじぶん銀行の次の一手に関心があつまっていると言って過言ではないでしょう。革新的なサービスの提供が求められている背景としては、日本経済・世界経済のかなりの部分が、“既存のサービスの品質競争”から“私にふさわしい、今までにないサービスの供給競争”へと変化しているためでもあります。効率化による費用削減に日本は強い競争力を持っているため、必要なのは効率化と高付加価値の二正面作戦だと思います。これからの20年は推し進めていくべきです」と、それぞれのユーザーに合わせたサービスの提供が、より一層求められるようになってきていることについて語りました。
 最後に臼井は、事業者側ではなく、お客さまがサービスを選ぶ時代になったと話し、「銀行のみのサービスに閉じるのではなく、新たな金融体験を提供できるよう、グループ一体となってサービス提供を行っていきたい」と語りました。さらに、今年8月に発表した「auまとめて金利優遇」を紹介。普通預金の金利を優遇するサービスや、証券・キャッシュレス決済・クレジットカードのauのサービスと当行をつなぐことで、金利というプライス面の価値提供はもちろんのこと、お客さまがシームレスに資金移動を行えるようサービスの機能強化も行ったものだと説明しました。「こうした各社のサービスとの連携はこれからも展開を広げていき、より生活にかかわるサービスをつなげることで、新たな顧客体験を創造し、利便性を高めていきたいと考えます。そして、我々はさらにお客さま一人ひとりの声を聞かなくてはいけない。“じぶんにとって便利で利用しやすい”と感じていただける銀行に磨きあげ、ユーザーファーストを徹底して追求して、私どものブランドスローガンである『銀行を連れて、生きていこう。』を体現し、お客さまに選ばれる銀行であり続けたいです」とauじぶん銀行の“これから”を語り、対談を締めくくりました。

※auまとめて金利優遇:https://www.jibunbank.co.jp/landing/kinri_up_tokuten/

登壇者情報

西村 淸彦(にしむら きよひこ)
1953年生まれ。1975年東京大学経済学部卒業、1977年同大学院経済学研究科修士課程卒業。
2005年4月から2008年3月日本銀行政策委員会審議委員を経て、
2008年3月から2013年3月日本銀行副総裁に就任。
現在は政策研究大学院大学特別教授、東京大学大学院経済学研究科名誉教授を務める。今年4月からはauじぶん銀行のエグゼクティブアドバイザーに就任。

臼井 朋貴(うすい ともき)

auじぶん銀行株式会社 代表取締役社長。1968年生まれ。大阪府出身。
【略歴】
1991年 第一勧業銀行入行
2002年 フューチャーシステムコンサルティング株式会社(現フューチャーアーキテクト株式会社)入社
2009年 住信SBIネット銀行執行役員就任
2014年 SBI証券執行役員就任
2015年 KDDI 金融ビジネス統括部長就任
2019年 auじぶん銀行 代表取締役社長、auフィナンシャルホールディングス代表取締役 副社長就任

 

auフィナンシャルグループのauじぶん銀行は、『じぶんのいる場所が、行く場所が、ぜんぶ銀行になる。そういうスマホの自由さ、便利さを銀行にも。』という思いを込めて「銀行を連れて、生きていこう。」というブランドメッセージを掲げるとともに、生活の中心となったスマートフォンを通じてお客さまの日常生活における決済・金融サービスをより身近にする「スマートマネー構想」を推進しています。今後もスマートフォンを中心とした金融サービスを提供し、“お客さまに一番身近に感じてもらえる銀行”として、お客さまやパートナー企業さまとともに新しい体験価値を創造していきます。

auじぶん銀行について
特徴
■預金や外貨、ローンまで、すべてのサービスがスマホで完結。いつでもどこでもスムーズに。
■KDDIと三菱UFJ銀行がつくった銀行だから安心。
■店舗を持たないネット銀行だから実現できる魅力的な金利とおトクな手数料。
■じぶんにピッタリの情報がタイミングよく届く。 使えば使うほど、どんどん役立つ存在に。

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