ブルームバーグ エル・ピーのプレスリリース
● TCFDは、企業がパリ協定に沿ったネットゼロ移行の計画を開示するための新たなガイダンスを発表。スコープ1、2、3の温室効果ガス排出量など、7つのカテゴリにおける業界横断的な指標の情報開示も追加
● TCFD開示が、2019年から2020年にかけて例年以上に増加し、世界の最大手企業100社のうち83社がTCFD提言に賛同またはTCFD提言に基づいた報告を実施
TCFDの議長を務め、ブルームバーグL.P.およびブルームバーグ・フィランソロピーズの創設者であるマイケル・R・ブルームバーグは、次のように述べています。「企業が気候変動によって直面するリスクについて、明確で一貫性のある正確な情報を開示することで、投資家やビジネスリーダーは、より多くの情報に基づいて、持続可能な財務上の意思決定を行うことができます。それが世界経済を強化し、健康を増進し、気候危機への対処に繋がります。TCFDは、世界中から気候リスク報告書に対する賛同を集める上で、例年以上に素晴らしい一年を過ごしました。しかし、まだまだ道のりは長いといえます。世界中の政府や企業は、クリーンエネルギー経済への移行を加速させるための取り組みを実施するにあたり、今後もTCFDの提言を重要なツールとして活用し続けるべきです」
昨年のレポートが提出されて以降、TCFDへ賛同する企業・組織の数は3分の1以上増加しました。現在、新たに1,000以上の企業・組織がTCFD提言に賛同しており、総数は全世界で2,600以上となりました。現在、TCFDに賛同する企業・組織は89カ国・ほぼすべての経済セクターに及び、時価総額では計25兆1,000億ドルを超えています(前年比99%増)。民間セクターからの賛同が多く得られるにつれ、世界中の政府や組織も法律や規制を通じて気候関連の情報開示を義務付ける方向に進み始めています。今年だけでも、8つの国・地域の公的機関が、気候関連の報告を義務付けることを発表する際に、TCFDを言及しています。また、G7やG20の財務大臣や中央銀行総裁、IFRS財団、欧州委員会など、国際的な基準設定機関や規制当局も、TCFD提言に沿った取り組みへの賛同を表明しています。
TCFDの議長で、ブルームバーグL.P.のグローバル公共政策副会長を務めるメアリー・シャピロは、次のように述べています。「投資家や規制当局の間では、気候関連情報開示の重要性や、資本配分の意思決定をサポートするための標準化された透明性のあるデータの必要性について、明確なコンセンサスが形成されつつあります。世界中の国や企業がネットゼロ目標を設定する中で、TCFDのフレームワークは、低炭素経済への移行を描くために必要な基準や要件の基礎となりつつあります。そのために今日では、企業が低炭素経済への移行に向けた計画や進捗状況、より一貫性のある指標を開示でき、さらに金融機関の場合は、2℃を十分に下回るシナリオに合わせたポートフォリオの調整方法も開示できるようサポートすべく、ガイダンスも公開しています」
FSBのランダル・クオールズ議長は、次のように述べています。「正確なリスク評価を可能にするためには、一貫性のある比較可能な情報開示が基本となります。TCFD提言は、気候関連の情報開示の基礎になるものとして、官民セクターで幅広く賛同を得ています。今年のレポートでは、さらなる賛同の動きがあることが示された一方で、情報開示のギャップが残されていることも明らかになりました。IFRS財団が、基準設定機関の団体と協力して、グローバルなサステナビリティ報告基準の開発を進める中で、TCFDの優れた取り組みを活用できることを嬉しく思います」
TCFDは、2017年に初めてTCFD提言を発表して以来、気候関連の報告が発展していることを踏まえ、意思決定に役立つ情報開示をサポートするために、2種類の追加文書を発表しました。TCFDは、TCFD提言レポートとともに2017年に発表した実施ガイダンス(付録文書)の改訂版を発表しました。このような改訂版の発表は、初版の発表以来初めてとなります。改訂された2021年版付録文書では、TCFD提言の「戦略」、「指標」、「目標」の中で推奨されている特定の情報開示について、あらゆるセクターに対する実施ガイダンスの具体的な要素と、金融セクターに対する補足ガイダンスが更新されています。
改訂版のガイダンスでは、報告書の比較可能性を高めるために、財務的影響を評価する上で特に重要な7つのカテゴリにおける業界横断的な指標を紹介しています。そこには、スコープ1、スコープ2、スコープ3の温室効果ガス排出量、気候関連の移行や物理的なリスクと機会に関する指標、資本分散、内部炭素価格、報酬などが含まれています。また、ネットゼロエコノミーへの移行を目指す企業の計画に関する情報開示なども追加されています。
また、TCFDは、財務諸表を作成する企業が意思決定に役立つ情報を開示し、それらを財務的影響の推定値と関連付けることができるよう、「指標」、「目標」、「移行計画」に関するガイダンスを公表しました。このような情報は、利用者が投資、融資、引受業務のリスクをより適切に評価するのに役立ち、ネットゼロに向けた道筋や進捗状況を知ることができます。財務的影響のセクションでは、気候関連の指標・目標・移行計画からの情報が、気候関連問題の財務的影響を推定するのに役立つ情報をいかにして提供するかを説明しています。
2021年版現状報告レポートの全文、改訂版付録文書、およびガイダンス資料は、TCFDのウェブサイト( https://www.fsb-tcfd.org/publications/ )でご覧いただけます。次回のTCFD現状報告レポートのFSBへの提出は、2022年9月となる予定です。
TCFD賛同者としてのご参加に関する詳細は、TCFDウェブサイト( https://www.fsb-tcfd.org/ )をご覧ください。その他の資料は、TCFDナレッジハブ( https://www.tcfdhub.org/ )をご覧ください。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)について
2015年12月4日、金融安定理事会(FSB)は、マイケル・R・ブルームバーグを議長として、産業界主導による気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を設立しました。TCFDは現在、32名の参加メンバーで構成されています。TCFDは、企業が貸し手、保険会社、投資家をはじめとするステークホルダーに情報を提供する際に利用できる、一貫性した自発的な気候関連財務情報開示の策定を要請され、2017年6月29日にTCFD提言報告書( https://assets.bbhub.io/company/sites/60/2020/10/FINAL-2017-TCFD-Report-11052018.pdf )を公表しました。TCFDに関する詳細はこちら( https://www.fsb-tcfd.org/ )をご覧ください。