~鉄道事業者の安全性向上への取組み支援コンサルティングサービスを提供開始~
損害保険ジャパン株式会社のプレスリリース
損害保険ジャパン株式会社(代表取締役社長:石川 耕治、以下「損保ジャパン」)およびSOMPOリスクマネジメント株式会社(代表取締役社長:中嶋 陽二、以下「SOMPOリスク」)は、鉄道事業者が取り組む安全施策を支援するコンサルティングサービス※の提供を開始します。これにより、鉄道事業者において、リスクを体系的・網羅的に把握し、優先的に対策すべき路線や駅および踏切を明確にするなど、合理的な判断に基づいた安全施策を実施することにより、鉄道事業のさらなる安全性向上の実現に向けた仕組みづくりに貢献します。
※本コンサルティングサービスについては、JR東日本研究開発センター安全研究所の研究開発成果に基づく特許第7454401号(発明の名称:リスク評価方法およびリスク管理方法)を使用する許諾を受けています。
1.背景
少子高齢化の進展、デジタル化に伴う生活様式の変化により、国内の交通需要は今後一層変容することが想定されます。SOMPOグループでは、高齢化に伴う運転免許証の自主返納者の増加や地方公共交通機関におけるドライバー不足などの社会課題に対して、地域交通の持続可能性向上に向けたライドシェア向けの移動支援サービス専用自動車保険の開発や、自動運転サービスの社会実装に向けたソリューションの提供、保険と事故防止の両面での空飛ぶクルマの実装支援など、従来からモビリティの安全性に対する取組みを行ってきました。
鉄道事業者においても、列車の脱線、踏切での自動車や通行者などとの衝突、自然災害などのリスクに対し、さまざまな安全対策が求められています。しかし、その内容・原因は多岐にわたり、さらに路線・駅により発生傾向が異なることから、安全対策の優先度を適切に設定することが難しいのが現状です。
SOMPOグループは、これまでのモビリティの安全性に対する取組みの知見を生かし、鉄道事業者が安全性向上のために取り組む施策を支援する新たなコンサルティングサービスを2025年4月に提供開始します。
2.コンサルティングサービスについて
(1)概要
それぞれの鉄道事業者からリスク分析に必要な各種データや条件の提供を受け、列車運行リスク分析手法を用いて分析した結果を、ニーズに添う形で見える化します。その後、対策を講じるべきリスクについて、各鉄道事業者と協議することにより、対策後のリスク値を算定してその効果を可視化することも可能です。
また鉄道事業者内におけるリスクマネジメントの教育や、リスクマネジメント体制構築・運営に関するコンサルティングなど、運輸安全マネジメント全般の支援をワンストップかつトータルに支援します。
鉄道業界全体のリスク認識を高め、鉄道事業を展開する上で必要とされる安全対策を進めていくことで、安心・安全なモビリティ社会の実現、鉄道事業者の企業価値向上に貢献します。
(2)特徴
①「列車運行に関する安全上のリスク」が対象
・列車運行で発生しうる対人リスクが対象
・列車運行で考えられるリスクシナリオを約500設定
②「列車運行に関する安全上のリスク」を定量化して数値で表現
・1年あたりの想定被害者数をリスク値とし、リスクシナリオごとの発生頻度(年間発生件数)と、それによる被害規模(一度の事故における被害者数)を掛け合わせて算定
リスク値(人/年、想定被害者数)= 発生頻度(件/年)× 被害規模(人/件)
③駅・駅間・踏切がリスク分析の最小単位
・分析対象である全ての駅・駅間・踏切におけるリスクシナリオごとのリスク値を算定
・想定被害者の対象は、乗客・旅客・公衆・係員の4種別
④駅・駅間・踏切のリスク値をそれぞれ合計して、路線や区間、エリアごとのリスク値を算定
・原因の所在(鉄道事業者によるものか否か)、要素(駅・乗務員や指令などの輸送業務、車両検修業務、信号・線路や電力などの設備管理業務、社会との接点、お客さま、自然災害など)※や、リスクシナリオの分類ごとにも集約可
※各鉄道事業者の事業内容や範囲に合わせ、対象とする要素は調整可能です。
(3)メリット
・列車運行に関するリスクを、「リスクシナリオ」として体系的・網羅的に把握可能
・定量表現された「リスク値」を基に、どのリスクに対応すべきか客観性・合理性の高い説明が可能
・対策前後のリスク値を比較することで、合理的な判断に基づいた安全施策を選択・実施可能
(4)リスク値算出までのフロー
3.今後について
損保ジャパンとSOMPOリスクは、モビリティ社会の安全性に資する、保険を含めたソリューションサービスの拡充を図り、SOMPOのパーパスである「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」の実現に向けた取組みを進めていきます。
以上