JCBとLayerX、CBDC時代を見据え複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラに関する共同研究を開始

JCBのプレスリリース

株式会社ジェーシービー(本社:東京都港区、代表取締役会長兼執行役員社長:浜川 一郎 以下 JCB)と、株式会社LayerX(本社:東京都中央区、代表者:福島良典 以下 LayerX)は、複数企業間をつなぐ次世代BtoB取引履歴インフラに関する共同研究の開始について合意しました。本共同研究を通じて、プライバシーに配慮した利用者主体の商流情報の流通を実現し、それらを活用した高度なサービスを可能にするデジタルサプライチェーン構築に向けた取り組みを推進していきます。

■背景
昨今、急速にデジタル化が進展する中で、中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)をはじめとしたデジタル通貨による決済プラットフォーム構築に向けた動きが活発化しています。デジタル通貨の利点の一つは、お金にさまざまな機能やロジックを付加することができるため、決済の自動化・即時化が容易になることです。こうした形態のお金は「プログラマブルマネー」と呼ばれ、契約、請求、支払いといった一連のオペレーションをデジタル化、効率化さらには自動執行することが期待されています。

■本共同研究について
本共同研究ではオペレーションの効率化に留まらず、JCBならではの強みを生かし、地域金融機関、BtoB決済に関わるソリューションプロバイダー等との協業も視野に入れ、新たなモデルを検討していきます。サプライチェーンをまたがるプラットフォームならではの、商流情報を活用した高度なサービスの実現を目指します。

プラットフォームの前提となる業種や業界を超えた取引情報の共有に際しては、取引情報をブロックチェーン上に記録することで改ざんが困難な確かなデータ流通が可能になります。しかし社会実装に向けてはこれだけでは十分ではなく、データ保護、プライバシーの観点から、取引情報の閲覧権限を主体毎に柔軟に設定可能な仕組みが情報の提供者に求められます。例えば金融機関や会計士等、業務上必要のある事業者には開示する一方で、不必要な事業者には開示しないというようなデータコントロールが考えられます。さらに与信情報の照会・確認等に必要となるデータ演算を、データを秘匿したまま行う高度なプライバシー技術が要求されます。

そこで本共同研究では、PCやスマートフォンなどの端末に備えられたプロセッサのセキュリティ機能である「TEE※1」を応用し、LayerXが開発したソリューション「Anonify※2」をブロックチェーンと組み合わせました。それにより、取引情報の秘匿性・信頼性を担保し、利用者による開示情報の取捨選択を実現することによって、取引情報プライバシーの確保を図ります。

                 【B2B取引履歴インフラの概要】

今後デジタルな取引が増えていく中で、「デジタル取引・送金の履歴を蓄積し、必要に応じて取り出して参照できるインフラ※3」の社会的必要性が高まると想定されます。JCBおよびLayerXでは、本取組において注目したビジネス領域における「BtoB決済におけるトランザクションの記録・活用」に加え、「デジタル通貨を用いた国内外送金などの金融取引に関するAML/CFT強化に向けたトランザクション識別と追跡性担保」を可能にする、将来に必要不可欠なインフラ※3への応用も視野にいれて、研究開発に取り組みます。

※1TEEについて
TEE (Trusted Execution Environment) は、アプリケーションの安全な実行環境を実現するための技術です。PCやスマートフォンのユーザであってもアクセス不可能なデータ領域を端末内に構築し、このアクセス制限をソフトウェアではなくハードウェアレベルで保証しています。同環境下では、クラッキングやマルウェアによる攻撃などの脅威を防ぐことができます。

※2 Anonifyについて
ブロックチェーン外のTEEで取引情報の暗号化や復号を行いビジネスロジックを実行することで、ブロックチェーンの性質を活かしながらプライバシーを保護する、LayerX独自のソリューションです(特願2020-028802)。

※3 取引履歴の記録・参照・監査に関わるインフラについて
JCBでは、今後のデジタル取引の拡大により、取引履歴の記録・参照を行うインフラへの社会的必要性が高まると考えております。また、金融取引の安全性・信頼性を確保するため、AML/CFT強化を見据え取引(トランザクション)の識別と追跡性を担保することがますます重要になると考えております。本課題の解決策となりうる社会インフラモデルにつき、JCBでは特許出願を進めています(特願2020-144381、2020-177558、2020-186455)。

プレスリリースPDF版はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d11361-20201221-5195.pdf

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