社会変革推進財団、機会格差、地域活性化で社会課題の根本的・構造的解決を目指すシステムチェンジ投資の実践システムチェンジコレクティブ事業において、2社決定合計約1億2,000万円出資

一般財団法人社会変革推進財団のプレスリリース

2017年より日本国内のインパクト投資市場の拡大に努めてきた一般財団法人社会変革推進財団(理事長:大野修一、所在地:東京都港区、以下「SIIF」)は、インパクト投資の価値をより深め、社会と環境の課題を根本的・構造的な解決に貢献する投資のあり方として、欧米諸国で注目され始めている「システムチェンジ投資」を実践するシステムチェンジコレクティブ事業(以下、「本事業」)において、機会格差の分野では、児童虐待対応システムの開発と提供を行う株式会社AiCAN(代表取締役:髙岡 昂太、所在地:神奈川県川崎市、以下「AiCAN」)、地域活性化の分野では、岡山県西粟倉村の地域活性化に取り組む株式会社エーゼログループ(代表取締役CEO:牧大介、所在地:岡山県英田郡、以下「エーゼロ」)の合計2社を協働パートナーとして決定いたしました。

本事業では、機会格差、地域活性化における課題構造分析を行い、解決を目指す課題をそれぞれ「世代をまたいだ経済格差の拡大と固定化」、「地域の経済衰退とコミュニティ消失」と位置付け、2023年10月に公募を開始。約90社の応募に対して、書類選考及びオンラインによるプレゼン、現地視察も含めた面談を複数回経て、今回の決定を行いました。

本事業において、SIIFは、社会・環境課題の構造的な解決(システムチェンジ)を志向する投資家として、インパクト投資で確立しつつあるインパクト測定・マネジメントの実施に加え、課題の構造分析の深化と、課題解決のための変革仮説(Theory of Change:ToC)の改訂を進めています。今後は、今回決定した協働パートナー2社とともに課題の根治に必要なアクションを検討・実施するとともに、さらなる投資活動を通じて協働パートナーのネットワーク構築を進め、システムレベルの変化に向けた取り組みの実現を目指します。

また、すでにシステムチェンジ投資の概念整理、海外事例の調査研究を公開したシステムチェンジ・ライブラリを運営するSIIFのインパクト・エコノミー・ラボとも連携し、知見化を行い、システムチェンジ投資の普及・促進に努めてまいります。

世界のシステムチェンジの事例・実践知のコレクション システムチェンジ・ライブラリ

システムチェンジコレクティブ事業 システムチェンジを目指すSIIFの実践

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<機会格差>

「親から子に経済格差が引き継がれ、世代を追うごとに格差が拡大していく」という社会課題の根は深く、その解決には起業家だけでなく投資家や専門家、大企業や公的機関などさまざまなプレーヤーが立場を超えて取り組む必要があると考えています。「格差の相続」の根本的な解決に繋がる10の項目を設定し、この領域でシステムレベルのイノベーションを目指します。

株式会社AiCAN  https://www.aican-inc.com/

事業内容:

「すべての子どもたちが安全な世界に変える」というビジョンを実現するため、虐待対応の最前線に立つ児童相談所や子育て支援課の職員を支援しています。主力の「AiCANサービス」は、SaaSの業務支援アプリとデータ分析に基づく提案、エビデンスを参照した専門研修、DX伴走支援をワンストップで提供します。

株式会社AiCAN CEO 髙岡 昂太氏からのコメント:

この度は本事業に採択いただき、心より御礼申し上げます。国として誰一人取り残さないという目標を達成するためには、ウェルビーイングの土台を育てる幼少期において、安全な環境と安心できる生活の両方が重要です。やっと子どもの領域に政治の目が向いてきた今、ICTやデータの利活用においても、今あるものを活用するだけではなく、各地域の課題に応じて目的を設定し、そこから逆算した適切な手段を導きだし、実践に伴走することが重要と考えています。弊社は技術と児童福祉の専門性を融合し、生まれ持った機会格差をなくす未来の虐待対応のスタンダードを築き上げます。SIIFの皆様にご支援いただくことで、多くのステークホルダーが関与し、児童虐待の課題解決に向かうソーシャルインパクトを達成してまいります。

 

出資金額:

59,999,476円

株式会社AiCAN決定の理由 SIIF事業部長 加藤有也:

