マーケットレポート「NYダウが▲1,000米ドル超の大幅下落」

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社のプレスリリース

◆ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)は、過去3番目の下げ幅
日本が休日の2月24日、世界的な株安が進行しました。足元で新型コロナウイルス感染の震源地である中国では感染者増加ペースが鈍化してきた一方、韓国やイタリア、イランなど中国以外の地域で感染者が急増し、市場心理が大きく悪化しました。24日は感染者が800人を超えた韓国株式が▲3.9%、200人を超えたイタリア株式が▲5.4%下落しました。

こうした売りが米国株式にも波及、特に年初来市場をけん引してきた大型ハイテク株や半導体関連株への売りが加速しました。一方、世界経済減速への懸念が急速に高まり、米国10年国債利回りは1.3%台に急低下、為替市場では一時110円前半まで円高・米ドル安が進行しました。

こうした中、米国市場では2020年中の米利下げ予想が急上昇し、FF金利先物市場は年2回(▲0.25%刻み)の利下げ実施をほぼ織り込む水準となりました。

 
◆今後の見通し、着目ポイント
米国の対中経済依存度の低さやアジアからの地理的な遠さに加え、ハイテク株の成長期待の高さから米主要株価指数は過去最高値の更新が続いてきました。24日の急落は中国以外での感染の急拡大を受けた利益確定売りが主因と見られます。また、先週21日に発表された2月の米サービス部門PMI(購買担当者指数)が予想外の悪化となり、米国経済の減速懸念がにわかに高まったことが影響した模様です。

中国当局の政策対応で同国経済の先行きはV字回復すると、市場参加者の見方がやや楽観に傾き過ぎていたことも、24日の下げ幅が大きくなった要因と言えそうです。

中国以外での新型コロナウイルス感染の行方は専門家でも判断が難しい状況であり、当面は注視していくしかなさそうです。一方、中国国内では感染者増加ペースが鈍化してきており、また米国においては感染者が増加している状況ではありません。

来週3月2日以降には2月のISM(米供給管理協会)景況指数、米雇用統計など重要指標が発表され、3月前半には1-2月の中国の主要指標が発表される予定です。当面は日々の市場の上げ下げに過度に振られることなく、両国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を見極めることが肝要と言えそうです。

 
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