より安全で効果的なmRNA医薬品の創製を目指して
三菱UFJキャピタル株式会社のプレスリリース
三菱UFJキャピタル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 小島 拓朗)は、同社が運営するMUFGメディカルファンド(正式名称:三菱UFJライフサイエンス3号投資事業有限責任組合)より、細胞標的mRNA治療技術(RNAスイッチ技術)を提供する株式会社aceRNA Technologiesに対し、2024年5月1日に追加出資したことをお知らせいたします。
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RNAスイッチ技術について
遺伝子治療では、標的としない細胞への影響による安全性への懸念を排除するため、投与量や回数が制限されるなど、その作用機序から想定される治療効果を十分に発揮できないケースが想定されます。
上記の課題に対して、aceRNA Technologiesが開発したのが「RNAスイッチ」です。
RNAスイッチは、RNAデザイン技術を活用した合成メッセンジャーRNAであり、
(1)標的細胞における特異的マイクロRNA(miRNA)活性を同定し、
(2)特異的miRNAの活性状況に応じた導入遺伝子の発現を制御することができます。
miRNAは、ヒトで約2,600種類が見つかっており、その活性状況が細胞の種類および状態により異なることが知られています。これら、RNAスイッチ技術の特徴と、miRNAの特徴を組み合わせることにより、遺伝子治療や細胞治療において必要な導入遺伝子の、細胞の種類・状態に特異的なON/OFFを実現することができます。
RNAスイッチは、miRNAが持つメッセンジャーRNA(mRNA)を阻害・切断する機能を活用しています。
aceRNA Technologies社は「OFFタイプ」と「ONタイプ」の2つのRNAスイッチを開発しており、OFFスイッチでは細胞内にある約2,600種類のうち任意のmiRNAがRNAスイッチに結合した場合にOFFになり、逆に、ONスイッチでは任意のmiRNAが結合するとONになるように人工的に設計することができます。
解説図:aceRNA Technologies社 HPより
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出資背景
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴うワクチン開発の成功により、mRNA医薬品は一気に実用化のフェーズを迎えました。しかしながら、現在の技術ではmRNA医薬品の作用部位を厳密にコントロールする技術が未発達であるため、副作用等の懸念があり、治療目的としての実用化には至っていません。
aceRNA Technologiesの保有する技術は臓器ごとにmRNAの作用のON/OFFをコントロールすることで、上記のような懸念を払拭できる非常に価値の高い技術と評価しております。
今回の資金調達により同社技術が実用化に向けて大きな一歩を歩みだせるようになることを期待し、今回の追加出資の決定となりました。今後も引き続き同社の飛躍に向けて、研究開発および事業開発を中心に伴走してまいります。
【aceRNA Technologies 概要】
会社名:株式会社aceRNA Technologies
所在地:京都府京都市左京区吉田下阿達町46-29 イノベーションハブ京都
代表者:須川 史啓
設 立:2018年4月
事業内容 :RNAスイッチ技術を用いた医薬品創製
U R L :https://acernatec.com/ja/
【三菱UFJキャピタル株式会社について】
三菱UFJキャピタルは、1974年に設立以来、三菱UFJフィナンシャル・グループのベンチャーキャピタルとして業界をリードするノウハウを提供し、幅広い業種に対する投資を行っています。IPOを実現されたお客さまは、幅広い業種にわたり約900社と、業界トップクラスの実績を有しています。
ライフサイエンス分野においては、2017年2月の1号ファンド以降、「三菱UFJライフサイエンス4号ファンド」(200億円)を含め計500億円と継続的にファンドを設立しています。ライフサイエンスに特化した民間ファンドの運営としては国内最大規模であり、創薬、再生医療、医療機器(デジタルヘルスを含む)などのベンチャー企業を対象に最長約12年間の期間で投資を行っています。バイオベンチャー投資にとどまらず、アカデミア創薬、製薬会社のカーブアウト案件、製薬会社の開発プロジェクトへの投資、医療機器関連にも注力しています。
◆会社概要
会社名:三菱UFJキャピタル株式会社
所在地:東京都中央区日本橋2丁目3番4号 日本橋プラザビル7F
代表者:代表取締役社長 小島 拓朗
設 立:1974年8月1日
事業内容:ベンチャーキャピタル事業
U R L :https://www.mucap.co.jp/
◆MUFGメディカルファンド(正式名称:三菱UFJライフサイエンス3号投資事業有限責任組合)について
投資対象:
-医薬品(創薬型・創薬基盤技術特化型) ※ 製薬会社起点や国内アカデミア創薬への投資活動に注力
-再生医療製品
-医療機器等
-診断薬・診断機器
無限責任組合員:三菱UFJキャピタル株式会社
出資者:株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJキャピタル株式会社
設 立:2020年6月22日
ファンド総額:100億円