ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ2021年リタイアメント・インデックス調査:退職後の豊かさで日本は22位に

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社のプレスリリース

・ 世界の投資家の4割、日本では31%が、安心して退職後の生活を送るためには「奇跡が必要」と考えているが、コロナ禍により状況は一段と困難に
・ 大半の投資家が、民間企業は財形貯蓄制度の提供を通じて人々の退職後の生活のための貯蓄を支援する重要な役割を担っていると考えており、日本の投資家の7割以上が、所得の不平等は退職後の保障に悪影響を及ぼすと考えている

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが発表した「2021年グローバル・リタイアメント・インデックス調査」(以下、「同調査」)において、先進国の中で日本は昨年より1つ順位を上げ、22位となりました。今年で9年目となる同調査は、44カ国の退職後の相対的な経済的保障を浮き彫りにするもので、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマクロ経済的な課題、すなわち政府債務の急増、インフレ、長引く低金利が、退職者にとって深刻な脅威となっていることが明らかになりました。退職後資金の確保に対するより多くの責任がのしかかる投資家にとって、現実は厳しいものとなっています。今回の調査では、日本の投資家の多くは退職後の夢が遠のいていると感じており、民間企業やファイナンシャル・アドバイザーにサポートを求めていることが分かりました。

ナティクシスが日本の400人を含む44カ国、計8,550人の個人投資家を対象に調査を行った結果、以下が判明しました。

  • 日本の投資家の78%は、日本の公的債務の増加が、将来的に公的年金の支給額の削減につながると考えています。
  • 投資家の70%が、十分な退職後資金を準備できないと考えています。
  • 投資家の59%が、想定していたよりも長い期間働き続けなければならないことを受け入れています。
  • 半数以上(62%)が、低金利により、退職後に収入を得ることが難しくなると懸念しています。
  • 75%が、長期的にはインフレが退職後の生活を脅かす最大のリスクの一つになると認識しています。また、74%が医療費のために貯蓄を切り崩すことになると懸念しています。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの日本・北アジア代表を務める加藤欣司は、次の通り述べています。「今回の調査結果は、退職後の生活保障に関して、個人への負担が増えていると考える投資家のセンチメントを浮き彫りにしています。この見解は世界中の投資家で確認されており、グローバル・リタイアメント・インデックスで見られる多くの傾向を理解するうえでの重要な背景となっています」

同調査は、退職後の豊かさに関する18の指標を4つの指数に分類して分析し、どのような特性が各国の状況を改善もしくは悪化させているかについて明らかにします。4つの指数は、退職後に快適な生活を送るための物質的な手段、貯蓄の価値を維持し収入を最大化するための質の高い金融サービスへのアクセス、質の高い医療サービスへのアクセス、清潔で安全な生活環境などの生活の質をテーマとしています。同調査は、各指標の相対的なスコアを算出し、これらのスコアを総合することで、世界各国の退職後の生活保障の評価・比較を可能としています。

2021年グローバル・リタイアメント・インデックス:老後豊かさをグローバルで比較

 

トップ102021年の調査では、総合評価でアイスランドが3年連続で1位となりました。続く6カ国(スイス、ノルウェー、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、オーストラリア)は、昨年と同じ順位ですが、いずれもスコアがやや低下しました。ドイツは2つ順位を上げて8位となり、10位に後退したカナダと入れ替わり、デンマークは9位にとどまりました。上位10カ国はいずれも、4つの指数全てでバランスのとれたスコアを付けているか、3つ以上の指数で著しく高いスコアを付け、残りの指数のスコアを補っていることが特徴として挙げられます。

トップ25上位25カ国のうち15カ国が昨年と同じ順位となり、その内の20カ国がヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)地域に属しています。上位25カ国に新たにランクインした国はなく、順位の上下は主に2ランク以内にとどまっています。スロベニアは、トップ25の中で唯一3つ順位を上げ、昨年の19位から16位になりました(2019年は21位)。ルクセンブルクは2つ順位を上げて11位、スウェーデンは2つ順位を下げて13位となりました。米国、英国、イスラエル、韓国は、それぞれ1つ順位を下げて17位、18位、19位、23位となり、日本は1つ順位を上げ、全体で22位となりました。

