株式会社UPSIDERのプレスリリース
2024年9月11日(水)、衆議院議員・スタートアップ議員連盟事務局長である今枝宗一郎議員が主催する「第2回ベンチャーデット勉強会」が開かれ、株式会社UPSIDER Capitalはその運営事務局を務めさせていただきました。
6月に開催された第1回ベンチャーデット勉強会では、ベンチャーデットに積極的に取り組むメガバンクや地方銀行の皆様にご参加いただき、ベンチャーデットの定義や市場の課題について議論が行われました。
続く第2回では、前回の参加者に加え、ベンチャーデットファンドや業界団体の皆様にもご参加いただき、業界標準を定めることの是非について熱い議論が交わされました。本イベントレポートでは、第2回のハイライトをご紹介します。
6月に開催された第1回ベンチャーデット勉強会の様子は、こちらのレポートよりご確認いただけます:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000076272.html
「ベンチャーデット勉強会」の目的
2019年10月に発足したスタートアップ推進議員連盟の事務局長として、スタートアップ市場の環境整備や政策推進に尽力する今枝宗一郎氏が主催する「ベンチャーデット勉強会」の第2回が、2024年9月11日(火)に開催されました。
本勉強会の目的は、主要なベンチャーデットプレイヤーが集結し、それぞれの事例や知見を持ち寄ることで、ベンチャーデットのエコシステムの構築や市場の健全な発展、ひいてはスタートアップファイナンス全体の活性化及び日本経済の発展に繋げていくことを目指しています。
第2回目となる今回は、特に「ベンチャーデット業界における業界標準を定めることの是非」をディスカッションテーマに、業界標準を定めることが市場拡大にどのように貢献できるか、またその実現に向け、どのような具体的な手法があるか、どのような領域で標準が意味を持つか、について議論を行いました。
【開催概要】
<日時>
2024年9月11日(水) 17:00-18:00
<会場>
衆議院議員第一議員会館
<プログラム>
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衆議院議員 今枝宗一郎による開会挨拶
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事務局より参加者の紹介
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前回勉強会のラップアップと、今回のテーマと設定背景のご説明
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ディスカッションテーマ:
「ベンチャーデット業界における業界標準を定めることの是非」
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参加者同士のディスカッション
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衆議院議員 今枝宗一郎による閉会挨拶
<テーマ設定の背景>
「スタートアップ躍進ビジョン」で掲げられたユニコーン企業数を10倍に増加させるという目標を達成するためには、信頼性と持続可能性のあるベンチャーデット市場の形成が必要不可欠です。そのためには、以下が求められます。
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借り手の保護:貸し手の質の向上と情報の透明性の強化
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貸し手の保護:リスクリターンの適正化と業務効率化の促進
信頼性と持続可能性のあるベンチャーデット市場の形成に向けて、業界標準を定めることの是非や、どのような業界標準が適切であるかを議論することが重要であると考え、本テーマを設定いたしました。
ディスカッションサマリ
現在、スタートアップを取り巻く環境は急速に変化しています。特に、資金調達手段の多様化と迅速化が求められる中で、ベンチャーデットはエクイティファイナンス(主に株式発行による資金調達)と補完的に機能する重要な選択肢として注目を集めています。しかし、その黎明期における課題として、以下が挙げられました。
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ベンチャーデット市場はサンプル数の積み上がりや業界横断的な情報共有の仕組みが十分ではなく、効率的・効果的な手法が形成されていない。
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ガイドラインの策定や情報の開示等を通じ、業界標準を適切に定めることができれば、ベンチャーデット市場の拡大を促進する可能性がある。
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一方で、業界標準の策定は上記メリットがあるが、市場の柔軟性を損なうような標準を定めると借り手・貸し手の双方のデメリットに繋がる可能性があるため、業界標準の定め方・その範囲には十分注意が必要である。
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総じて、適切な方法で業界標準を定めることができれば、ベンチャーデット市場の拡大に寄与する可能性が高い。
参加企業の認識
現状の課題について
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ベンチャーデット市場はまだ黎明期であり、多くのレンダーで融資実績及び回収実績がまだ十分でないこともあり、効率的・効果的な手法が形成されていない。
