防災・災害に関する全国都道府県別 意識調査2024        自宅近隣の防災訓練において「ほぼ毎回参加する」と回答したのは、わずか4.4%

災害後の再建のための備えをしていると回答した人は約30%未満、直近1年以内にハザードマップを見た人が一番多かった都道府県は「愛知県」

全国労働者共済生活協同組合連合会のプレスリリース

 こくみん共済 coop〈全労済〉(全国労働者共済生活協同組合連合会 代表理事 理事長:打越 秋一)は、2024年11月に防災・災害に関する全国都道府県別意識調査を実施しました。

 避けることのできない台風や地震などの災害が増える昨今、住まいの保障から事業を開始したこくみん共済 coop では、万一から命と暮らしを守る 防災・減災活動に取り組んでいます。

 これまでの災害対応の中で得た教訓と経験をもとに、本調査を活かした更なる防災・減災の普及とネットワークづくりを進めていきます。

■調査結果サマリー

災害に関する意識について

あなたは災害に対して不安を感じていますかと聞いたところ、全体で74.4%が「感じている」と回答がありました。性別で見ると男性が67.9%、女性が80.1%と女性の方が不安を感じているとの回答が多い傾向がみられました。

※感じている・計(「感じている」+「やや感じている」)

あなたが一番不安に感じている災害は何ですかと聞いたところ、
「地震」が68.8%で次いで「洪水や豪雨等の水災」 8.8%、「台風や竜巻等の風災」7.9% と、予測が難しい「地震」が圧倒的に高い結果となりました。一方、沖縄では33.3%が「地震」、37.1%が「台風」と地震より台風の方が不安に感じる方が多くなりました。

どのようなタイミングで在宅時の災害に対する備えを意識しますかと聞いたところ、一番多かったのが「災害発生の報道を見て」が41%で、「身の回りでの災害発生時」が18.3%、「平時から」14.6%の結果となりました。都道府県別で「平時から」意識していると回答が多かったのは、静岡・和歌山が22.9%、次いで東京が21.9%、新潟・大分が20%という結果となりました。

直近1年以内に、「在宅時」と「外出時」に災害が発生したことを想定した防災対策を行いましたかと聞いたところ、在宅時の防災対策を「行った」が20.3%で「行っていない」が79.7%となり、外出時の防災対策を「行った」が11.4% で「行っていない」が88.6%といずれも半数以上が「行っていない」と回答がありました。なお「行った」と回答が多かった上位の都道府県は以下の通りです。

「自助」「共助」「公助」のうち、あなたが災害時に一番重要だと思うものを聞いたところ「自助(自分の身を自身で守る)」が46.7%、「共助(周りの人と協力し合う)」が39.4%、「公助(国や自治体による公的支援)」が13.9%の結果となりました。年代別にみると60代が「自助(自分の身を自身で守る)」53.8%と回答が多い傾向にありました。

災害への対策

災害が発生した際の防災対策について項目別に聞いたところ、「平時に備える(災害前に事前に備えたり防災に関する知識の習得や対策を行う)」に対しては全体の27.8%が「できている」と回答。「発災時に守る(災害場所において命を守るべき行動や、避難時に活用できる知識を把握できている)」についてもほぼ同率の28.8%が「できている」と回答。一方、「災害後に再建する(災害後、元の生活に再建するために必要な情報を把握できている)」に対して「できている」と回答したのは14.2%と、他の項目に比べて対策が不足していることが分かりました。

※できている・計(「できている」+「ややできている」)

現在、在宅時の災害に対して備えができていると思いますかと聞いたところ「できている」と回答したのは全体の26.6%。都道府県別にみると高い順に和歌山が40%、東京・愛知が39%、次いで熊本が36.2%でした。一方、「できていない」と回答が多かったのは、長崎が68.6%、秋田が65.7%、次いで広島が61.9%という結果になりました。

※できている・計(「十分できている」+「ややできている」)

在宅時の災害の備えについて最も大切だと思うものについては「水や食料の備蓄」が突出して多く44.4%。次いで「家族との連絡手段の確認」が20.8%。以降は「室内での安全確保」12.7%、「防災グッズの用意」9.8%と続く結果となりました。全国的に見てもほぼ同様の結果がみられ、全ての都道府県で「水や食料の備蓄」が最も多く選ばれました。