指数:退職後の資金指数はシンガポール、健康指数は日本、物質的な豊かさ指数はアイスランド、生活の質指数はフィンランドがそれぞれ1位にランクインしました。生活の質指数の上位5カ国のうち4カ国は北欧諸国が占めました。

 

日本の順位を左右している要因

2021年の調査では、日本の総合評価は22位となり、退職後の資金指数は42位、健康指数は1位、生活の質指数は25位、物質的な豊かさ指数は16位となりました。

日本は、4つの指数のうち次の2つの指数のスコアが低下しました。

  • 健康:国民1人当たりの医療費指標のスコアが低下 (一方で平均寿命のスコアで1位、保険医療費のスコアで8位を付け、健康指数全体では1位に上昇)。
  • 生活の質:幸福度と環境要因のスコアが低下(調査対象国の中で幸福度指標のスコアは8番目に低い)。

日本が唯一上位25位に入っていない退職後の資金指数では、税負担、銀行の不良債権、老年人口指数、ガバナンス指標のスコアが低くなっています。また、調査対象国の中では、老年人口指数と政府債務残高のスコアが最も低くなっています。

その一方で、ナティクシスが行った調査では、日本の投資家の70%が、所得格差が日本の退職後の保障全体に悪影響を及ぼすと考えています。

コロナ後の世界における公共政策と民間企業の機会

パンデミックによる影響として健康に関するもの以外には、世界各国の政府が大規模な財政刺激策を実施し、金利を引き下げや抑制を通じて、資本市場にかつてないほどの資金を投入したことが挙げられます。しかし、これらの政策が経済の回復と成長を促進したとしても、低金利の影響を特に受けやすく、老後に適正な収入を得ることが課題となっている退職者にとっては、これは長期的には大きなリスクとなります。

ナティクシス・センター・フォ・インベスター・インサイトのエグゼクティブ・ディレクターデイブ・グッセルは次の通り述べています。「退職者が、元本を維持しようとしながらも、同時に、必要なリターンを得るために、今のうちに今後でてくるかも知れない損失を補っておこうと、よりリスクの高い資産に投資しようとしているため、問題はより深刻になっています。今日の政策立案者にとって幸いなことに、低金利下での債務管理は容易です。ただ、今後は金利上昇のリスクがあります。そうなると、将来、政策立案者は、公的年金を含む政府支出について厳しい決断を迫られることになります」

ナティシスの調査によると、日本の個人投資家の60%が、公的年金が期待通りに支給されなければ、退職後の家計をやりくりするのは難しいと考えています。今のところ、依然として安心して退職後の生活を迎えられると確信しているのは31%にとどまっています。また、70%が、退職後に必要な十分な資金を備えることは決してできないと考えています。

日本の投資家の多くは、政府の給付金や財形貯蓄、個人の貯蓄が不足した場合の選択肢は、とにかくより長い期間働くことだと考えています。しかし51%は、働きたくても雇用してもらえないのではないかと懸念しています。また、70%が、退職という選択肢はあり得ないと考えています。日本の投資家の31%が、退職後の保障についてあえて考えないようにしていると回答するほど、有望な選択肢が少ないという難問を抱えています。

民間セクター、すなわち雇用主やファイナンシャル・アドバイザーがより大きな役割を果たす機会が存在しています。日本の投資家の65%は、雇用主には人々が経済的に安定した老後を送れるように支援する責任があると考えており、55%は退職給付制度でのマッチング拠出が可能な会社で働きたいと考えています。

日本の投資家の54%が、職場の退職金制度における投資先の選定に、専門家の助けが必要であると回答しています。また、日本の投資家の65%が、自身の優先事項や価値観に近い投資へのアクセスがあれば、退職後の生活のためにより多くの投資を行う意欲があると回答しています。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの日本・北アジア代表を務める加藤欣司は、次のように述べています。「今後は、経済回復の遅れ、ボラティリティの高まり、低金利の長期化などの要因が、退職後の貯蓄に大きな影響を与える可能性があります。今回の調査でも挙げられた通り、投資家は正しい情報や信頼できるアドバイザーを見つけて、資産形成や退職後の目標に向けて活用していくことが重要です」

