「電動キックボードに関する意識調査」を実施

~約8割が危険を体感 正しいルールの理解とリスクへの備えを~

損害保険ジャパン株式会社のプレスリリース

 損害保険ジャパン株式会社(代表取締役社長:白川 儀一、以下「損保ジャパン」)は、電動キックボード利用の広がりを受け、「電動キックボードに関する意識調査※」を行いました。結果を公表するとともに、電動キックボードに関する保険の情報についてご案内します。

※本調査における「電動キックボード」とは、定格出力が0.6キロワット以下、かつ、最高速度20km/h 以下などの基準を満たす「特定小型原動機付自転車」に分類されるもので、シェアリングサービスや個人所有で利用可能なものを指します。

1.調査実施の背景
 近年、電動キックボードはシェアリングサービスの拡大などにより、移動手段やレジャーの一つとして普及しつつあります。国も法整備を進めており、2023年7月の改正道路交通法の一部施行によって、電動キックボードに対応する車両区分「特定小型原動機付自転車」が新設されました。また、2024年4月には、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」)において「特定小型原動機付自転車」の保険料区分の新設を予定するなど、急ピッチで対応が進められています。一方、不適切な運転による事故もたびたび発生しており、注目を集めています。様々な社会的な変化が起こる中、多くの方に安全に電動キックボードを利用していただくため、「電動キックボードに関する意識調査」を実施しました。

2.調査結果のポイント

(1)電動キックボードの利用者を見て「危険だと感じたことがある」と回答した方は78.8%にも上り、安全運転の心がけとリスクへの備えが重要であることがうかがえます。(参照:Q8)

(2)電動キックボードを「使用したことがある」と回答した方は約18%にとどまり、普及に向けては様々な課題があることがうかがえる結果となりました。(参照:Q2)

(3)電動キックボードについて不安なことや使用しない理由としては、「運転ルール・交通規則がわからない」(44.8%)、「自分が転倒しそうで怖い」(42.4%)、「他人(自動車や歩行者等)との接触が怖い」(40.5%)という回答が多く、交通ルールや事故のリスクに不安を抱えている方が多数いることがわかりました。(参照:Q7)

3.調査概要
(1)調査期間:2023年10月31日~11月3日
(2)調査方法:インターネット調査(無記名)
(3)調査対象地域:人口上位10都道府県(東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、千葉県、兵庫県、北海道、福岡県、静岡県)※2022年10月1日時点、総務省統計局の資料による。
(4)調査対象者:上記地域に在住し、事前のアンケートで「電動キックボードを知っている」と回答した16歳以上の男女の1,076人 (内訳)男性:534人 女性:542人
※事前のアンケートでは、4,236人中3,459人(81.7%)が「電動キックボードを知っている」と回答。そのうち1,076人が本調査に回答。

4.調査結果
設問および分析結果は以下のとおりです。(n=回答者数)

Q1.市街地等で電動キックボードを見たことがありますか。(第三者の利用中や、自己所有、置いてあったものなどを含む) (単一回答、n=1,076)

・7割以上の方が「見たことがある」と回答し、電動キックボードが徐々に世の中に浸透しつつあることがわかりました。

Q2.電動キックボードを使用したことがありますか。(シェアリングでの利用も含む)(単一回答、n=1,076)

・Q1では「見たことがある」の回答が7割以上であったのに対し、Q2で「使用したことがある」と回答した方は2割未満にとどまりました。

・半数以上の方は「使用したことはなく、関心もない」と回答しており、電動キックボードのさらなる普及へ向けては様々な課題があることが推測されます。

Q3.電動キックボードを所有している、または所有したことがありますか。(単一回答、n=1,076)

・電動キックボードを「所有している、または、所有したことがある」と回答した方は17.8%にとどまりました。

・Q2で「使用したことがある」「使用したことはないが、関心がある」と答えた方は合わせて5割近くいましたが、所有している方はまだ少数であることがわかりました。

Q4.電動キックボードを使用する際の目的は何ですか。(使用したことがない方は、使用することになった場合の目的をお答えください)(Q2で電動キックボードを「使用したことがある」「使用したことはないが、関心がある」と回答した方に質問。複数回答、n=524)

・「買い物」(50.6%)が最も多く、「レジャー」(44.7%)が続きました。

・「電動キックボード自体を試してみるため」は33.4%と3番目に多く、乗用車におけるドライブのように、電動キックボードでも運転自体を楽しむことを目的とする方が一定程度いることがわかりました。

Q5.1回に平均してどれくらいの時間使いますか。(Q2で電動キックボードを「使用したことがある」と回答した方に質問。単一回答、n=197)

・「10分以上~20分未満」(25.4%)が最も多く、「20分以上~30分未満」(24.9%)、「30分以上~1時間未満」(15.2%)と続きました。

・1時間以上利用する方は約15%にとどまり、長時間利用する方はあまり多くないことがわかりました。

Q6.自転車や徒歩などほかの手段ではなく、電動キックボードを使用する理由は何ですか。
(Q2で電動キックボードを「使用したことがある」と回答した方に質問。複数回答、n=197)

