ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社のプレスリリース
- ESGの採用において今や米国が世界をリード。もはやミレニアル世代、女性、富裕層、欧州の投資家を中心とした動きではなく、主流の投資家の間でESG投資への世界的な需要が加速している
- 投資家がESGに投資する最大の理由は「環境への貢献」。パフォーマンスとのトレードオフへの懸念が薄れ、新たな投資機会が生まれると考える投資家もほぼ同数存在
- 投資家の大半は、気候変動や社会問題の解決は政府だけではできないと見ている。サステナビリティと説明責任を果たすためには、企業と民間資本が不可欠であると考えている
- 投資家の半数(49%)が、投資分析プロセスにESGを組み込むことを求めている。ESG戦略に関する専門
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ(以下、「ナティクシスIM」)が24カ国の8550名以上の個人投資家を対象に行った調査(https://www.im.natixis.com/us/research/esg-insights-from-2021-individual-investors-survey)によると、世界中の投資家の過半数(60%)が、企業は株主のために価値を創造することだけに責任があるという考え方を否定しています。当調査結果によると、投資家は、企業が環境や社会に与える影響についても責任を負うことを期待しており、政策当局やファンドマネージャーを含む民間部門のさらなる行動を求めています。
国連気候変動枠組条約会議(COP26[1])のために世界のリーダーたちが英国グラスゴーに集結する中、本日、ナティクシスIMの調査結果が発表されました。
- 回答者の77%は、気候変動や格差を含む社会への影響について企業に責任を負わせることが、投資家としての責務であると考えています。
- 82%の投資家が、企業は社会的課題に取り組む責任があると答え、政府に責任があると答えた人(78%)を上回りました。
- 45%の投資家が、より持続可能なビジネスモデルに移行している企業に投資することが重要だと考えています。
- 67%の投資家が、気候変動を抑制する上で重要な要素であるカーボンフットプリントに対して、良好に対処しているファンドに投資したいと回答しています。
環境・社会・ガバナンス(ESG)投資戦略の運用総資産が全世界で2020年に1.6兆ドル[2]に達する中、ナティクシスIMはESGの勢いが続いている状況を確認しました。今回の調査では、個人投資家の21%が現在ESG投資戦略を採用していることが判明しました。そのうち、24%が過去わずか1年の間に初めてESGに投資しました。また、ESGに以前から投資していた人の33%が保有している資産への投資を増やしています。まだESGに投資していない人においても、その半数近く(49%)が、より詳しく学びたいと答えています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのサステナブル投資部門のグローバル責任者、ナタリー・ウォレスは次のように述べています。「ESGがより広く採用され、投資家がさまざまな種類のESG投資について学ぶにつれて、ESG投資への関心は急速に高まっています。加えて、これらの戦略がプラスのリターンをもたらすことにより、その傾向は一段と強まっています。政府、非政府組織、民間企業のすべてがESG目標への取り組みを高めており、そのことからも、これらの戦略によって、投資家が優れた環境・社会的成果や財務パフォーマンスを追求することを可能にしています」
ナティクシスIMの調査結果は、ESGへの関心の高まりを示すだけでなく、その採用にまつわる以下のような数々の通説を覆しています。
- ESGへの関心はミレニアル世代に限らない。これまでの常識は、ESGの採用は、自分の資産が環境、社会、倫理的な変化を促進することを望む社会意識の高いミレニアル世代によって推進されてきた、というものでした。ESGの投資家は確かに若年層の割合が高くはなっていますが、広く採用され、関心を持たれていることは、ESGが今や主流の投資家にアピールしていることを示しています。ミレニアル世代の27%がESGに投資していると回答していますが、X世代の20%、ベビーブーム世代の18%もESGに投資しています。さらに、ESGへの関心は、ミレニアル世代の52%、X世代の52%、ベビーブーム世代の44%と、すべての年齢層において高まっています。
- 欧州はESGの採用でリードしてきたが、世界も追いついてきている。現在、ESGを採用している北米の投資家は28%と、欧州(22%)およびアジア(22%)の投資家を上回っています。北米では、米国の投資家(32%)が圧倒的に多い一方で、ESG投資を採用しているカナダの投資家は16%にとどまっています。ESG投資の割合が最も少ないのは中南米諸国(13%)ですが、この地域も、まだ投資をしていなくてもESGに関心があると回答した投資家が多い(62%)ため、時間の経過とともに変化していくと思われます。
- ESG投資家にとって、「うまくやる」ことは「良いことをする」ことと同じくらい重要。地球温暖化やサステナビリティに注目が集まっていることを考えると、ESGに投資している投資家の41%が、環境支援の手段としてESG投資を捉えているのは当然のことです。しかし、投資家は現実的な見方をしています。「より良い世界を作りたい」と回答した投資家と同数の投資家がESGは新たな投資機会を提供すると回答しています(37%)。また、同程度の投資家(35%)が、ESGは単に投資手法として良い手法と考えていると答えています。
