– ワールド・ゴールド・カウンシル、2026年第2四半期ゴールド・デマンド・トレンド発表 -
World Gold Councilのプレスリリース
金に関する国際組織であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC、本部拠点:英国・ロンドン)は、世界の金の需要動向をまとめた報告書「ゴールド・デマンド・トレンド 2026年第2四半期」を発表しました。報告書によると、年初に記録した最高値から金価格が調整するなか、世界の金の総需要は前年同期比で横ばいの1,269トンとなりました。この結果、上半期の総需要は、前年同期比2%増の推計2,522トン、金額ベースでは3,800億米ドルに達しました。
第2四半期の金ETF、金地金・金貨への投資は合計で262トンとなり、この間、前四半期比で金価格が8%下落するなかで年初の力強い勢いはやや鈍化しました。特に、今四半期は金ETFが45トンの流出となったことで、投資需要全体を押し下げました。しかし、上半期累計での金ETF需要は18トンの流入と、若干のプラスを維持しました。また、金地金・金貨への需要は底堅く推移し、第2四半期は307トンと前年同期比3%の減少にとどまり、金額ベースでは前年同期比34%増と高い伸びを記録しました。この結果、金地金・金貨の上半期累計は、前年同期比21%増、金額ベース86%増と旺盛な需要が続いています。なお、日本については2025年第2四半期以来の1年ぶりにマイナスとなりました。一方、店頭市場(OTC)およびその他需要では、主にアジアからのOTC需要により、第2四半期は327トン、上半期累計では571トンとなりました。
中央銀行とその他公的機関による金準備の購入量は、第2四半期に289トンと、前年同期比で62%増加しました。一方で、第1四半期の購入量が少なかったことから(※)、上半期の需要は345トンと、ここ数年見られた高水準には及びませんでした。なお、WGCが発表した中央銀行の金準備調査(Central Bank Gold Reserves Survey)によると、回答した中央銀行の45%が今後12ヶ月間で自国の金準備を増やす意向を示しており、公的準備資産における金の重要性が依然として高いことが浮き彫りになっています。
宝飾品は金が高値圏で推移していることから、消費者が金の購入を控えるとともに、一部はより軽量な製品へとシフトしているため、第2四半期の需要は前年同期比で17%減少し、287トンとなりました。これにより上半期累計の金宝飾品需要も減少しています。ただし、金額ベースでは上半期累計で前年同期比22%増の860億米ドルとなり、資産保有手段としての金選好意識は依然として強いことがうかがえます。なお、日本においても第2四半期の宝飾品需要は前年同期比で25%減少しました。
第2四半期の金の総供給量は、鉱山生産とリサイクルが逆の動向を示したため、前年同期比で横ばいの1,269トンとなりました。鉱山供給量は、カナダやチリでの新規生産に支えられ、前年同期比で推定2%増の966トンとなりました。一方、リサイクル量は価格上昇にもかかわらず、前年同期比で6%減少しました。
ワールド・ゴールド・カウンシル 日本代表 兼 機関投資家リレーション責任者 戸田 淳
「米国によるイラン攻撃を境に、過去2年間におよぶ金価格上昇の主因のひとつだった米国金融緩和への期待が後退し、金ETF市場では2024年第2四半期以来、2年ぶりの流出を記録しました。この多くはアメリカの投資家による短期的な売却とみられます」
「6月にWGCが公表した中央銀行調査の結果からは、中央銀行が金準備を増やす姿勢に変化がないことが確認されました。さらに、今回の需要調査結果では、投資資産としての金地金・金貨需要の底堅さが確認されました」
「ワールド・ゴールド・カウンシルが7月に東京で実施した機関投資家対象の金セミナーには、約60社から100名近い投資家の方がお越しになりました。機関投資家からは、(年初から金価格が下落したことで)『一部売却したが、先月から再び買い増している』、『新たに金投資を始めた』、『価格下落で金投資を検討しやすくなった』などの声が聞かれました。特に中長期的な視点で運用する投資家にとっては今年前半の価格下落は良い投資機会を提供しているようです」
ワールド・ゴールド・カウンシル シニア・マーケットアナリスト ルイーズ・ストリート
「年初に上昇していた金相場は第2四半期に反転し、過去最高値からの調整局面を経て、横ばい状態となりました。しかし、分散投資と価値保存に有効な資産としての金の役割が認識され、金需要は引き続き堅調に推移しました。金ETFへの資金流入は価格の下落に伴い減少したものの、中央銀行による継続的な買い入れやOTC市場での投資の拡大が寄与し、上半期では金の総需要は2%増加しました」
「2026年下半期の金の需要は、投資需要が牽引すると見込まれますが、その構成には変化が生じる可能性があります。OTC市場やアジアの投資家の存在感が高まる一方、欧米における金ETF需要は、実質利回り、米国の金融政策、およびドル相場に左右されることが見込まれます。中央銀行は引き続き金の主要な買い手となる見込みですが、買い入れのペースは過去4年間に比べてやや鈍化する可能性があります。また、金の高値が続けば引き続き金宝飾品需要の抑制要因となり得ます。とはいえ、消費者は売却よりも保有を継続する姿勢であり、リサイクルによる供給増加を示す兆候は見られません」
Metals Focus社提供の包括的データを含む「ゴールド・デマンド・トレンド 2026年第2四半期」報告書(英語)は、こちらからご覧いただけます。
※:新たに利用可能となった市場データおよび追加分析に基づき、Metals Focus社は2026年第1四半期の中央銀行による金需要の推計値を244トンから57トンへ修正しました。この187トンの差分は、同期間における‘店頭市場(OTC)およびその他需要’として再分類されています。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)について
ワールド・ゴールド・カウンシルは、戦略的資産として金が果たす役割を広め、責任ある形で、開かれた金のサプライチェーン構築を目指す会員組織です。当社の専門家チームは信頼される調査・分析・コメント・洞察を通して、金の活用事例やその可能性について、さまざまな知見を提供しています。ワールド・ゴールド・カウンシルは、業界の発展を促進し、金に関する政策の形成や業界標準の構築に関わることで、永続的で持続可能な金市場を目指して活動しています。
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