ニチイ学館に質問状、MBOの公正性を問う

LIM Advisors Limitedのプレスリリース

令和2年6月11日

報道関係者各位

ニチイ学館に質問状、MBOの公正性を問う

在香港の投資会社リム・アドバイザーズ・リミテッド(「リム・アドバイザーズ」)は、株式会社ニチイ学館(「ニチイ学館」)の株主であるファンドを代理して、ニチイ学館の取締役会と特別委員会に書簡を(「質問状」)を送りました。ニチイ学館が2020年5月8日に発表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(本通知)と同決定プロセスの公正さを問う内容です。リム・アドバイザーズが算定したニチイ学館株の公正価格は本通知の公開買付価格1500円を60%上回る2400円ですが、要請した期日までの面談がかなわなかったため、質問状を公開させて頂きます。

コーポレート・ガバナンスは、政府が打ち出した「アベノミクス」の大黒柱。その白眉が、マネジメント・バイアウト(「MBO」)に光を当てた、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」 (「本指針」)です。「MBOや支配株主による従属会社の買収が公正に行われることは、我が国資本市場に対する国内外からの信頼を確保する上で極めて重要である」と本指針は指摘している通り、取締役会が本指針を遵守することは、企業と株主にとって好ましいだけでなく、日本の国益に関わります。にもかかわらず、本通知は本指針の精神を反映していないのでないか――という問題意識が、質問状を送った背景にあります。

公正さが十分に担保されていない取締役会と特別委員会の意思決定プロセス、新型コロナウイルスが引き起こした社会混乱を巧妙に利用したタイミング、低すぎる公開買付価格と企業価値評価。3つの角度から、質問状は本通知と同プロセスの公正性に疑義を呈しました。質問状では、公開買付けの延長及び少数株主にとって公正な結果を確保するための措置を求めています。

ただでさえMBOには利益相反が内在しますが、資金提供者が取締役の座にある本件は異例です。取締役10名のうち8名を買い手グループと上席経営陣が占めており、独立取締役は2名だけ。公正性を担保することで、買い手グループが取締役会に影響を与えているのではないか?という疑いを払拭するべきですが、本指針が推奨するマジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されず、マーケット・チェックもありません、特別委員会に資する独立したアドバイザーも不在で、フェアネス・オピニオンを取得しておりません。

新型コロナウイルスで相場全体が急落していた最中、急ぐ必要があったのでしょうか? 事業は黒字で拡大中、キャッシュフローも堅調です。複数メディアが、相続対策がMBOの時期を決定する要因になった可能性を示唆し、質問状ではこう書きました。「納税のために株式を現金化する一方で、本公開買付けによる手取金の一部を公開買付者経由で再投資することで事業に対する支配権を維持したいとの創業者親族の思惑により、株価低迷を奇貨としてMBO案が推し進められてしまったのではないか――と当社は懸念しております」

公開買付価格と企業価値評価ですが、事業再構築がMBOの主眼なのに、非公開化後の経営改革による収益改善を本通知では確認できませんでした。情報開示して頂きたい所存ですが、経営改善の価値が生じないのであれば、そもそも非公開化する意味がありません。MBOで用いたレバレッジド・バイアウトによる分析も確認できませんでした。同手法で分析すると、公開買付者の内部収益率(IRR)は4-5年間で46% – 57%。経営陣の保守的な予測を前提としてもです。これは、少数株主も享受すべき利益であると考えます。市場分析手法では、新型コロナウイルスに伴う不安感が引き金を引いた相場暴落という特殊事情が反映されておりませんし、類似会社比較法に引用したサンプルの適格性にも疑問があります。ディスカウンテッド・キャッシュ・フローでは、経営陣の保守的な予測が算定の発射台です。

利益相反が内在するMBO。公正性を十分に担保するための措置がなぜ取られなかったのか? なぜ十分になされたと判断したのか? 少数株主の利益より、創業者の親族の利益が優先されたのではないか――とリム・アドバイザーズは懸念しております。アドバイザー兼第三者評価機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の立ち位置も然りで、支払われる報酬にMBO完了を条件とする成功報酬が含まれています。

リム・アドバイザーズ(https://www.limadvisors.com/)は1995年設立。20年以上も前から日本に投資しております。ニチイ学館に送った質問状の日本語訳は添付の通りです。引用される場合は、実際に送信した英文の質問状が優先しますので、PR Timesにて配信の英語版を必ずご参照ください。リリースも英語版を公表しておりますが、日本語版は英語版を一字一句翻訳したものではございません。

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LIM Advisors Sends Letter to NichiiGakkan Questioning Fairness of Takeover Price

TOKYO—11 June 2020—LIM Advisors Limited (“LIM Advisors”), which represents investment funds that collectively own shares of NichiiGakkan Co., Ltd.  (“NichiiGakkan” or the “Company”) (TSE:9792), today released a letter previously sent to the Company on 3 June 2020 casting doubt on the fairness of the Company`s governance process surrounding the tender offer bid for all the common stock of NichiiGakkan by K.K. BCJ-44 announced on 8 May 2020 at ¥1,500 per share (the “Tender Offer”) as part of a management buyout of the Company. The letter, addressed to the Board of Directors (the “Board”) of NichiiGakkan and the Special Committee advising the Board established on 10 March 2020, noted that LIM Advisors believes the Tender Offer price of ¥1,500 per share substantially undervalues the Company and that the fair price of NichiiGakkan is approximately ¥ 2,400 per share, representing a 60% premium to the Tender Offer price.

In the letter, LIM Advisors spotlights the issue from three perspectives: i) inherent or potential conflicts of interest and concerns over the Board’s decision-making process given that the buyer group includes the founder’s relatives, the Company’s CEO and Bain Capital, all of whom are represented on the Board of the Company; ii) opportunistic timing of the Tender Offer taking advantage of the temporary Covid-19 related weakness in the share price at the expense of minority investors; and iii) valuation concerns since the Tender Offer materially undervalues the Company. The letter outlined that NichiiGakkan has a market leading position in its key markets and has a strong long-term outlook given ongoing demographic changes in Japan. The Board’s recommendation of the Tender Offer and the explanation of why further measures to ensure fairness were not taken or were deemed sufficient are considered to be unsatisfactory by LIM Advisors and contrary to corporate governance best practice under “Abenomics.” The letter recommends that the Board seek an extension of the Tender Offer period and take additional steps to ensure a fair outcome for minority investors.

About LIM Advisors
LIM Advisors is a multi-strategy investment manager with over 24 years of experience in equity and credit investments across the Asia-Pacific region. LIM Advisors was founded in 1995 and has its headquarters in Hong Kong with offices in Tokyo and London. LIM Advisors has been investing in Japan for over 20 years and opened its Tokyo office in 2002.

 
 

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