株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパンのプレスリリース
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年 NISA顧客満足度調査℠の結果を発表した。
今年1月に制度改正されたNISA(少額投資非課税制度)により、個人投資家の資産運用への関心は高まりを見せている。J.D. パワーではNISA口座における金融機関の提供するサービス品質や利用実態、満足度を聴取する調査を前年より実施している。前年調査(2023年7月発表)では運用できる商品や顧客体験の違いから、「銀行(全国系、ネット)部門」と「証券部門」の2つの部門に分けていたが、サービスレベルの違いをより細分化するため、今年から「全国系銀行部門」、「対面証券部門」、「ネット証券部門」に分けて発表した。
回答者の構成比が大きく変化、NISA口座開設から「1年以下」は前年比3倍に
新NISA制度により、NISA口座数の増加が各種報道で伝えられているが、同様のことが本調査でもわかった。前年調査ではNISA口座の利用期間を1年以下と回答した人は約1割程度であったが、本年調査では前年比3倍の3割超と大きく増加した。
また、NISA口座開設から1年以下の利用者の投資経験年数は、1年以下が前年の51%から19%に大きく低下している。これは新NISAの投資枠の拡大や非課税保有期間の無期限化により、今までNISAに関心の低かった投資経験年数の長い層でもNISA口座を活用し始めていることが背景にあると考えられる。
新NISA制度でも9割超は同じ金融機関で利用
本調査によると、新NISA制度への移行に伴い、旧NISA口座と新NISA口座で資産運用する金融機関を変更した人の割合は1割に満たず、9割超は金融機関を変更していない。
また、金融機関を変更していない人たちが、その金融機関でNISA口座の利用を続けたい意向(「非常にそう思う」、「ややそう思う」の合計)について確認すると9割超と非常に高い割合となったことがわかった。NISA口座において金融機関を変更するには、移行時期の制限や新旧両方の金融機関での手続き等の負担が存在するため利用者にとっては手間となり、心理面でのスイッチングコストが高いことが想定される。これらを踏まえると、金融機関においては顧客が最初に開設するNISA口座として選ばれることが重要であると言える。
NISA口座開設理由、部門間で違いはあるものの「開設が簡単」が共通項
NISA口座開設の理由を部門ごとに見ると、その理由に違いがあることが確認された。トップの理由として、全国系銀行部門では「その金融機関の窓口/担当者の勧め」が、対面証券部門においては「NISA口座の開設が簡単」が、ネット証券部門においては「NISA口座での取引手数料が安い」が挙がっている。
また、「NISA口座の開設が簡単」が、前年に引き続き、全ての部門において上位に挙がっている。NISA口座は、一人1社という制限はあるものの、様々な金融機関で開設・運用をすることができるため、金融機関においては顧客が容易にNISA口座を開設できるような取り組みを行うことは共通して重要な要素であると言える。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント
「今回の調査で、新NISA制度移行後も同じ金融機関での利用を続けたいという意向が9割超と非常に高い割合となったことは、金融機関のNISAに取り組む戦略を考える上で非常に重要である。これはNISAで最初のアカウントであるファーストアカウントを獲得することが今後の継続的な取引関係を決定づける可能性が高く、足許でのNISA口座獲得の取り組みが致命的に重要であることを示唆している。特に、運用期間の長さを考えれば若年層の取り込みが重要であり、クレジットカードのファーストカードのように、NISAのファーストアカウントにおいても若年層のニーズを踏まえた戦略の構築が求められる。NISA口座の開設理由を年代別に見ると「NISAに関するキャンペーン・優遇制度が充実している」、「NISAに関する情報が充実している」、「NISAに関する広告・宣伝がよい」、「NISAに関するインターネットでの評判がよい(ブログ・掲示板・SNS等)」といった理由が、いずれの部門においても若年層ほど高くなっていることが確認される。このため、長期的な取引を見込める若年層を取り込むためには、容易に口座開設ができるスキーム構築に加え、NISAに関するキャンペーンなどの情報発信、またWebを始めとしたマーケティング施策の高度化が有効であると言える。」
J.D. パワー 2024年NISA顧客満足度調査No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
【全国系銀行部門】(対象4行)
第1位:三井住友銀行(638ポイント)
「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」、「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」*¹ の6ファクターで最高評価。
第2位:みずほ銀行(636ポイント)
「NISA口座での取引手数料」、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」*1の2ファクターで最高評価。
第3位:ゆうちょ銀行(630ポイント)
*¹ 三井住友銀行とみずほ銀行の「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」ファクターのスコアは同点。
【対面証券部門】(対象5社)
第1位:みずほ証券(639ポイント)
「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」の3ファクターで最高評価。
第2位:SMBC日興証券(637ポイント)
「NISA口座での取引手数料」、「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」の4ファクターで最高評価。
第3位:野村證券(618ポイント)
【ネット証券部門】(対象5社)
第1位:楽天証券、SBI証券(同点、689ポイント)
楽天証券は「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」の3ファクターで最高評価。
SBI証券は2年連続の総合満足度第1位。「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」の3ファクターで最高評価。
第3位:松井証券(688ポイント)
「NISA口座での取引手数料」のファクターで最高評価。
《J.D. パワー 2024年NISA顧客満足度調査℠概要》
年に1回、民間の銀行・証券会社*² で、NISA口座での資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳)
を対象に、NISA口座における金融機関の提供するサービス品質や利用実態、満足度を明らかにする調査。
今回で2回目の実施となる。
前年は「銀行(全国系、ネット)部門」と「証券部門」の2部門であったが、サービスレベルの違いをより細分化
するために「全国系銀行部門」、「対面証券部門」、「ネット証券部門」と分けて発表した。
*² 一番最近NISA口座を開設した金融機関
■実施期間:2024年4月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:銀行、証券会社で、NISA口座での資産運用を行っている人(20歳~79歳)
■調査回答者数:5,443人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「NISA口座での取引手数料」(25%)、「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」(19%)、「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」(18%)、「NISA口座での運用
のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」(17%)、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレ
ット、Webでの情報提供など)」(16%)、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」(3%)、
「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」(3%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。