今後の金利の動向を「上昇」と予測したのは購入者5割に対し、購入検討者7割。「金利の低さ」「保障付き」は年配層、「初期費用の低さ」「ペア団信」は若年層が支持
株式会社LIFULLのプレスリリース
事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、10年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用中(以降、購入者)の825名と5年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用予定(以降、購入検討者)の825名を対象に『住宅ローンに関する意識調査』を実施しました。
住宅ローン利用者と利用予定者は今後の金利動向をどう予測?銀行選びの決め手は?
今日までは「変動金利」を選んだ人の方が、結果的に低金利の恩恵を受けてきましたが、マイナス金利が解除され、金利の上昇圧力が高まりつつあります。
そのような中、住宅ローン利用者・利用予定者は今後の見通しをどのように予測しているのか、また住宅ローン利用予定者はどのような観点で銀行を選ぶのか、購入者・購入検討者双方の意識を調査し、LIFULL HOME’S総研チーフアナリストの中山登志朗(なかやまとしあき)による考察と共に発表します。
調査結果サマリー
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住宅ローンの種類:
購入者の7割が「変動金利」の一方で、検討者の「変動金利」予定は6割を切る -
住宅ローンの世帯年収倍率:
「4倍未満」までは検討者の選択割合が高く、「4倍以上」になると購入者が逆転
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(購入者)世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合:
「2割以上3割未満」が最多。3割以上のうち「もっと借入額を減らせばよかった」が3割
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(購入検討者)住宅購入に対する意向:
約5割が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」前回調査より増加
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今後1年間の住宅ローンの見通し:
「上昇」の予測は購入者48.1%に対し、購入検討者68.3%。前回調査より増加
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住宅ローンを払いきれるかの不安について:
不安を抱いているのは購入者67.8%に対し、検討者90.1%。一方で金利上昇対策は「していない」が4割
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(購入検討者)銀行の選び方:
「金利の低さ」「保障付き」は年配層、「初期費用の低さ」「ペア団信」は若年層が支持
【住宅ローンの種類について】購入者の7割が「変動金利」の一方で、検討者の「変動金利」予定は6割を切る
購入者には現在組んでいる住宅ローンの種類、購入検討者には検討している住宅ローンの種類について聞いたところ、共に「変動金利」が最多となった一方で、その割合は購入者が69.7%、購入検討者が57.3%と10pt以上の乖離がありました。その分、「固定金利(全期間固定型)」の選択割合が購入検討者の方が高くなっており、金利の上昇を不安視している購入検討者が多いことがうかがえます。
【住宅ローンの世帯年収倍率】「4倍未満」までは検討者の選択割合が高く、「4倍以上」になると購入者が逆転
住宅購入者には住宅ローンを世帯年収の何倍で借り入れているか、検討者には何倍で借り入れる予定かを聞いたところ、購入者は「4倍以上5倍未満」が最多になったのに対し、購入検討者は「3倍以上4倍未満」が最多となりました。24年7月に実施した前回調査(※1)では購入検討者の最多回答は「4倍以上5倍未満」であったことから、多額を借り入れることへの不安が増大していることが推察されます。
両者を見比べると、「4倍未満」までは購入検討者の方が回答割合が多く、「4倍以上」になると購入者の回答割合が上回っています。
【(購入者)世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合】「2割以上3割未満」が最多。3割以上のうち「もっと借入額を減らせばよかった」が3割
住宅購入者に対し、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合を聞いたところ、最も多かったのが「2割以上3割未満」(40.7%)、その後に「1割以上2割未満」(33.5%)となり、「1割以上3割未満」が約7割を占めました。
続いて、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合別に借入額に対する意識を調査しました。世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合が「2割未満」までは「もっと減らせばよかった」の割合は1割程度だったのに対し、「2割以上3割未満」になると22.0%、「3割以上」になると28.3%にまで増加しました。
【(購入検討者)住宅購入に対する意向】約5割が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」前回調査より増加
