Ascender CapitalはMCJ(6670 JP)の利益相反を伴うMBOに懸念を表明し、一般株主保護の明確化を要請

(証券コード: 6670)

Ascender Capital Ltd.のプレスリリース

  • Ascender CapitalはMCJ(6670 JP)の利益相反を伴うMBOに懸念を表明し、一般株主保護の明確化を要請

  • 公表された中期経営計画とDCFの前提の乖離、ならびに開示タイミングがTOBの発表や観測報道などの影響を受ける前の株価(影響前株価)に与え得る影響に懸念

  • TOB価格の引き上げ、MoM、マーケットテスト、開示拡充を要請

東京、2026年2月18日 — Ascender Capital Limitedは、アジアの優良企業に投資する香港拠点の投資会社です。当社は日本のソフトウェア/システムインテグレーション領域における長期投資家であり、近年は運用資産の半分以上を同セクターに配分してきました。これまで当社は同領域の上場企業100社超を継続的にモニタリングし、2015年以降、50社超の経営陣と面談してきました。

当該MBOに関する一般株主保護と開示に関する要請

取締役会ならびに特別委員会 御中

Ascender Capital(以下「当社」)は、株式会社MCJ(以下「MCJ」)の長期株主です。当社は2年以上にわたり、複数回のミーティングに加え、取締役会宛のレターおよびプレゼンテーションを通じて、資本配分とガバナンスに関してMCJと対話してきました。その中で当社は、以下の事項を提案しました。(i) 適切な規模の自己株式取得および増配を通じたROEの改善、(ii) 独立社外取締役が取締役会の過半数を占める体制の実現、(iii)スタンダード市場からプライム市場へ移行すること、(iv)開示の質の向上(全資料の英文開示の実施を含む)。当社がこれらを提案したのは、長期的な企業価値およびバリュエーションの向上につながり、すべてのステークホルダーに利益をもたらすと考えたためです。

当社は、2026年2月5日に1株当たり2,200円(PER 15.3倍)で発表されたMBOについて、本書簡をお送りします。本取引は利益相反のある取引です。最大株主である髙島氏は応募(売却)した後、上場廃止後に再出資する予定であり、また開示されている各種取り決めは潜在的買収者による競争的な提案を抑制し得るものです。このような利益相反取引においては、経済産業省の指針で参照される考え方や、東京証券取引所が期待するガバナンスの観点から、強い一般株主保護と、堅牢なプロセスが重視されます。

加えて、MCJは、(2024年3月期の記念配当を除けば)配当性向が概ね30%程度にとどまり、10年以上にわたり自己株式取得も限定的でした。その結果、ネットキャッシュは概ね420億円に達しており、MBO発表前時点の時価総額の約28%に相当します。

  1. DCFと中期経営計画公表のタイミング

MCJは、DCF(割引キャッシュフロー法)が経営陣の見通し(マネジメント・プロジェクション)に依拠していると説明しています。開示されている数値からは、2025年5月14日に公表された中期経営計画と、DCFの計画との間に乖離があることが示唆されます。具体的には、2028年3月期において、中期経営計画の売上高2,369億円・営業利益 210億円に対し、DCFの前提となっている計画では売上高2,460億円・営業利益260億円となっており、より高い成長と、営業利益率が8.9%から10.6%へ改善する前提が含まれています。仮に経営陣がこの高い成長軌道とマージン改善が実現可能だと考えているのであれば、なぜ本取引以前に中期経営計画が修正され開示されていなかったのか、その差異を生む要因は何かを、主要なフリーキャッシュフロー・ドライバーに関する重要な感応度と併せて、株主は明確な説明を受けるべきです。

2. プレミアム分析:プレミアムが過大に見えている可能性

MCJは、2,200円が「合理的かつ公正」であることを示すために、プレミアムのベンチマークを引用しています。プレミアムは参考情報になり得ますが、利益相反取引における保護措置の代替にはなりません。当社は、提示されているベンチマーク手法について、(例えば22件のみという)サンプルの少なさ、強いフィルタリング、分布(ばらつき)に関する開示の限定性などに懸念があります。

さらに重要なのは、プレミアムがTOBの発表や観測報道などの影響を受ける前の株価(以下「影響前株価」)に機械的に依存している点です。内部の見通しと整合的な中期経営計画の修正がMBO発表前に適時に開示されていれば、影響前株価はより高かった可能性があり、その場合、TOB価格2,200円に対するプレミアムは、引用されている約40%より低くなっていた可能性があります。したがって当社は、開示タイミングの説明、ならびに取締役会および特別委員会が影響前株価とプレミアム分析に与える影響をどのように評価したのかについての説明を求めます。

3. なぜ2,200円が公正と結論付けたのか、どのような保護措置を検討したのか

プレスリリースでは、特別委員会の関与のもとで「複数回かつ十分な交渉」を経たと説明されています。しかし、取締役会および特別委員会が、2,200円が適正な公正価値を反映していると結論付けたプロセスについて、より明確な開示がなければ、株主は公正性を評価できません。

