東京海上アセットマネジメント株式会社は、出光興産株式会社、株式会社商船三井を始めとする企業と連携し、ブルーカーボンを中心とした自然由来系脱炭素の推進および経済価値向上に向けた検討会を開始します。
東京海上アセットマネジメント株式会社のプレスリリース
東京海上アセットマネジメント株式会社(代表取締役社⻑ 横田 靖博、以下「当社」)は、出光興産株式会社(代表取締役社長 木藤 俊一)、株式会社商船三井(代表取締役社長執行役員 橋本 剛)を始めとする企業と連携し、ブルーカーボン(※1)を中心とした自然由来系脱炭素の推進および生物多様性保全に向けた取組みの拡大ならびにブルーカーボンの経済価値向上に向けた検討会を開始します。
当社は昨年より石垣市野底エリアや鎌倉市由比ガ浜における藻場再生の取組みを開始し、脱炭素の推進と生物多様性保全の取組みをベースにした社会課題解決(ソリューションの展開)に取り組んできました。今般ブルーカーボンに主体的に取り組む事業者と連携し、ブルーカーボンマーケットの拡大およびその持続的な発展への貢献を目的とする検討会を開催することとしました。
検討会には、ブルーカーボンクレジット生成に取り組んでいる日建工学株式会社、富士通株式会社、大手鉄鋼会社等多くの事業者に加え、複数の地域金融機関も参加しております。
多様な参加者が知見を共有し協力し合うことで、日本におけるブルーカーボンを始めとする自然由来系脱炭素マーケットの拡大に貢献すると共に、国際的にも競争力ある価値の創出に向けた取組みを目指します。
■背景
近年、気候変動が地球環境および経済・社会活動に及ぼす悪影響は、世界的な問題として関心が高まっています。特に、自然生態系への影響に関する議論が活発化しており、2021年に開催されたCOP26における「グラスゴー気候合意」で、世界全体に及ぶ危機である気候変動と生物多様性の損失は相互関係にあることが改めて確認されました。
そのような状況の中、日本において藻場を育む海藻・海草は、GHG(Greenhouse Gas)吸収による脱炭素を進めるだけでなく、沿岸漁業の対象となる魚種の40パーセント近い種類が藻場・干潟に依存して生存しているなど、生物多様性の観点でもとても重要な存在です。また、海洋国家である日本は世界に先駆けてブルーカーボン創出に向けた取組みが進められており、2024年4月には、環境省が国連に報告する温暖化ガスのインベントリ(排出・吸収量)に海藻・海草由来のブルーカーボンを世界で初めて反映するなど、脱炭素推進の有効な手段として注目が集まっています。
一方、日本におけるブルーカーボンは、沿岸域を中心とした藻場再生によるGHG吸収量は限定的であり、また、近年は温暖化の進展に伴い海水温が上昇していることから、藻場再生コストや再生に向けた難易度が上昇するなどの課題があります。カーボンクレジットに関しても使用用途が限定的であり、また質の高いクレジット取得に向けたモニタリングコストの上昇など、ブルーカーボンマーケットの推進に向けていくつかの障壁が存在しています。そのような社会課題への解決策として、今般関連事業者が連携し、ブルーカーボンマーケットの持続的発展に向けた検討を開始します。
■今回の取り組みの内容
当社を含めブルーカーボンを主体的に展開する事業者が集まり、脱炭素の推進および生物多様性保全の取組みをより持続可能なものへと発展させる仕組みや、ブルーカーボンマーケットの拡大に向けた検討を行います。また、ブルーカーボンに関連する様々なソリューションを持つ企業も参画し、サービスの紹介や事例共有を行うことで、共通して展開できるソリューションやプラットフォームを検討します。
検討テーマとしては、
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カーボンクレジットの取引基盤やクレジット評価などブルーカーボンマーケット拡大に資するサービス
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生物多様性評価などブルーカーボンの付加価値向上に資する仕組み
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地域創生に資するサービス
などを想定しています。その他ブルーカーボンクレジットの創出拡大に向けた意見交換なども実施します。
またこの流れを大きなものとするため、本検討会のプレゼンス向上を目的に参加者や自然由来系での活動領域拡大の可能性も合わせて検討します。
■目指す姿
本検討会を通じて、様々な課題への対応に加えてより持続可能性の高まる仕組みを検討することでブルーカーボンマーケットの拡大に寄与し、また、参加企業における脱炭素推進および生物多様性保全の取組みだけでなく日本のNDC(※2)達成へ貢献することを目指します。さらに、共通化可能な部分を検討することで効率性や競争優位性を高め、結果として参加企業各社の目的が達成できる姿を目指してまいります。
《東京海上アセットマネジメントのサステナビリティ》
当社はこれらの取組みを通じて、金融の力を使い自然由来系の脱炭素と生物多様性保全の推進に貢献することを目指します。また、多くの企業や地域との連携を通じて、日本経済の発展に貢献してまいります 。
※1 「ブルーカーボン」、は2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書においてはじめて定義された。陸域の森林等により吸収されるCO₂由来の炭素「グリーンカーボン」とならんで、近年はブルーカーボンがCO₂吸収源として注目されており、各地でブルーカーボン生態系を保全・回復する取組みが行われています。
※2 Nationally Determined Contributionの略。日本は2021年4月に、2050 年カーボンニュートラルと整合的かつ野心的な目標として、2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに、50%削減というさらに高い目標に向けて挑戦を続けることを表明しています。これを踏まえ、2021年10月、地球温暖化対策推進本部にて「日本のNDC」が決定されました。