購入検討者に対し、住宅購入に対する意向を聞いたところ、1位が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」(47.9%)、続いて「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」(33.6%)、「希望に合う物件が出たら買いたい(現状希望に合う物件が出ていない)」(32.1%)となりました。
中でも1位の「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」は前回調査(※1)よりも回答率が6.6pt上昇しており(前回41.3%→今回47.9%)、購入検討者の住宅ローン金利の上昇への不安が感じ取れます。
【今後1年間の住宅ローンの見通し】「上昇」の予測は購入者48.1%に対し、購入検討者68.3%。前回調査より増加
購入者・購入検討者双方に対し、今後1年間の住宅ローン金利の見通しについて聞きました。「上昇」(「何かをきっかけに大きく上昇する」「ゆるやかに上昇する」計)の予測をした割合は購入者が48.1%、購入検討者は68.3%となりました。購入者・購入検討者ともに「上昇」予測の割合は前回調査(※1)よりも増加しており(購入者:前回36.6%→今回48.1、購入検討者:前回62.5%→今回68.3%)、前回と同じく、購入者よりも購入検討者の方が今後の金利上昇を懸念している傾向となりました。
【住宅ローンを払いきれるかの不安について】不安を抱いているのは購入者67.8%に対し、検討者90.1%。一方で金利上昇対策は「していない」が4割
購入者・購入検討者双方に対し、住宅ローンを払いきれるかの不安があるかどうかについてたずねたところ、「大いに不安がある」と回答した購入者は18.7%だったのに対し、購入検討者は50.2%と過半数を占めました。不安を抱いている割合(「大いに不安がある」「やや不安がある」計)は購入者が67.8%に対し、購入検討者は90.1%と20pt以上上回りました。なお、購入者・購入検討者ともに前回調査(※1)から微増となっています。
購入者に対し、金利の上昇に備えて行っていることを聞いたところ、何かしら対策をしているのは62.2%となり、完済への不安はありつつも、対策を打てていない人が一定数いることがわかりました。最も多かった対策は「新NISAやiDeCo」(35.4%)、「預貯金」も3割いた一方で、「繰り上げ返済」は15.3%しかおらず、経済の不透明感が強まる中、現金を保有しておきたいという意向がうかがえました。
【(購入検討者)銀行の選び方】「金利の低さ」「保障付き」は年配層、「初期費用の低さ」「ペア団信」は若年層が支持
購入検討者に対し、住宅ローンを選ぶ際に魅力的に感じるものを聞いたところ、最も多かったのが「金利の低さ」(59.5%)、続いて「初期費用の低さ」(46.3%)、「保障付き(3or8大疾病・ガン保障特約団信など)」(38.6%)となりました。反対に間接的な値引きとなる「ポイント優遇/割引」は13.9%に留まっています。
続いて、年代別に分けてみたところ、年齢が高くなるほど選択率が高くなったのが「金利の低さ」(20代44.3%、30代60.2%、40代67.6%)と「保障付き(3or8大疾病・ガン保障特約団信など)」(20代31.5%、30代39.8%、40代41.5%)。反対に年齢が低くなるほど選択率が高くなったのが「初期費用の低さ」(20代49.7%、30代46.9%、40代44.8%)や「ペア連生団信(※2)」(20代36.9%、30代30.2%、40代29.8%)となりました。
※1:2024年7月発表の住宅ローン意識調査はこちら
※2:どちらか一方が亡くなったりした場合などに、夫婦両方の住宅ローン残債が保険金によって免除される団信保障
<考察>LIFULL HOME’S総研 副所長/チーフアナリスト 中山登志朗(なかやまとしあき)
金利上昇懸念が高まるなかで住宅ローンを借りようとしている検討者が敏感に反応
米トランプ新政権が掲げる関税引上げや法人所得税の引下げ、移民の強制送還や入国制限を実施すると、輸入品価格と人件費の上昇が連鎖的に発生することが懸念されており、インフレ抑制のために再びFRBが政策金利を引き上げれば日米の金利差がさらに拡大して円安がさらに進行するため、景気動向を見極めながら日銀も金利を引き上げる可能性があります。2025年は緩やかに政策金利が引き上げられることによって、住宅ローン金利も上昇することになりそうです。
このような社会&経済情勢を受けて、住宅ローンを借りようとしている検討者が敏感に反応していることが明らかです。また検討者は、住宅ローン金利が上がる前に買いたいと回答した割合が、前回調査の41.3%から47.9%へとさらに上昇しています。住宅購入に関して住宅ローンの占めるウエイトが極めて大きいことを示した結果と言えます。
ただし、すでに住宅を購入しているユーザーは、前回同様に金利上昇対策については、特に対策していないとの回答者が最も多い37.8%(+1.1ポイント)に達しており、金利上昇を懸念しつつも緩やかであれば特に問題ないとの楽観的な姿勢を示していますから、繰り上げ返済など一刻も早い対策を講じることが重要であると指摘したいと思います。
調査概要
期間:2025年1月14日 ~ 2025年1月17日
調査対象者:
(購入者)10年以内に家を購入しており、住宅ローンを利用中の25~49歳
(購入検討者)5年以内に家を購入する予定があり、住宅ローンを利用予定の25~49歳
調査方法:インターネット調査
有効回答数:購入者825人、購入検討者825人
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります。
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