・半数以上の方が「手軽に使えるから」を選択しており、電動キックボードの利便性が高く評価されていることがわかりました。

・「移動時間を短縮できるから」を選択した方は15.2%にとどまり、時間を節約するために使用する方は少数であることがうかがえます。

Q7.電動キックボードの運転にあたって、不安なことおよび使用しない理由は何ですか。(Q2で電動キ
ックボードを「使用したことがある」「使用したことはないが、関心がある」と回答した方に質問。複数回答、n=524)

・「運転ルール・交通規則がわからない」を選択した方が44.8%と最多で、多くの方が電動キックボードに乗る際の交通ルールに不安を抱えていることがわかりました。

・「自分が転倒しそうで怖い」(42.4%)、「他人(自動車や歩行者等)との接触が怖い」(40.5%)を選択した方も多く、事故のリスクを懸念する方が多数いることがわかりました。

Q8.電動キックボードを利用している人を見て、危険だと感じたことはありますか。(Q1で電動キックボードを「見たことがある」と回答した方に質問。単一回答、n=796)

・約8割の方が「危険だと感じたことがある」と回答していることから、電動キックボードの使用にあたっては一層安全運転を心がける必要があり、リスクへの備えが重要であることがうかがえます。

Q9.どのような場面で危険だと感じましたか。 (Q8で「危険だと感じたことがある」と回答した方に質問。任意回答、自由記述、n=517)
【回答一部抜粋】

▽歩行者と接触しそうな距離でのすれ違いや、乗り物に乗っているという自覚がないように感じられる場面があった。
▽慣れていないのか、フラつきながら走っていた。
▽2人乗り、逆走、スピードを出しすぎ。
▽繁華街の複雑な交差点で、車両(バス、タクシー、乗用車等)と共にキックボードで二人が並んで信号待ちをしているのを見かけたとき。自分自身はバス乗車中であったが、ドライバー側、キックボード側、双方にとって危険だと感じた。
▽走っていてトンビが突撃してきて怖かった。
▽速い速度で歩道を走行し、子どもと接触しそうになっていた。
▽車を運転しているとき。突然車道に出てきたり、自分が優先で歩道を走ったりしていた。
▽スピードが思っていた以上に速いのを見たとき。
▽大きな交差点で車の合間を縫って前に出ているのを見た際、スピードが遅いせいかふらついていて、車に接触しそうで見ていて怖かった。走行中も不意に車道側に寄っていくなど、運転者のマナーや安全意識が低そうに感じた。また、(自分が運転中に)車から見た際に見た目が歩行者と変わらなさそうなので、認識と動き始めた時の速度にズレが生じないか不安。
▽便利そうだが、あのスピードでノーヘル(ヘルメット非着用)は怖い。

Q10.電動キックボードの運転に免許証が不要になったことをご存知ですか。
(単一回答、n=1,076)

・7割以上の方が「知っている」と回答し、道路交通法の改正により免許証が不要になったことは概ね認知されていることがわかりました。

Q11. 16歳未満は電動キックボードを運転できないことをご存知ですか。(単一回答、n=1,076)

・半数以上の方が「知らない」と回答し、16歳未満は運転できないことについて、より丁寧な啓発が必要であることがうかがえる結果となりました。

・年代別では、「知っている」と回答した割合が最も高いのは20歳~29歳(61.8%)で、最も低いのは40歳~49歳(33.2%)でした。

Q12.電動キックボードは、原則、歩道を運転できないことをご存知ですか。(Q2で電動キックボードを「使用したことはないが、関心がある」「使用したことはなく、関心もない」と回答した方に質問。単一回答、n=879)

・電動キックボードを使用したことがない方のうち、4割以上の方が歩道を運転できないことを「知らない」と回答していることから、今後運転する機会がある場合には、ルールを再確認することが重要です。

Q13.電動キックボード運転時に、ヘルメット着用が努力義務であることをご存知ですか。(単一回答、n=1,076)

・6割以上の方が「知っている」と回答したものの、ヘルメットは不要と認識している方も一定数いることがわかりました。

Q14. 電動キックボード運転時に、ヘルメットを着用していますか。(Q2で電動キックボードを「使用したことがある」と回答した方に質問。単一回答、n=197)

・電動キックボードを使用したことがある方のうち、8割以上がヘルメットを「着用している(していた)」と回答しており、安全への意識の高さがうかがえます。

・ヘルメット着用は努力義務ではあるものの、命を守るためには着用を心がけることが大切です。

Q15.電動キックボードは、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)への加入が義務づけられていることをご存知ですか。(Q2で電動キックボードを「使用したことはないが、関心がある」「使用したことはなく、関心もない」と回答した方に質問。単一回答、n=879)

・電動キックボードを使用したことがない方のうち、自賠責保険への加入が義務づけられていることを知っている方は約2割にとどまりました。

・電動キックボードを所有する予定がある方は、自賠責保険に忘れずに加入することが必要です。

Q16. 電動キックボードのための任意保険に加入していますか。(Q3で電動キックボードを「所有している、または、所有したことがある」と回答した方に質問。単一回答、n=191)

