– 大規模言語モデル(LLMs)を用いたTCFD推奨開示項目の分類について全体の正解率が92.8%の有効性を実証 –
シェルパ・アンド・カンパニー株式会社のプレスリリース
本研究の詳細は、以下JPXのウェブサイトでご覧いただけます。
https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/
(全文)https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/JPXWP_Vol43.pdf
(要約版)https://www.jpx.co.jp/corporate/research-study/working-paper/Summary_JPXWP_Vol43.pdf
■本研究の背景
気候変動への対応をはじめとするサステナビリティに関する課題は、中長期的な企業価値の向上を目指す中で、重要な経営課題であるとの意識が高まっています。この動向を受けて、TCFD(※)は、気候変動に関する11の推奨開示項目を設定し、実際の開示に対する規範としての活用を求めています。開示情報は多様な形式で記載されるため、推奨開示項目の充足状況の調査には膨大な資料の分析が必要となり、多大なコストを要します。このコストは、開示情報の充足状況の判定を機械的に行う手法により削減できることが期待されていました。
(※)気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
■研究概要
証券市場の中核的インフラを担うJPXと、ESG情報の取り扱いと自然言語処理に強みを持つシェルパの二社が協力し、2023年10月から2024年3月の期間、大規模言語モデル(Large Language Models、以下LLMs)を用いたサステナビリティ情報収集と処理の効率化に関する本研究を実施しました。
本研究では、LLMsを用いて、東京証券取引所上場会社の有価証券報告書におけるTCFD推奨開示項目のゼロショットテキスト分類(学習データを必要とせずにテキストを分類する、自然言語処理のタスク)に取り組みました。具体的には、LLMsに入力するプロンプトに、2023年3月期の有価証券報告書より記載欄が新設された「サステナビリティに関する考え方及び取組」のテキストと、事前に用意した合計27種類の「TCFD推奨開示項目クライテリア」の内容を入力することで、そのテキストが各クライテリアに該当するかどうかを判定しました。
図:本研究における提案手法の評価実験の概要
■研究結果
上述のとおり、本研究ではLLMsを用いたゼロショットテキスト分類によるTCFD推奨開示項目の分類手法を提示いたしましたが、この手法の分類精度を検証した結果、全体の正解率が92.8%と、非常に高い分類精度が認められました。なお、本研究を通して作成した「TCFD推奨開示項目クライテリア」をGitHub上で公開しています。
https://github.com/cierpa/tcfd_criteria
シェルパは、今後もサステナビリティ・ESG情報のさらなる活用と社会実装に向けて、様々なステークホルダーとの連携や共同研究を進めてまいります。
■シェルパ・アンド・カンパニー株式会社について
シェルパは、「サステナビリティとテクノロジーをすべての経済活動の“あたりまえ”に」をパーパスに掲げ、提供サービスを通じて企業におけるサステナビリティ・ESG経営のベストプラクティス確立を目指しています。企業がビジネスモデルや戦略にサステナビリティを深く組み込むためにテクノロジーの力を駆使し、経済価値創造とサステナビリティの両立を支援します。シェルパは、企業の非財務情報を“見える化”し、日本企業のESG経営を加速させることに貢献してまいります。
■会社概要
会社名:シェルパ・アンド・カンパニー株式会社
代表:代表取締役CEO 杉本 淳
所在地:東京都品川区南大井6-4-22 東京ネオンビル2階
設立:2019年9月
資本金:47,500万円(資本準備金含む)
事業:ESG情報開示支援クラウド「SmartESG」の開発・提供、ESG・サステナビリティ特化メディア「ESG Journal Japan」の運営、専門家によるコンサルティングサービス「ESG Advisory」の提供
コーポレートサイト:https://cierpa.co.jp/