金利上昇の影響、企業の44.3%が「マイナスの方が大きい」 中小企業の経営環境は一層厳しさを増す

金利上昇による企業への影響調査(2025年12月)

株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは、全国2万4,274社を対象に、「金利上昇による企業への影響」に関するアンケート調査を実施した

SUMMARY

金利の上昇が自社の事業に与える影響は、「マイナス影響の方が大きい」が前回調査(2024年4月調査)から6.6ポイント上昇し、44.3%となった。また、「どちらとも言えない(±で相殺)」が26.9%で6.3ポイント低下した。今後も金利の上昇が継続することが見込まれる現状で、この傾向はさらに顕著となる可能性が高い。
借入金の多い中小企業にとっては、金利の上昇による支払利息の増加で利益が圧迫され、経営環境は一層厳しさを増すことが懸念される。

調査期間:2025年12月16日~2026年1月5日(インターネット調査)
調査対象:全国2万4,274社、有効回答企業数は1万662社(回答率43.9%)


金利上昇の影響、「マイナス影響の方が大きい」が4割超へ

日本銀行の政策金利の引き上げに連動して、長期プライムレートは、2025年1月10日の2.00%から2026年1月9日現在で2.75%となり、1年間で0.75%上昇した。そうしたなか、金利の上昇は自社の事業にとってどのような影響があるか尋ねたところ、「マイナス影響の方が大きい」と回答した企業が44.3%となり、前回調査(2024年4月調査)から6.6ポイント上昇した。次いで、「どちらとも言えない(プラスとマイナス両方で相殺)」が6.3ポイント低下し、26.9%となった。金利の上昇が進むにつれ、プラス影響よりもマイナス影響を大きく感じる企業が増加している。

業界別にみると、「マイナス影響の方が大きい」では、『不動産』が前回比11.9ポイント増の59.6%でトップとなった。住宅ローン金利の上昇や投資用不動産の利回り悪化により需要の減退が懸念されるほか、市況の冷え込みによる不動産価格の下落圧力が生じる可能性もある。次いで、『製造』(50.9%、同8.3ポイント増)、『運輸・倉庫』(50.5%、同12.0ポイント増)が5割台で続いた。『その他』を除く全9業界で前回調査から上昇し、『運輸・倉庫』は最も大きい上昇幅だった。

企業からは、「取引先への値上げ交渉は非常にタフで時間がかかるため、金利上昇によるコスト増加分を価格転嫁することは難しく、非常に厳しくなる」(港湾運送、静岡県)や「既存の借入れが変動金利であり、返済負担が増加する」(不動産管理、愛知県)など、自社の利益が圧迫され、財務状況の悪化を懸念する声が多く聞かれた。一方で、「金利上昇による借入金利の上昇といった直接的な影響よりも、日米の金利差縮小による円安の解消に期待している」(発泡軟質樹脂品製造、千葉県)など金利負担の増加よりも、過度な円安の是正を期待する声も多く寄せられた。


本調査の結果、「どちらとも言えない(プラスとマイナス両方で相殺)」企業の割合が低下し、その分だけ「マイナス影響の方が大きい」企業の割合が上昇する形になった。金融政策の正常化を図るなかで今後も金利の上昇が継続することが見込まれる現状において、この傾向はさらに顕著となる可能性が高い。また、借入金の多い中小企業にとっては、支払利息の増加で利益が圧迫され、経営環境は一層厳しさを増すことが懸念される。企業は、借入方法の見直しのほか、価格転嫁やコスト削減など返済原資の確保を行うための対策を検討・実施することが求められる。

主な企業の声

金利上昇に対して「ポジティブ」な意見

  • 今後金利が上昇して円高に振れた場合、輸入コストが下がるためプラス影響がある(機械・器具卸売)

  • 金利上昇が円高に繋がることが前提となるが、輸入原料や資材コストが高く、円高になればコスト面で有利になる。今後、さらなる引き締めをしてもらいたい(飲食料品・飼料製造)

  • 過度の円安が是正されれば仕入れ価格の下落が見込まれる。また、エネルギー価格の下落による個人消費の改善も期待できる(情報サービス)

  • 円安が改善されれば、コロナ禍で落ち込んだ海外旅行の需要がさらに回復すると想定している。原油価格の高騰による航空機の燃油付加運賃の高止まり解消にも期待している(運輸・倉庫)

  • 金融緩和維持による異常な円安の弊害が放置されている方が問題。本来カンフル剤的なマイナス金利政策は早期に解消すべきで、ある程度の金利上昇は許容しなければならない(その他の卸売)

  • 金融機関の収益が増えることで、融資に積極的に対応するようになる。資金繰りに苦慮している中小企業にはプラスになると考えている(化学品製造)

  • 無借金経営で預金量もある程度あるため、金利上昇はプラスになる(不動産)

金利上昇に対して「ネガティブ」な意見

  • 直接的な負担が増えることはない一方で、今後、設備投資の意欲が冷え込むことになれば受注環境は厳しくなることが想定される(建設)

  • 新築住宅工事の受注に関し、資材や設備機器などの値上がりで建設費が増大しており、さらに住宅ローン金利が上昇すると厳しさが増す(建設)

  • ローンを利用した車の購入を見送る顧客が増加することが見込まれる(自動車・同部品小売)

  • ゼロゼロ融資を受けている得意先の返済状況を把握できておらず、与信管理の面からみるとかなりのリスクを背負うことになる可能性がある(その他サービス)

  • 利益を出せるように値上げをしても、金利や為替の影響による副資材の高騰に追い付かないのが現状。付加価値のある商品を開発しなければジリ貧となる(飲食料品・飼料製造)

  • 住宅ローン金利が上がると、不動産を購入できるお客様が減り、不動産業も建設業も仕事量が回復しないと予想している(不動産)

  • 借入金利の上昇は少しずつではあるがすでに始まっている。現状、借入が困難になるほどの影響は出ていないが、新規の借入をためらう可能性は十分ある(化学品製造)

        

金利上昇への対応策 

  • 金利が極端に上がるようであれば、手元資金を厚めに確保するなど資金繰り最優先を前提としつつ、無理のない範囲で借入金の圧縮を検討している(鉄鋼・非鉄・鉱業)

  • 販売コスト削減のため、展示車・試乗車の台数削減を検討している(自動車・同部品小売)

  • 銀行との付き合いで預けたままになっている定期預金などを解約し、もう少し利回りの良い金融商品を購入する検討を進めている(紙類・文具・書籍卸売)

  • 今後の金利上昇を見込み、マンションの賃料増額などで収益を増やすなど、マンション管理コストの削減をできるよう常に見直しをしている(不動産)

  • 証券業においては、金利の変化がビジネスチャンスになるため、顧客意向に合わせて商品提案を行う。当社では、金利上昇前に必要な借入手続きを完了させている(専門サービス)

  • 既存借入の変動金利が今後上昇することが予想されるため、繰り上げ返済を検討している(運輸・倉庫)

  • 貸出金利の上昇による貸出先動向は今まで以上に留意していく方針。条件変更先、低格付先などヒアリングを重ね、変化の予兆を事前に察知できるように営業店、本部の連携を密にしたさらなる伴走支援をとっている(金融)

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