FTSE Russellのプレスリリース
― FTSE Japan TPI Climate Transition インデックスは、気候変動への対応状況と整合させながら、日本の株式市場へのエクスポージャーを提供します
― Transition Pathway Initiative (TPI) の分析によると、日本企業の気候関連対応実績は他の先進諸国の企業に遅れていますが、格差は縮小しています
日本の投資家向けに新たに導入されたのは、FTSE Japan TPI Climate Transition インデックス および FTSE All-World ex-Japan TPI Climate Transition インデックスの 2つのインデックスです。
FTSE Japan TPI Climate Transition インデックスは、日本の中・大型株の業績を示す時価総額加重インデックスであるFTSE Japan インデックスを基礎にしています。地球の温暖化を2℃未満に維持する低炭素移行シナリオと整合させるため、FTSE Japan インデックスに対して、透明性の高い基準を用いて加重の見直しが行われます。
この基準は、地球温暖化ガス排出量および化石燃料埋蔵量データを用いて気候変動リスクを把握するだけでなく、FTSE Russellの Green Revenue 2.0データ・モデルを用いた企業のグリーンレベニュー測定により、気候変動に伴う機会も把握できるように設計されています。また、経営の品質についてTPI評価を組み入れ、低炭素経済への移行に関する企業の計画を評価することにより、FTSE Japan インデックスに将来を見据える特性を附与します。評価のための関連指標としては、企業方針、排出量報告および検証、目標、戦略的リスク評価、役員報酬などがあります。
FTSE Japan インデックスを構成する約500 社の日本企業のTPI 経営品質分析によると、日本市場は過去3年、FTSE Developed ex Japan インデックスを構成する1,500 社超の外国企業をアンダーパフォームしていたことが分かりましたが、この差は縮小しています。2019年のFTSE Japan 構成企業の実績は平均 1.87 でしたが、2021年には 2.07に上昇しています。
一方、FTSE Developed ex Japan 構成企業の2019年の平均値は 2.23でしたが、2021年は2.20とやや減少しました。日本のTPI 経営品質実績の近年における改善は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する気候関連開示事項に対する日本企業の強力な支持によるものとみられます。
産業別では、日本のテクノロジー、不動産、エネルギー企業はFTSE Developed ex Japan インデックスにおける同業他社をアウトパフォームしていますが、資本財、生活必需品、金融、一般消費財および公益企業は他の先進市場における企業をアンダーパフォームしています。採点のメソドロジーの概略については下記をご参照ください。TPI メソドロジーの全容については こちら。→ https://www.transitionpathwayinitiative.org/methodology(英語)
TPI はアセット・オーナーが主導するグローバルな取組みで、アセットマネージャーに支持されており、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグランサム気候変動・環境研究所およびFTSE Russellがパートナーとなっています。また29 兆ドル超の運用資産を有する 108の世界の投資家に支持されています。TPI データはまた、世界最大級の温室効果ガス排出量を有する企業が行う気候変動措置を評価するため、Climate Action 100+に利用されています。
FTSE Russellサステナブル投資部門 日本代表 森敦仁氏:
「革新的なFTSE TPI Climate Transition インデックス・シリーズの日本市場への拡張について、喜ばしく思います。これらのベンチマークは、幅広い株式市場へのエクスポージャーを保持しつつ、投資家の皆さまのポートフォリオを2℃シナリオと整合させる効率的方法を提供します。透明性の高い基準を採用して構築されたインデックスは、脱炭素化、気候への配慮を業務上の意思決定に組み入れようとしている企業を評価すべくインデックスの加重を見直すことで、効果的な企業関与ツールとして機能します。日本企業は、最近とくにTCFDの気候報告基準を支持することで、気候問題への関与の度合いを高めており、このことがTPIの経営品質評価に反映され始めています。当社ではすでに、国内のアセット・オーナーの間で当インデックスへの関心が高まっていることを確認しています。」
TPI会長 英国国教会年金理事会(CEPB)最高投資責任者のアダム・マシューズ氏:
「日本市場への投資家は、低炭素移行のための信頼できる戦略を有する企業と有しない企業をはっきりと知りたがっています。TPI が提供する、地球温暖化ガス排出量の多い企業に対する包括的で厳格かつ公平な分析を利用することで、FTSE TPI Climate Transition インデックス・シリーズの日本市場への拡張は、この課題に対処するための重要な一歩となるでしょう。TPIは、企業の低炭素戦略がパリ協定の目標とどのように整合するかに関して透明性のあるデータを提供しますが、これは投資家が情報に基づいた投資決定を行うために必要なものです。10年の移行期間はすでに始まっており、本件は、日本でも他の地域でも気候変動への行動に取り組む企業が重視する質が高いデータに対して、株式投資家および債務投資家の間で高まっている要求を満たすための重要な発展です。」
FTSE Japan TPI Climate Transition インデックスについてより詳細な情報を入手するには、こちら をクリックしてください。→ https://www.ftserussell.com/ja/products/indices/tpi-climate-transition
注記
TPIの経営品質フレームワークは、企業の進歩を以下の5つのレベルにより評価します。
レベル 0 – 気候変動を事業の課題として意識していない(もしくは認識していない)。
レベル 1 – 気候変動を事業の課題として認識している。企業は気候変動が事業リスクおよび/または機会となり、自社が温室効果ガス排出の管理に責任を有することを認識している。この時点で企業が気候変動方針を採択することが多い。
レベル 2 – 能力開発:企業が基礎的能力、管理システムおよびプロセスを開発し、実践および実績について報告を開始している。
レベル3 – 業務上の意思決定に組み入れている。企業が業務上の慣行を改善し、上級幹部または取締役会に気候変動の責任が課されて、炭素関連の実践および実績に関して包括的な開示を実施している。
レベル 4 – 戦略的評価:企業が低炭素移行に関するリスクと機会について、より戦略的で全体的な理解を深め、その理解を事業戦略および設備投資の決定に組み入れている。
– 以上 –
FTSE Russel について
FTSE Russellは世界を代表するインデックスのリーダーとして、革新的なベンチマーキング、アナリティクス、データソリューションを世界中の投資家に提供しています。FTSE Russellは数千に及ぶインデックスを算出し、70ヵ国以上の市場や資産クラスを測定、 ベンチマーク化し、そのカバー率は世界の投資市場の98%に及んでいます。
FTSE Russellのインデックスの専門知識とプロダクトは、世界中の機関投資家や個人投資家によって幅広く使用されています。現在、約16兆米ドルの資産がFTSE Russellのインデックスでベンチマークとして利用されています。30年以上にわたり、主要な資産保有者、資産運用会社、ETFプロバイダー、投資銀行などが、投資パフォーマンスのベンチマークとし、投資ファンド、ETF、ストラクチャード商品、インデックス・ベースのデリバティブ商品を組成するためにFTSE Russellのインデックスを選択しています。
一連の中核となる普遍的原理が、FTSE Russellインデックスの設計と管理の指針となっています。透明性が高くルールに基づいた手法は、主要市場参加者で構成される独立委員会から得られた情報が裏付けとなっています。
FTSE Russell は業界最高の水準を掲げてインデックスの作成とガバナンスにあたり、IOSCO原理を遵守します。FTSE Russellはまた、より広くより深い情報をお客様に提供すべく、インデックスのイノベーションとお客様とのパートナーシップを重視します。
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