ナティクシスの2021年グローバル・リタイアメント・インデックス調査の概要および調査結果の全文(英語)は、https://www.im.natixis.com/intl/research/2021-global-retirement-index よりご覧いただけます。

調査方法
グローバル・リタイアメント・インデックスは、老後の生活保障が喫緊の社会および経済問題となっている主要先進国44ヵ国を対象に、老後の生活に影響を与える要因を調査・評価したものです。同指数は、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが、英国の金融調査会社CoreData Researchの協力を得て作成しています。同指数は、国際通貨基金(IMF)に加盟する先進国、経済協力開発機構(OECD)加盟国およびBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)を対象としています。調査員が、各カテゴリー内の中央値を計算し、カテゴリーの合計値を元に、調査対象となった全44ヵ国の総合順位が作成されました。今回の調査は2021年3月から6月にかけて実施されました。

ナティクシス・インベストメント・インスティチュートについて
ナティクシス・インベストメント・インスティチュートは、Active Thinking®のもと、投資をとりまく環境を形づくる重要な問題に対する様々な考察を行っています。同機関は世界中で、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの投資家心理、マクロ経済、ポートフォリオ構築の分野における専門知識や運用子会社およびグループ外の専門家による独自の見解など、幅広い知見を集約させています。全方位からの市場見解や投資トレンドの洞察に満ちた分析を提供することで、問題に関する議論をより根拠のあるものとすることを目的としています。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、マルチ・アフィリエイトのアプローチにより、20社を超えるアクティブ運用会社の独立した思考と集中した専門知識をお客様に提供しています。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、世界最大級の資産運用会社1 (運用総資産額:1兆4,000億ドル、1 兆1,825 億ユーロ)2であり、資産クラス、スタイル、ビークルを問わず、多様なソリューションを提供しています。また、サステナブル・ファイナンスの推進と革新的なESG(環境・社会・ガバナンス)商品の開発に取り組んでいます。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、お客様のパートナーとして、市場環境や見通しに関する洞察を提供するとともに、長期的な目標に沿った戦略を提供します。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの完全子会社であり、パリとボストンに本社を置いています。ナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社です。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連資産運用会社は次の会社が含まれます。AEW、Alliance Entreprendre、AlphaSimplex Group、DNCA Investments3、Dorval Asset Management、Flexstone Partners、Gateway Investment Advisers、Harris Associates、Investors Mutual Limited、Loomis、Sayles & Company、Mirova、MV Credit、Naxicap Partners、Ossiam、Ostrum Asset Management、Seeyond、Seventure Partners、Thematics Asset Management、Vauban Infrastructure Partners、Vaughan Nelson Investment Management、WCM Investment Management。投資ソリューションは、ナティクシス・インベスト・マネージャーズ・ソリューションズおよびナティクシス・アドバイザーズを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com)およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシス・ディストリビューションL.P.ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。ナティクシス・ディストリビューションL.P.は、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社がアドバイザリー・サービスを提供するさまざまな米国登録投資運用会社のための限定目的のブローカー・ディーラーおよび関連サービス会社です。

Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2021によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2020年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第15位となっています。
2021年6月30日時点の運用総資産額は1兆4,025億ドルです。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数株主が所有する関連企業の資産、およびナティシス・インベストメント・マネージャーズの関連企業が管理またはサービスを提供しているその他の規制対象外の資産が含まれている可能性があります。H2Oアセット・マネジメントを除く。
DNCA Financeのブランド。

本文書に含まれる情報は情報提供のみを目的とするものであり、金融商品やサービスの販売および勧誘を目的とするものではありません。本文書の記載内容、データ等は作成時点等のものであり、今後予告なしに変更することがあります。また、本文書は翻訳、作成された資料であり、内容については原文(英語)が優先します。

日本:ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社、金融商品取引業者 関東財務局(金商)第425号。事業内容:投資運用業務、投資助言・代理業務、第二種金融商品取引業。登録住所:東京都港区六本木1丁目4番5号。

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