・電動キックボードを所有した方のうち、8割以上が任意保険に加入していることがわかりました。

・自賠責保険だけではカバーしきれないリスクがあることを認識し、任意保険の加入を検討することが大切です。

5.電動キックボード(特定小型原動機付自転車)に関する保険
(1)自賠責保険
2023年7月に「特定小型原動機付自転車」(いわゆる電動キックボード等)の交通方法等に関する新たな規定(改正道路交通法)が施行されました。自賠責保険においては法施行後も「原動機付自転車」としてお引受けしています。また、2024年4月以降は、「特定小型原動機付自転車」のための新しい保険料が適用される予定です。なお、「特定小型原動機付自転車」については国土交通省ホームページ( https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000058.html )をご確認ください。

(2)自動車保険(損保ジャパンの場合)
<電動キックボードの搭乗中に生じた事故>
損保ジャパンでは、電動キックボードを契約自動車として自動車保険(任意保険)に加入することで、車両保険、対人・対物賠償責任保険や人身傷害保険での対応が可能になります。定格出力1.0キロワット以下の電動キックボードは「原動機付自転車」としてのお引受けとなるため、電動キックボードの所有者が他に自動車を所有している場合などは、ファミリーバイク特約を付帯することで対応も可能になります。
<電動キックボードによる被害事故>
歩行中に電動キックボードと接触した事故は、自動車保険の人身傷害交通乗用具事故特約または移動の保険「UGOKU」への加入により、けがの治療費などをお支払いします。

6.電動キックボード(特定小型原動機付自転車)を運転する際の主な交通ルール
(1)車道通行の原則
特定小型原動機付自転車は、原則として車道を通行し、信号を守らなければなりません(※自転車道通行可)。また、道路では原則として左側端に寄って通行しなければならず、右側を通行してはいけません。

(2)信号機の信号に従う義務
 特定小型原動機付自転車は、道路を通行する際は信号機の信号等に従わなければなりません。
 特に、次の場合には、歩行者用信号機に従わなければなりません。
 ・歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示がある場合
 ・特例特定小型原動機付自転車が横断歩道を進行して道路を横断する場合

(3)右左折の方法
左折時は、後方の安全確認とウィンカーでの合図を行い、できるだけ道路の左端に沿って十分に速度を落とし、横断中の歩行者の通行を妨げないように注意して曲がらなければなりません。右折時は、いわゆる「二段階右折」をしなければなりません。赤信号や黄信号であっても自動車や一般原動機付自転車は青の矢印の信号によって右折できる場合がありますが、この場合でも特定小型原動機付自転車や自転車は進むことはできません。

(4)その他
・16歳未満の運転禁止
・飲酒運転禁止
・スマートフォン等での通話や画面を注視しながらの運転禁止

7.専門家のコメント
SOMPOインスティチュート・プラス株式会社 シティ・モビリティグループ
新添 麻衣 主任研究員

電動キックボードは、主にシェアリングサービスを通じて、2017年頃から欧米で急速に普及してきました。各地で交通ルールに関する議論を巻き起こしながらも、ラストマイルの新しい移動手段として一定の支持を得ています。爽快な乗り心地のほか、自転車と違って漕がずに乗れるため、服装を問わない、疲れないといった点も支持されています。
日本でも規制緩和が段階的に進められ、2023年7月の法施行となりました。アンケートの結果からは、規制が緩和された部分(運転免許が不要)の認知度が高い一方、利用者の年齢制限や歩道での乗用禁止といった規制が残る項目への認知度は低いことがわかりました。
運転免許不要ということは、交通規則をきちんと学習したことのないユーザーが、公道に進出してくるということです。また、インバウンドの回復により、日本の交通ルールに馴染みのない外国人観光客の利用も増えています。シェアリングの場合は、アプリの利用開始時に交通ルールの説明画面を設けていますが、その実効性には限界があり、自動車や歩行者との共存の面で安全性には課題が残っています。関連の事業者や行政からの情報発信や啓発活動の継続が必要です。
先んじてブームが起こった欧米の都市部に比べて、日本では自転車道の整備が進んでいません。現状では、車道での自動車との接触リスクがつきもので、自動車のドライバーから見ても怖い存在であることがアンケート結果からもわかります。時間帯や交通量に応じて、シェアリングのアプリに電動キックボードでの通行の非推奨ルートを提示するような対策も一案でしょう。
電動キックボードの多くは、小さなタイヤが2つあるのみで、構造的に転倒しやすいのも事実です。加入義務のある自賠責保険には、お相手への対人賠償の補償しかありません。対物賠償やご自身のけがに備えるためには、任意保険への加入を検討していただくことも重要です。

8.今後について
「電動キックボードに関する意識調査」では、利便性が高く評価されている一方で、危険性に不安を抱えている方も多いことがわかりました。損保ジャパンは、お客さまが様々なリスクに備えられるような保険商品を開発するとともに、適時適切なサービスの提供、安心・安全な社会を作るための情報発信に努めてまいります。

以上

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