PIMCO、2026年長期経済展望「断裂する世界とレジリエンス」を発表

ピムコジャパンリミテッドのプレスリリース

世界経済の先行きを展望すると、今後は複数のシナリオに大きく分岐する可能性があります。

その背景には、国際的な同盟関係の分断、財政のひっ迫、そして大規模なAI投資の進展があります。こうした環境は、分散された質の高い債券およびクレジット戦略にとって、投資機会をもたらすと考えられます。

債券のアクティブ運用における世界的リーダーであるPIMCO(パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシー、ピムコ)は、2026年長期経済展望「断裂する世界とレジリエンス」を発表しました。本レポートは、元FRB副議長でありPIMCOグローバル経済アドバイザーのリチャード・クラリダ、グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)であるアンドリュー・ボールズ、そしてグループ最高投資責任者(グループCIO)のダニエル・J・アイバシンによって執筆されたものです。

 

世界は「断裂(rupture)」の渦中に

 

本レポートは、向こう5年間の経済見通しを提示するものであり、世界は現在「断裂(rupture)」の渦中にあると論じています。PIMCOが2025年の長期経済展望「分断の時代」において指摘した、貿易、安全保障、金融同盟の分断化はさらに加速しています。その影響はすでに、エネルギー価格、サプライチェーン関連のデータ、経済成長率、投資リターンなどに顕在化しています。

 

著者らは次のように述べています。「現状維持への過信に伴う代償は急速に高まっています。グローバル化、政策による下支え、そして低ボラティリティといった従来の前提に依拠することはできないでしょう」

 

政治、地政学、経済安全保障政策は、経済成長やインフレに直接影響を及ぼす要因となり、国・地域・セクター間のばらつきを拡大させています。

 

今後5年間の世界経済を牽引する重要な要因:地政学・世界経済の分断・AI投資

 

PIMCOは、今後5年間の世界経済を牽引する重要な要因として、以下を挙げています。

  •  地政学リスク(理論上のものから現実のものへと変化)

  • 加速する世界経済の分断

  • 大規模なAI投資の拡大 

AIインフラの整備に加え、防衛支出の増加、そしてエネルギー安全保障への投資拡大により、今後5年間で世界の設備投資は約14兆ドル押し上げられる可能性があります。

 

また、インフレを巡っては相反する力が働くと本レポートは指摘しています。AIの普及は、賃金水準の抑制と生産性の向上を通じて強力なディスインフレ要因となり得る一方で、地政学ショックやサプライチェーンの再編は物価に上昇圧力をもたらすとみられます。その結果、基本シナリオの両側に広がる結果の分布(いわゆる「ファット・テール」)が生じる可能性があると考えられます。

 

さらに本レポートでは、特にエネルギーが現在の不確実性の中心に位置している点を強調しています。エネルギー安全保障は、経済安全保障や防衛能力、そして人工知能のようなエネルギー集約型技術の活用とも密接に関係しており、切り離して考えることはできません。どのようなシナリオにおいても、エネルギー市場における地政学的リスクプレミアムは、長期的に高水準で推移するとみられています。

 

金融・財政政策については、中央銀行がインフレ期待を安定的に維持するために必要な措置を講じるとした上で、金融政策の役割の重要性を指摘しています。

 

また、「PIMCOでは、この先5年間の見通しとして、中央銀行がインフレ期待を安定的に維持するために必要な措置を講じると確信しています」と述べています。一方で、ほぼすべての先進国において財政余地は限られており、今後の景気対応における制約要因となる可能性があります。

 

投資への意味合い:リスクを追求するよりレジリエンスを重視

 

こうした背景から、PIMCOは、数年前に債券利回りが一世代ぶりの水準へとリセットされたことにより、質の高い債券を中核とした分散投資の有効性が高まり、レジリエントなポートフォリオの構築が可能となっているとしています。本レポートはまた、投資家が現地通貨ベースで5~7%程度の利回りを有するグローバルに分散された質の高い債券ポートフォリオの構築を目指すことができると指摘しています。株式と比べて低い潜在的ボラティリティのもとでも、長期的な株式リターンと競合し得る水準といえます。

 

また、投資開始利回りの高さにより、インカム収益がより重要な役割を果たす環境となっており、キャピタルゲインへの依存度は低下するとみられます。「PIMCOの長期経済展望における重要な投資上の含意は、リスクを回避すべきということではなく、投資家はリスクに対して適切なリターンを得るべきであるということ、そして合理的な長期リターンを実現するために過度なリスクを取る必要はなくなっているという点です」と著者らは述べています。

 

本レポートは、株式のバリュエーションは依然として歴史的水準と比べて高く、株式リスクプレミアムは(特に米国において)戦後のレンジの下限近くにあると考えられると強調しています。多くの投資家において株式への配分が高まっている中、PIMCOは伝統的な「株式60%/債券40%」の配分に改めて注目すべきとしています。

 

クレジット市場において、PIMCOは特に信用力の低い、景気動向の影響を受けやすい企業クレジットに対して慎重な見方を維持しています。PIMCOでは、より実体的なデフォルト・サイクルが進行しているとみており、投資家は過去に見られたような迅速な回復パターンが同様の確度で再現されることを前提とすべきではないと考えています。一方で、設備ファイナンス、消費者向け融資、住宅ローン、不動産クレジット、選別されたインフラ・ファイナンスを含むアセット・ベースド・ファイナンスの分野では、インカムとダウンサイド・プロテクションの優れたバランスを提供する投資機会があるとみています。

 

質の高い債券の中では、中期年限の債券、政府系モーゲージ債(MBS)、各国の国債、インフレ連動債において特に高い確信が示されています。また、エマージング市場については、ポートフォリオ分散と利回りの両面で有効な手段であるにもかかわらず、リスク管理の観点から過小評価されている可能性があると指摘されています。

 

結論:大胆さより規律

 

最後に著者らは、「最も重大な投資上の誤りは、十分な対価を伴わないリスクを追求することである」と指摘しています。流動性の高い質の高い債券を中核とし、クレジットでは質の向上を重視しながら、国際分散、実物資産、アセット・ベースド・ファイナンスへの選択的な配分を組み合わせることで、レジリエントなポートフォリオが構築されます。今後5年間においては、大胆な姿勢よりも規律、そしてリスク追求よりもレジリエンスの重視がより重要になると結論づけています。

 

英語のレポート全文はこちらからご覧いただけます。

1971年に設立されたPIMCOは、世界中に拠点を構え、グローバルな顧客のために資産運用を行っています。

 

PIMCOについて

PIMCOは、公募および私募市場における深い専門知識を有する、債券アクティブ運用の世界的リーダーです。複雑な債券市場を数十年にわたりナビゲートしてきた経験を生かし、広域にわたる債券およびクレジットにおける投資機会を通じて、お客様からお預かりした資金を運用しています。柔軟な資本基盤と発行体との強固な関係により、資金調達を必要とする企業や、リスク調整後の高いリターンを求める投資家に対し、伝統的および非伝統的なソリューションを提供する世界最大級の運用会社です。

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