中小企業の約6割が「近年リスクは増えていると思う」 一方で、3割以上が対策なし、意識の低さも 日本損害保険協会が中小企業のリスク意識・対策実態を調査

一般社団法人日本損害保険協会のプレスリリース

企業は、近年多発している異常気象による自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行、サイバー攻撃など、様々なリスクに晒されています。また、従業員による情報漏洩やパワハラ・セクハラといった、企業の内部で発生する要因によって損害賠償請求を受けるなどのリスクも抱えています。
本調査では、多様化・複雑化するリスクに対する中小企業の意識、実際の被害内容や被害額、損害保険への加入状況などについて把握することができました。
当協会では、災害に強い社会の実現に向けて、本調査結果を活用し、事業者向け保険の普及促進に関する各種取組みを実施してまいります。

<主な調査結果>
①約6割がリスクの増加を感じるも、3割以上が対策なし
②4社に1社が被害経験あり。被害額は「1億円以上」というケースも
③「まさか自分の会社が…」担当者から実際に聞いたことがあるとの声も
④損害保険で被害を軽減したいリスク「自然災害」「売上の減少」「感染症」
⑤損害保険への加入動機「被害が出ているわけではないがリスクに感じることが多いから」
 

  • 約6割がリスクの増加を感じるも、3割以上が対策無し

・企業を取り巻くリスクについて、60.4%が「近年リスクが増えていると思う」と回答。直近2~3年で増えたリスクとしては、「自然災害」「感染症」「取引先の廃業等による売上の減少」「サイバーリスク」の順に多く挙げられました。

・「リスクに関して何かしら対策/対処をしているか」を聞くと、36.6%が「特に対策/対処をしていない」と回答し、その理由としては「対策をする費用に余裕がない」が21.0%、次いで「具体的な対策方法が分からない(相談先が分からない)」が13.5%となりました。また、「リスクが発生する可能性は低いと考えている」も11.7%となり、リスクに対する意識の低さもうかがえます。その他、中小企業の従業員へのインタビューでは、「自分達ではどうにもならない」「リスクが発生するパターンは様々なのでその都度対応するしかない」などの声もありました。

 

  • 4社に1社が被害経験あり。被害額は「1億円以上」というケースも

・勤め先の企業で「何らかのリスクにより被害を受けたことがあるか」を聞くと、27.0%が「ある」と回答。被害内容は、「自然災害」「取引先の廃業等による売上の減少」がともに46.8%で最多、「感染症」が13.3%で3番目に多く、新型コロナウイルス感染症の影響と思われる被害(「取引先の廃業等による売上の減少」「感染症」)が上位に入りました。また、40.9%が「周囲で何らかの被害を受けたという話を見聞きしたことがある」と回答し、実際に被害を受けたことがなくても、リスクは身近に潜んでいるようです。

・さらに、「被害を受けたことがある」と回答した278名に被害額を聞くと、「法令順守違反」「取引先の廃業等による売上の減少」「勤務中や移動中における損害賠償」では「1億円以上」という回答も。内部起因のリスクである「従業員からの損害賠償請求(ハラスメント等)」でも、「500万円~1000万円未満」が22.2%と、中小企業の事業継続を脅かすような被害額が発生していることが分かりました。

 

  •  「まさか自分の会社が・・・」担当者から実際に聞いたことがあるとの声も

・「実際に被害を受けたことがある」と回答した278名に被害を受けた際の考えを聞くと、「何かしらのリスクが発生するのはしょうがないと思う」(64.0%)が最多で、「被害がこんなにも大きくなるとは思っていなかった」(54.0%)、「リスクに対する備えが不足していたと思う」(51.4%)、「うちの会社ではまさか起こらないと思っていた」(46.4%)が続きました。勤め先の企業で被害を受けたことがある方にインタビューしたところ、「うちの会社ではまさか起こらないと思っていた」という回答項目について、実際に担当者がこのように発言していたとの声もありました。

 

  • 損害保険で被害を軽減したいリスク「自然災害」「売上の減少」「感染症」

・損害保険に加入して被害を軽減できるとよいリスクについて聞くと、「自然災害」(44.1%)が最多で、次いで「取引先の廃業等による売上の減少」(35.8%)「感染症」(27.2%)が多く挙げられました。

・「取引先の廃業等による売上の減少」「感染症」は、直近2~3年で増えてきたと思うリスクとして上位に挙がっており、経営課題としての関心度に関する設問でも8割以上が「関心がある」と回答しています。現状の対策としては、「補助金等の活用」が最も多く(「売上の減少」に対して29.5%、「感染症」に対して22.8%)、次いで「貯蓄」(「売上の減少」に対して23.4%、「感染症」に対して14.9%)と続きます。「損害保険への加入」は約1割にとどまっているものの、リスクに対する意識が高まる中、万一の事態が発生した場合に被害を軽減するための備えとして、損害保険に対するニーズも高まっていると考えられます。

 

  • 損害保険への加入動機「被害が出ているわけではないがリスクに感じることが多いから」

・損害保険に加入している方にきっかけを聞くと、「被害が出ているわけではないが、リスクに感じることが多いから」(39.4%)、「保険代理店/保険会社から提案があったから」(30.0%)が多く、「自社/周囲の企業が被害を受けたから」も約1割と、実際に身近で被害が発生したため加入に至ったケースも見受けられました。また、サイバー保険に加入している企業の方からは、親会社との取り決めにより加入したとの声もありました。
・「取引信用保険」「情報漏洩賠償責任保険」「サイバー保険」では、「年々リスクが複雑化していると思うから」との回答が他の保険と比べて多く、リスクの増加や保険の必要性が認識され始めている様子もうかがえました。

<まとめ>
新型コロナウイルス感染症の流行しかり、リスクはいつどのように発生するか分かりません。事前に対策して被害の発生を防ぐことも大切ですが、予測不能なリスクを完全に避けることは難しく、実際に被害が起きてしまうと事業活動に大きな影響を及ぼす事態になりかねません。今回の調査では、4社に1社が被害を経験しており、被害を受けたことがある方の中には「うちの会社ではまさか起こらないだろう」と思っていた方も多くいることが判明しました。「大した被害は出ないだろう」「自分の会社には関係ない」と感じている方ほど、自社を取り巻くリスクやその対策としての損害保険について、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

<中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2021の概要>
・調査期間:2021年7月16日(金)~7月21日(水)
・調査方法:インターネット調査
・調査対象: 中小企業の経営者および従業員<条件>損害保険契約関与者(決定権あり/選定関与)
・サンプル数:1,031サンプル
・調査結果URL:https://www.sonpo.or.jp/news/release/2021/pdf/sme_report2021.pdf
※別途、「企業費用・利益総合保険」「サイバー保険」「雇用慣行賠償責任保険」について、①保険既加入者・メリットを経験したことがある方、②リスクを感じて保険加入を検討している方、③リスクを感じているが保険加入をためらっている方(計11名)へインタビューを実施。

<参考情報>
・中小企業に必要な保険(特設サイト):https://www.sonpo.or.jp/sme_insurance/
(2021年12月中旬公開予定)

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