三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社のプレスリリース
マレーシア中央銀行(以下、中銀)は3月3日、政策金利を0.25%引き下げ、2.50%としました。
中銀は1月に貿易摩擦や地政学リスクに加え、国内の商品セクター低迷、投資計画の遅延といったリスク要因を指摘し、「予防的措置」として追加利下げを実施しました。今回の会合では、世界的な新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の減速懸念の高まりを勘案、連続利下げに踏み切りました。
◆当面は景気減速、低成長が続く
マレーシアの2020年10-12月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比+3.6%まで鈍化し、2008年のリーマン・ショック後の回復局面では最も低い伸びとなりました。個人消費の伸びが持ち直した一方、輸出や公共部門の投資が落ち込みました。
当面は新型ウイルス感染拡大による観光業や製造業への悪影響が避けられないほか、足元の原油や商品市況の低迷などから輸出の回復も後ずれが見込まれます。加えて、2月24日のマハティール前首相の突然の辞任に端を発した政治混乱の最中にあり、政策対応の遅れが懸念されています。
◆マレーシア・リンギットは上値の重い展開
マレーシア・リンギットは米中通商協議の第1段階の合意や原油価格の上昇が好感され、1月中旬には対米ドルで2018年7月以来の高値水準を回復しました。その後は、新型ウイルス感染拡大に国内の政治混乱が加わり、対米ドル、対円ともに急反落の展開となっています。
マレーシアの政策金利はリーマン・ショック時には2.0%まで引き下げられており、さらなる追加利下げの確度は高そうです。また、政治混乱が収束する道筋が極めて不透明であり、マレーシア・リンギットは上値の重い展開が続くと見られます。
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