米国が暗号資産の戦略的備蓄創設へ、トランプ政権の新たな金融政策

米国のトランプ大統領は2025年3月2日(日)、「暗号資産の戦略的備蓄」を創設する計画を公表。さらに3月7日(金)には、その構想を実現するための「戦略的ビットコイン準備金」の設立に関する大統領令に署名しました。米政府が暗号資産を正式な国家備蓄として位置づけるのは史上初の試みであり、規制を強めていたバイデン前政権からの大きな方針転換を意味します。

また、今回の決定の背景には、世界的なインフレ懸念や米ドルの基軸通貨としての地位低下に対抗する狙いがあります。そして、これによりデジタル資産市場を戦略的に活用し、米国経済の競争力を維持・強化することが期待されています。

こうした動きを受け、投資家の間では暗号資産への注目が一段と高まり、ビットコインのみならずイーサリアムを始めとする主要なアルトコインへの関心も再燃。ビットコインウォレットやイーサリアム ウォレット おすすめなど、投資家の間で暗号資産を安全かつ効率的に管理できるウォレット選びも注目を集めています。

「戦略的ビットコイン準備金」創設計画の詳細

「戦略的ビットコイン準備金」は、連邦政府が保有するビットコインを国家レベルの備蓄資産として管理を行うための政策です。政府が過去に押収した暗号資産を原資にスタートし、市場からの新規購入は当面行わないとされています。ホワイトハウス特別顧問デイビッド・サックス氏によれば、政府が現在保有する約20万BTC(約180億ドル相当)がその原資となる見込みです。

備蓄対象となる暗号資産にはビットコインに加え、イーサリアムやリップル、ソラナ、カルダノが含まれています。政府関係者は将来的な追加購入についても議論していますが、現時点では既存保有資産を中心とする方針です。また、財務省の為替安定基金を活用することで、議会承認を得ずにビットコインを保有・運用できる仕組みも検討されています。

大統領令では、財務省と商務省が共同で暗号資産の管理・運用体制を整備することも求められており、具体的な運用方針や保有量については、半年以内に具体案が提示される予定です。また、運用方針や成果に関する報告も定期的に議会に提出することが義務付けられています。

暗号資産市場の反応と価格動向

トランプ大統領の3月2日の発表直後、暗号資産市場は即座に反応しました。特にビットコイン価格は発表後に約11%急騰し、一時94,000ドル台に到達。また、イーサリアムやリップルなど選定されたアルトコインも軒並み10%以上の値上がりを見せ、市場全体の時価総額は数時間で約3,000億ドル拡大しました。

しかし、3月7日に大統領令が発表されると、市場の期待ほど積極的な内容ではなかったことを背景に失望売りが入り、ビットコイン価格は85,000ドルまで下落。その後は再び買いが入ったことで、原稿執筆現時点の価格は安定化しています。

市場では、この政策が長期的に暗号資産の需要を支えるとの期待感が依然強く残っています。加えて、専門家の間では、政府の本格的な備蓄開始によりビットコインが「デジタルゴールド」としての地位を確立し、長期的に価格安定化につながるとする見方も多いです。

ただし、暗号資産の価格変動リスクや国家が積極的に介入することへの批判も、一部から挙がっています。

国際的な反響

米国が暗号資産を国家備蓄に組み入れたことは世界各国に波紋を広げています。欧州中央銀行はビットコインのボラティリティを理由に、ユーロ圏諸国が追随する可能性は低いとしていますが、一方でロシアやアルゼンチン、エルサルバドルなどは自国の準備資産に暗号資産を加えることを検討し始めています。特に制裁対象国が米国の政策に追随する場合、国際金融秩序への影響は避けられないでしょう。

さらに、中国は独自の中央銀行デジタル通貨(デジタル人民元)を推進しており、米国の政策に刺激を受けてデジタル金融分野での競争が激化する可能性があります。

今後の展望

トランプ政権の「戦略的ビットコイン準備金」の実現には、政治的・法的ハードルがあります。特に、民主党や財政保守派からは反対意見も予想され、議会での法整備が必要になる可能性もあるでしょう。しかし、すでに財務省の為替安定基金を通じて実施可能な枠組みが存在するため、限定的ながらも短期間での実現性は高いと見られています。

さらに、この動きを契機に暗号資産市場に機関投資家の参入が本格化すれば、市場規模が飛躍的に拡大する可能性があります。米国政府による暗号資産保有の成功事例が確立されることで、世界各国が追随する可能性も高まります。特に制裁下にある国家が米国に対抗する形で暗号資産備蓄を加速させれば、暗号資産が新たな国際政治・経済上のツールとして重要性を増すでしょう。

今後は、米政府がどのような規模・方法で暗号資産の備蓄を拡大していくのか、世界各国がどう反応するのかが注目されます。ビジネス界もその動向を見極め、戦略的かつ迅速に対応する必要があるでしょう。

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