公表資料によれば、買付者による3回目の価格提案(2,200円)の後、特別委員会は2026年2月3日、一般株主の利益のために更なる価格引き上げを要請し、デューデリジェンスで議論された事業計画を踏まえ、なぜ2,200円が正当化できるのかについて詳細な説明を求めました。買付者は、2,200円が最終価格であり引き上げないと回答し、特別委員会は2026年2月4日に2,200円を「受け入れた」とされています。「複数回かつ十分な交渉」を実質的なものとするため、当社は以下の説明を求めます。

  • 特別委員会の要請にもかかわらず最終的な上乗せを拒否した買付者の具体的な理由(特別委員会が求めた説明事項を含む)

  • 取締役会および特別委員会が「上乗せなし」の回答を受け入れた根拠、ならびに追加的な保護措置(例:アクティブ・マーケットチェック、その他の少数株主保護策)をどのように検討したか

  • また、特別委員会メンバー1名が、TOB価格のみならず、本取引が企業価値向上をもたらすかどうかについても懸念を表明したと報じられている点にも留意しています。

4. ロールオーバーやディール保護を踏まえた、MoMと契約締結前のマーケットテストの必要性

再出資価格がTOB価格と同一であったとしても、ロールする株主は取引後のアップサイドへのエクスポージャーを維持できる一方、一般株主はキャッシュアウトされるため、利益相反が強く意識されます。したがって一般株主には、取引後の取り決め内容と、その評価のされ方について、より充実した開示が必要です。

さらに、公表されている約34%をカバーする応募契約やその他のディール保護条項は、競争的な提案を抑制し得ます。そのため、契約締結前に価格・条件が適切にテストされていたこと(事前のマーケットテスト)を、説得力をもって示すことの重要性が増します。また、一般株主の支持を直接確認するためのMoMの導入を正当化する要素にもなります。

5. 要請事項と呼びかけ

  • 開示タイミングに関する懸念、ならびに特別委員会自身が最終上乗せを要請した事実を踏まえ、価格引き上げを含む条件改善を検討すること

  • 利益相反性の高い取引であることから、MoM条件を導入すること

  • 契約締結前に何が行われたかを含め、信頼できるアクティブ・マーケットチェックの実施と開示を行うこと

  • 特にMoMが導入されない場合、独立したフェアネス・オピニオンを取得すること

  • 取引後の取り決め、ディール保護条項、ならびにプレミアム・ベンチマーク手法(分布や感応度を含む)について、開示を拡充すること

最後に、当社は「上場を維持したまま価値向上を図る」現実的な選択肢も検討すべきだと考えます。MCJは上場を維持しつつ、当社がこれまで提案してきた価値向上策を実行し得ます。十分なネットキャッシュと、歴史的に保守的だった株主還元を踏まえれば、ガバナンスと開示の改善、プライム市場への移行の検討のみならず、還元の強化を実施する盤石な財務基盤があります。これにより、すべての株主がアップサイドを享受できる形で、企業価値とバリュエーションの向上を目指せると考えます。

当社は、迅速かつ透明性の高い回答を求めます。

アセンダー・キャピタルについて

2012年12月に設立されたアセンダー・キャピタルは、香港を拠点とするバリュー投資に特化した投資会社で、日本を含むアジアの投資機会を重点的に追求しています。ファンドは、利益と利益成長の実績を有する優れた企業に焦点を当てています。

本件に関するお問い合わせ先:

Jean-Charles Tisserand

Edouard Mercier

Email: info@ascendercapital.com

Tel: +852 3758 2608

免責事項

アセンダー・キャピタルは、株式会社MCJの株式を保有する私募ファンド(以下「アセンダー・キャピタル・ファンド」といいます)の投資運用者です。本プレスリリースに記載の情報および見解は、MCJの取締役会および経営陣が当社の懸念にいかに真摯に対応し、株主の意見に耳を傾け、すべての株主の利益にかなう形でMCJの株式価値向上に努めているかについて、他の株主が慎重にモニタリングすることを可能にするため、情報提供・参考目的でのみ公表するものです。

アセンダー・キャピタルは、いかなる形においても、(i) MCJの他の株主に対し、アセンダー・キャピタルと共同して株主権(投票権を含みますがこれに限られません)を行使するよう勧誘または要請するものではなく、また (ii) いかなる取引についても、その申込みまたは申込みの勧誘、あるいは助言・招待・勧誘・誘引を行うものではなく、さらに (iii) その他のいかなる行動をとること、またはとらないことについても、助言・招待・勧誘・誘引(本プレスリリースに記載された条件によるか否かを問いません)を行うものではありません。

さらに、本プレスリリースおよび当社ウェブサイトに掲載される情報は、いかなる有価証券の購入または売却を推奨するものではなく、また、有価証券の売付けの申込みまたは買付けの申込みの勧誘を構成するものでもありません。本プレスリリースおよび当社ウェブサイトの内容は、投資、税務または法務に関する助言を意図するものではなく、また、そのように解釈または使用されるべきものではありません。本プレスリリースおよび当社ウェブサイトの情報は、MCJの事業およびガバナンス構造に関するアセンダー・キャピタルの意見、解釈および見積りを示すものであり、アセンダー・キャピタルは、アセンダー・キャピタル・ファンドの投資助言者としての立場においてのみ、これらの意見を表明しています。

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