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各プレイヤーの個性があることは歓迎すべきことであるが、情報共有の場が不足しているため、ただでさえ十分でないサンプル数の積み上げが限定的。
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そのため、情報共有の場を設け、サンプル数の積み上げを加速し、ベストプラクティスの形成を促す必要がある。その過程において、一部の項目については業界標準を定めることも市場の拡大や規律向上に寄与する可能性がある。
業界標準の定め方について
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業界標準は効率的・効果的なベンチャーデットを加速させる可能性があるが、どのような業界標準をどの程度まで定めるべきか、には議論の余地が大きい。定め方が適切でない場合、かえってベンチャーデットの多様性を損ねてしまう可能性がある。
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例えば経済条件に標準を定めてしまうと、シニアローンとエクイティファイナンスの広い間を埋めるベンチャーデットとして、プレイヤーによって求めるリターンが異なる中で、多様なプレイヤーが生まれにくい状況を生み出しかねない。加えて、自由競争の良さが失われてしまい、貸し手と借り手、両方のために望ましくない。
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そういった恐れはあるものの、業界標準の策定にはベンチャーデット市場の拡大に寄与する可能性がある。
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例えば、標準契約書及びガイドラインの策定・公開、適切な範囲での情報開示等を通じ、ベンチャーデットへの啓蒙活動を行うことで、市場の理解を促進し貸し手の多様性を促進することが出来る。また、上記の情報の非対称性を低減する事で借り手が安心して融資を受けられる環境を整えることが出来る。
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総じて、適切な方法と範囲で業界標準を定めることができれば、ベンチャーデット市場の拡大に寄与する可能性が高い。また、業界の標準化や横断的な情報共有を可能にする場として、業界団体の設立も有益になる。
衆議院議員 今枝宗一郎氏より
皆様、本日は活発なご議論をいただき、誠にありがとうございました。特に、率直なご意見を共有してくださったことに心から感謝申し上げます。
この会は非常に重要な議論の場であり、特に本日のテーマである『ガイドラインの策定』については、メリットとデメリットの両面があることが明らかになりました。不適切な形でガイドラインが作られてしまうと、業界に大きな混乱をもたらす恐れがあります。そのため、行政だけに依存するのではなく、業界全体が主体的に動くことが求められます。
本日改めて感じたのは、このような議論をさらに深化させるためにも、業界全体を横断するような協会や組織の設立が重要だということです。ここに集まった皆さまをはじめとした民間の主体的な取り組みが、こうした動きの鍵になるのではないでしょうか。この勉強会を契機として、より多くの方々が参加しやすい形で、議論の場を広げていければと考えております。
また、地域連携についても触れさせていただきます。九州など地域ごとの取り組みも広がりを見せています。これらを全国規模に発展させることで、スタートアップやイノベーションが日本全体の成長をけん引する重要なドライバーとなるでしょう。こうした動きをさらに加速させるためにも、皆さまのお力添えをお願いしたいと思います。
参加企業一覧
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一般社団法人スタートアップエコシステム協会
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株式会社静岡銀行
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株式会社日本政策投資銀行
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株式会社福岡銀行
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株式会社みずほ銀行
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株式会社三井住友銀行
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株式会社三菱UFJ銀行
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Funds Startups株式会社
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SDFキャピタル株式会社
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株式会社UPSIDER,株式会社UPSIDER Capital(事務局)
本件およびUPSIDER Capitalに関するお問い合わせ先
ご導入のご相談や、取材申し込み、提携のご連絡は、contact@upsidercap.com までご連絡ください。
※ 本プレスリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。