- パフォーマンスの実績には説得力がある。 ESGへの投資は投資パフォーマンスを犠牲にすることになる、といまだに考えている投資家は5人に1人しかいません。ナティクシスIMが2017年に行った調査では、投資家の64%が、個人の価値観に合った投資を行うためには、リターンの可能性をある程度犠牲にする必要があると考えていましたが、そこから投資家の意識は大きく変化しています。非財務的なパフォーマンスに関する情報がないために、ESGへの投資を控えていると回答した投資家は、わずか22%でした。
直近のデータは、ESG投資が超過収益を生み出す可能性を裏付けています。2021年第3四半期末時点で、S&P500 ESG指数は、2021年10月3日までの3年間で、S&P500指数を3.7%上回っています。[3]
ファンドマネージャーとファイナンシャルアドバイザーは、サステナビリティと幅広いESGの採用を推進する上で重要な役割を果たしている
ナティクシスIMの調査では、投資家は持続可能な事業目標とその実践に深くコミットしていることが判明しました。投資家の多数(58%)は、投資を通じて社会問題の解決に貢献する責任があると考えています。投資家のコミットメントは、投資家個人としてのものだけでなく、ファンドマネージャーにも投資において同様な基準をもって企業と積極的に対話してもらいたいと思っています。
今回の調査では以下が明らかになりました。
- 投資家の53%が、企業にメッセージを伝える最善の方法は株式を売却することであると考えており、ミレニアル世代の43%、X世代の38%、ベビーブーム世代の29%が、企業のESGパフォーマンスの低迷を理由に投資を売却したことがあると回答。
- 投資家の半数以上(55%)が、ファンドマネージャーもESGの実績が低い企業の株式を売却すべきだと考えている。
- 投資家の74%が、ファンドマネージャーがESG及びより優れたビジネス手法の双方に影響を与えるためには、投資先の企業と対話することを期待している。
投資家とファイナンシャルアドバイザーの間でのESGに関する対話も増えています。ESGの認知度は高く、「ESGを知らない」と答えた投資家は17%と僅かでした。しかしながら、多くの投資家(41%)が、ESGについて十分な知識がないと回答しています。このことが、投資家がESG戦略を採用しない、またはESG戦略への投資を増やさない主な要因となっています。ナティシスIMの調査結果は、アドバイザーがESGについて顧客を教育するという点で重要な役割を果たすだけでなく、より多くの顧客とこうした会話を広げることが可能であり、またそうすべきであることを示唆しています。
世界中の投資家の59%が、アドバイザーからESG投資について話を聞いたことがあると回答し、56%がアドバイザーがESG課題を重要と考えるかとの質問をしてきた、と回答していますが、特に若年層の投資家の取組が最も高いことが分かりました。アドバイザーがESGについて話をしたことがあると回答した割合は、ミレニアル世代が68%と、X世代の60%、ベビーブーム世代の52%と比較して著しく高いことが明らかになりました。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの日本・北アジア代表を務める加藤欣司は、次のように述べています。「ESG投資の意思決定プロセスには、ファイナンシャルアドバイザー、ファンドマネージャー、投資家自身など、すべての投資関係者が関与すべきだと考える個人投資家が増えています。これも、投資においてESGがいかに主流になっているか、そしてESGが投資における最も重要な意思決定項目の一つになる可能性を示しています」
ナティクシスIMの2021年の「グローバル個人投資家調査」にESGのトピックが含まれていることは、成長するESG資産に対するナティクシスIMの強いコミットメントを反映しています。また、ナティクシスIMは、2024年の戦略計画(英語)(https://pressroom-en.natixis.com/news/strong-growth-ambitions-for-natixis-business-lines-at-the-heart-of-the-bpce-2024-strategic-plan-07e2-8e037.html)の一環として、ESGを活動の中心に据え、2024年までにサステナブル投資またはインパクト投資分野の運用資産額を6000億ユーロ以上とし、運用総資産額の50%を占めることを目指しています。
[1] 2021年10月31日~11月12日にスコットランドのグラスゴーで開催されるCOP26(https://ukcop26.org/)は、1994年に「国連気候変動枠組条約」を締結した締約国会議の第26回会合です[2] 出典: © 2021 Morningstar, Inc.「Global Sustainable Fund Flows: Q4 2020 in Review」
[3]データは、2021年10月14日時点におけるS&P500 ESG指数とS&P500指数の米ドル建の株価収益率の3年間の比較を反映。
調査方法