万が一、在宅時に災害が発生したときの備えについて項目別に聞いたところ「できている」と回答した方の割合が最も多かったのは「懐中電灯やLEDランタンなどの備え」51.7%で、最も少なかったのは「遠隔地避難に関する情報収集」14.9%、次いで「トイレの備え」18.5%でした。年代別で見ると「ラジオの備え」が20代の17.7%に対し60代では49.4%。「ハザードマップの確認」が20代の22.8%に対し60代では42.6%となるなど、「できている」と回答する割合が年代に比例して高くなる傾向がみられました。

※できている・計(「十分できている」+「ややできている」)

災害後について、保険や共済などによる生活(被災した住宅・家財・車などの資産)再建のための備えをしていますかとの質問に対しては全体の46.0%が「できていない」と回答。特に20代は55.4%が「できていない」と回答しました。「できている」と回答した理由(複数回答)で最も多かったのは「災害後の生活が不安だから」49.0%、次いで「国や自治体からの支援では不十分だと思うから」29.9%。一方「できていない/どちらともいえない」と回答した理由(複数回答)で最も多かったのは「お金がかかるから」46.0%と、経済的な負担を理由にする人が半数近くとなりました。また、「特に理由はない」は40.9%という結果になりました。

※できている・計(「十分できている」+「ややできている」) できていない・計(「あまりできていない」+「全くできていない」)

コミュニケーションと防災訓練の現状

近所の方々(同じ避難所エリア)と災害時の対応についてコミュニケーションができていますかと聞いたところ「できている」と回答したのは全体の14.1%で、年代別でみると60代が18.3%と一番高い結果となりました。また、都道府県別でみると「できていない」と回答した方が70%以上だった地域は多い順に、長崎79%、群馬75.2%、広島73.3%、鳥取71.4%となり全体的にコミュニケーション不足の傾向がみられました。

※できている・計(「十分できている」+「ややできている」)  できていない・計(「あまりできていない」+「全くできていない」)

あなたはご自宅の地域やマンション等で実施される防災訓練に参加したことはありますかと聞いたところ、「ほぼ毎回参加する」と回答した方は全体のわずか4.4%で全体の64.5%が「一度も参加したことがない」と回答。特に賃貸マンションに住む方の77.2%が「一度も参加したことがない」と答えるなど、多くの方が防災訓練に参加していない現状が浮き彫りになりました。

災害が発生した時に、周囲の人を手助けする(できる)と思いますかと聞いたところ「率先して行うと思う」が全体の8.3%、「余裕があれば行うと思う」が69.0%、「行えないと思う」が22.6%という結果になりました。一方、災害が発生した時に、周囲の人から助けてもらえると思いますかと聞いたところ「助けてもらえると思う」が全体の3.4%、「余裕があれば助けてもらえると思う」が60.2%、「助けてもらえないと思う」が36.5%でした。災害時の「たすけあい」を実現するためには各自が“余裕”を持つことが重要と言えそうです。

ハザードマップと情報収集

直近1年以内に、あなたはハザードマップを見ましたかと聞いたところ全体の47.0%が「見た」と回答。居住地別でみると、愛知が61.9%と最も高く、次いで岡山60.0%、石川59.0%、福岡58.1%、大分57.1%と、直近で自然災害に見舞われた地域が上位に並びました。一方、「見た」割合が最も低かったのは神奈川の36.2%でした。

「見た」と回答した方にハザードマップをどのような媒体で見ましたかと聞いたところ(複数回答)、全体の57.8%が「自治体からの配布物」と回答。次いで多かったのが「自治体サイト」38.2%と、多くの方が自治体からの情報でハザードマップを把握していたことが分かりました。

また、発災時、ハザードマップに記載のある避難行動ができると思いますかと聞いたところ全体の42.5%が「できると思う」と回答。「直近1年以内に、外出時に災害が発生したことを想定した防災対策をした」方に限れば、64.7%が「できると思う」と回答しており、事前に防災対策を行うことが自信につながる傾向がうかがえます。

※できると思う・計(「できると思う」+「ややできると思う」)

万が一お住まいのエリアで発災した場合、あなたが情報収集に最も使用すると思う媒体はどれですかと聞いたところ、「TVのニュース番組」が多かったのが60代29.4%、50代28.3%、40代25.8%。