児童虐待は、子ども自身には選択できない家庭や社会的な環境から発生するため、その解決には構造的なアプローチが必要です。AiCANは、虐待発生の検知と対策を担う児童相談所や関連機関が抱える業務負担に着目しました。現場臨床を通じた課題構造の深い理解と学術研究に基づく技術開発を起点に、規模化できるビジネスにより日本中の自治体を支援していきます。

SIIFは、AiCANとの協働を通じ、児童虐待という深刻な課題領域で子どもたちに安全な世界をもたらす深く広いインパクトを創出することに加え、ビジネス・学術・行政の有期的な連携が「次世代への格差の相続」の解消をもたらすモデルを提示できる可能性を模索してまいります。

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<地域活性化>

人口減少社会において、「地域の経済衰退とコミュニティの消失」は、避けられない深刻な問題です。この問題を解決するためには、地域事業者、行政、金融機関、支援者、地域団体、住民など、地域において中心的な役割を果たす多くの関係者が協力し、一致団結して課題に取り組むことが必要不可欠です。

グローバルで取組が進む「Place-based Impact Investing(地域に根差したインパクト投資)」の知見を取り入れ、地域の中核となるプレーヤーの皆様と共に、地域のステークホルダーの皆様と協働し、地域エコシステム全体に波及効果を生み出す取り組みを目指します。

株式会社エーゼログループ                            https://a-zero.group/about/company/

事業内容:

自然資本領域、社会関係資本領域、経済資本領域の3つの事業領域を設定し、これらの事業領域間の有機的な連関と循環を醸成し「未来の里山」の実現を目指しています。現在の拠点は岡山県西粟倉村、北海道厚真町、滋賀県高島市、鹿児島県錦江町の4つです。

株式会社エーゼログループ 代表取締役CEO 牧 大介氏からのコメント:

エーゼログループは「未来の里山」の実現に向けて、100年後につながるチャレンジを100年間継続していくことを目指しています。そのための資本調達は進めて行きたいが、短期的な急成長によるIPOを目指すという前提はおきたくないと考えていたなかで、SIIFによるシステムチェンジを志向する投資の対象として選んでいただけたことはとてもありがたいです。

投資決定にいたるまでの間、SIIFのみなさまとたくさんの対話の機会をいただき、この人たちと一緒によりよい未来を創っていきたいと思うようになりました。ご出資いただいた資金によって、「未来の里山」の具現化につながる拠点整備を進め「人と自然が互いに育み合うことができるシステム」を生成していくことを目指していきます。

出資金額:

57,678,381円

株式会社エーゼログループ決定の理由 SIIF事業部長 加藤有也:

人口減少が起点となって引き起こされる地域課題は複雑かつ深刻です。その解決は単独では難しく、コレクティブな取組が様々な地域で進んでいます。

そうしたチャレンジのなかでもエーゼログループは、将来世代につなぐ未来への大きなビジョンを掲げて多種多様な事業を生み出すことと同時に、挑戦を進めるからこそ生まれる新たな課題の解決にも一つ一つ取り組んでいます。

SIIFは、自社事業を超えた地域全体の課題と向き合うエーゼログループの皆さんとの協働を通じ、地域ビジョンの実現に向けてシステムチェンジ志向の投資家が担いうる役割のあり方を探索するとともに、地域課題の解決に取り組む方々が参照できる先駆的な事例の創出に貢献したいと考え、本公募の採択事業として決定させて頂きました。

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システムチェンジコレクティブ事業では、機会格差・地域活性化の領域で、引き続き協働パートナーを探索しています。システムチェンジ志向の投資を含む弊団体との連携・協業にご関心のある方は是非ご一報をお願いいたします。

【お問合せ先】

一般財団法人社会変革推進財団

システムチェンジコレクティブ事業チーム

メールアドレス:sc-collective@siif.or.jp

社会変革推進財団(SIIF)

 2013年より日本財団内においてインパクト投資に関する調査研究に着手し、日本財団から助成金を受けて、2017年社会的投資推進財団として設立されました。その後、2019年社会変革推進機構と合併し、社会変革推進財団となりました。GSG国内諮問委員会の設立や賛同メンバーの招集や、インパクト投資における提言書や現状を記した報告書の発行、金融庁との共催で金融機関等との勉強会の開催などインパクト投資の推進のための活動をしています。様々な社会課題が山積する日本において、自助・公助・共助の枠組みを超え、社会的・経済的な資源が循環する社会の実現を目指し活動をしています。

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