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、市場や投資に関する見解を理解することを目的に、24カ国の8550名の個人投資家を対象に調査を実施しました。データは調査会社のCoreData Researchによって2021年3月及び4月に収集されました。調査は、投資資産が10万米ドル(または購買価格平価相当額)以上の個人投資家8550名を対象に実施されました。「Values alignment is only the tip of the iceberg for ESG(ESGにとって価値観の一致は氷山の一角でしかない)」と題するレポートの全文(英語)はこちらよりご覧いただけます:https://im.natixis.com/us/research/esg-insights-from-2021-individual-investors-survey。
ナティクシス・インベストメント・インスティテュートについて
ナティクシス・インベストメント・インスティチュートは、Active Thinking®のもと、投資をとりまく環境を形づくる重要な問題に対する様々な考察を行っています。同機関は世界中で、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの投資家心理、マクロ経済、ポートフォリオ構築の分野における専門知識や運用子会社およびグループ外の専門家による独自の見解など、幅広い知見を集約させています。全方位からの市場見解や投資トレンドの洞察に満ちた分析を提供することで、問題に関する議論をより根拠のあるものとすることを目的としています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、マルチ・アフィリエイトのアプローチにより、20社を超えるアクティブ運用会社の独立した思考と集中した専門知識をお客様に提供しています。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、世界最大級の資産運用会社1 (運用総資産額:1兆4,000億ドル、1 兆1,825 億ユーロ)2であり、資産クラス、スタイル、ビークルを問わず、多様なソリューションを提供しています。また、サステナブル・ファイナンスの推進と革新的なESG(環境・社会・ガバナンス)商品の開発に取り組んでいます。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、お客様のパートナーとして、市場環境や見通しに関する洞察を提供するとともに、長期的な目標に沿った戦略を提供します。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの完全子会社であり、パリとボストンに本社を置いています。ナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社です。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連資産運用会社は次の会社が含まれます。AEW、Alliance Entreprendre、AlphaSimplex Group、DNCA Investments3、Dorval Asset Management、Flexstone Partners、Gateway Investment Advisers、Harris Associates、Investors Mutual Limited、Loomis、Sayles & Company、Mirova、MV Credit、Naxicap Partners、Ossiam、Ostrum Asset Management、Seeyond、Seventure Partners、Thematics Asset Management、Vauban Infrastructure Partners、Vaughan Nelson Investment Management、WCM Investment Management。投資ソリューションは、ナティクシス・インベスト・マネージャーズ・ソリューションズおよびナティクシス・アドバイザーズを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com)およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシス・ディストリビューションL.P.ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。
- Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2021によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2020年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第15位となっています。
- 2021年6月30日時点の運用総資産額は1兆4,025億ドルです。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数株主が所有する関連企業の資産、およびナティシス・インベストメント・マネージャーズの関連企業が管理またはサービスを提供しているその他の規制対象外の資産が含まれている可能性があります。H2Oアセット・マネジメントを除く。
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