一方、20代では「SNS(LINEやX、Facebookなど)」が最も多く26.3%。30代は「TVのニュース番組」と「SNS」がいずれも20.1%と、情報収集の媒体に年代別の違いがあることが分かりました。

避難所での生活について

災害時、あなたはどこへ避難をする予定ですか?と聞いたところ、「地域指定の避難所」の44.8%、「在宅避難(自宅)」の39.7%が大半を占めていました。「在宅避難(自宅)」では、20代が29.4%、30代が38.1%、40代が42.1%、50代が43.4%、60代が45.3%と、年代が上がるにつれの割合が増える結果となりました。また、熊本は18.1%、新潟や茨城は17.1%と、「車中」の割合が17%を超えています。また、「親戚や知人宅」との回答は全体では4.4%で、多かったのは熊本で11.4%、広島で9.5%でした。東京では1.9%と低い結果となりました。

「地域指定の避難所」と「在宅避難(自宅)」のどちらの割合が高いかを都道府県別に比較したところ、「地域指定の避難所」が高い地域が多く見られましたが、首都圏や東北の太平洋側、九州南部では「在宅避難(自宅)」の割合が高くなりました。

あなたは避難(在宅避難含む)生活をイメージできていますかと聞いたところ「できていない」が55.4%と、「できている」の20.1%を大きく上回りました。都道府県別では、東日本大震災や熊本地震など過去の大規模被災地域では「できている」の割合が高く、熊本では40.0%、宮城では38.1%となっています。

※できている・計(「十分できている」+「ややできている」) できていない・計(「あまりできていない」+「全くできていない」)

あなたが避難所での生活において特に重要だと思うこと(3つまで)を聞いたところ、「トイレ」が54.9%、「水や食料の確保」が49.4%、「プライバシーの確保」が39.1%となり、「暑さ寒さ対策」が34.1%、「睡眠」が27.3%と続きました。その上で、避難所での生活において、あなたが一番不安に感じること(ひとつだけ)を聞いたところ、こちらも「トイレ」が24.4%、「プライバシーの確保」が23.3%、「水や食料の確保」が17.0%となり、次いで「防犯」が8.9%となりました。

避難生活(在宅避難含む)において、あなたは十分な支援を受けられると思うか聞いたところ、「十分とはいえないが必要最低限の支援が受けられる」が最も多く70.5%で、「必要最低限の支援も受けることができない」は27.3%となりました。災害時、「ペットと避難所で過ごす」ということについて、あなたの気持ちに近いものを お答えくださいという問いに対しては、「避難所に連れてくることはよいがペットは屋外で過ごしてほしい」が44.5%と一番多く、次いで「避難所に連れてきて一緒に過ごした方がよい」が36.8%となり、ペットを避難所に連れてくることについて多くの人が一定の理解を示していることがわかりました。

生活の再建について

災害後も現在住んでいる場所で生活(被災した住宅・家財・車などの資産)再建をしたいと思うか聞いたところ、全体で43.9%が「そう思う」と回答し、「そう思わない」は19.4%でした。年代別では、20代は38.9%、60代は52.0%が「そう思う」と回答しました。また、都道府県別で「そう思う」と回答が多かったのは、愛知で59.0%、奈良で55.2%、福島・山口で53.3%でした。

※そう思う・計(「そう思う」+「ややそう思う」) そう思わない・計(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)

災害後、国や自治体から生活再建に必要な支援が受けられると思うか聞いたところ、全体では「十分とはいえないが必要最低限の支援が受けられる」が最も多く44.2%でした。特に、熊本は56.2%、愛知は53.3%、宮城と兵庫は51.4%と災害の被害に遭った地域では高くなる傾向がみられました。

保険に関する正しい知識について

地震で火災が発生した場合、火災保険の対象になると思いますかと聞いたところ、全体では「対象になると思う」が53.3%、「対象にならないと思う」が46.7%でした。地震が原因による火災は、火災保険の対象ではなく、地震保険が(での)対象となるため、半数以上が正しい知識を知らないという結果となりました。

また、地震保険について、正しいものはどれだと思いますかという問いでは、「地震保険単体でも加入できる」「持家しか加入することができない」「地震保険や共済に加入すれば被害が100%カバーできる」「どれも正しくない」「わからない」の5つの選択肢から1つを選ぶ方式で、以下のような結果となりました。

一般的に、地震保険は火災保険に付帯する方式の契約となるため単体では加入できません。地震保険は賃貸物件でも加入することができます。また、地震保険や共済に加入するだけでは被害を100%カバーすることはできません。
※地震保険は火災保険の50%まで補償。特約で上乗せすることで100%カバーすることは可能。

よって正しい回答は「どれも正しくない」となり、全体では22.3%でした。一方、「わからない」は41.8%で、地震保険についての理解度が低い傾向がみられました。年代別に見ると、「どれも正しくない」を選んだ割合は、20代が13.5%と一番低く60代が32.6%と一番高い結果となりました。

南海トラフ地震について

あなたは2024年の夏に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことを知っているか聞いたところ、全体では「知っている」が82.1%、「知らない」が17.9%となりました。「知っている」と回答した方に、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表後、家族や職場での防災意識や行動に変化はありましたかと聞いたところ、家族については全体の35.6%、職場については若干下がり、全体の25.7%が「変化があった」と回答がありました。いずれも、世代が若くなるにつれて「変化があった」の割合が増加する傾向がみられます。

※変化があった・計(「変化があった」+「やや変化があった」)

あなたがお住まいの地域の、南海トラフ地震が発生した際の災害予想規模(危険度)を知っていますかと聞いたところ、「知っている」と回答したのは全体の45.2%でした。「知っている」の割合が高かった都道府県は、和歌山・愛媛が64.8%、高知が62.9%、大分が61.0%でした。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表に際して、南海トラフ地震を想定した防災対策を家族や職場で議論したことはありますかと聞いたところ、家族との議論については、全体の21.0%が「発表前から議論していた」、28.4%が「発表前は議論していなかったが、発表後に議論をした」、50.7%が「一度も議論していない」と回答。職場での議論は全体の13.7%が「発表前から議論していた」、18.8%が「発表前は議論していなかったが、発表後に議論をした」、67.4%が「一度も議論していない」と回答しました。こちらも南海トラフに近い地域では議論をしている割合が高く、北海道や東北、関東地方では低い傾向がみられました。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表後、新たな防災対策として行ったことを聞いたところ、多かったのは「水や食料の備蓄(3日分以上)」で26.7%、次いで「懐中電灯やLEDランタンなどの備え」が15.7%、「ハザードマップの確認」が15.5%、「家族との連絡手段の確認」が15.4%となりました。特に「水や食料の備蓄(3日分以上)」は四国地方(34.7%)と近畿地方(33.5%)で回答が多く、中でも四国地方はその他の項目でも他の地域より高い割合を示しています。

調査結果総括

今回、防災意識と備えの現状に関する包括的な調査を実施しました。

調査からは、多くの方が災害、特に地震に対する不安を持っていることが伺えます。特に家族が離れている状況での被災時、自身の安全確保と同じくらいに家族の安否確認が大切という結果がみられました。

しかし、被災時の備えや防災訓練への参加、家族・地域との話し合いなど、事前に具体的な行動をしている方は少ないというのが現状でした。一方で、「南海トラフ地震臨時情報」をはじめ、相次ぐ大規模災害を報道などで知った方の中には、意識の高まり、家族との話し合い、水・食料や停電時の備えなど、防災につながった動きもあり、報道での呼びかけは意識を高め、知識取得や行動につなげるきっかけとなることも伺えます。

今回の調査では、被災後の「再建」についても調査しました。その結果、多くの方が住んでいる場所での再建を望んでいるが、保険や共済には経済的な理由などから加入できていないということも分かりました。

また「地震保険」については、持ち家率の高いシニア層においても、正しい知識を持って保険加入などを行っている方は少ないばかりではなく、多くの方が誤認していることも伺えます。災害保障については、正しい知識とライフステージに沿ったプロのサポートの重要性を感じました。

「共済」とは「みんなでたすけあうことで、誰かの万一に備える」という仕組みです。こくみん共済 coop は、「たすけあい」の考え方や仕組みを通じて「みんなでたすけあい、豊かで安心できる社会づくり」にむけ、皆さまと共に歩み続けます。また「もしも」を予防し、「もしも」から速やかに生活を再建する、そんな取り組みを今後も組合員、生活者、さまざまな団体の皆さまと進めていきます。

こくみん共済 coop の防災・減災活動

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