OASIS Management Company Ltd.のプレスリリース
* 議決権行使助言会社であるISSやグラス・ルイスもアオキにおける独立した監督機能の弱さを指摘し、オアシスが提案する独立した社外取締役候補への賛成投票を推奨
*監督機能を強化し、ステークホルダーの利益をガバナンスの失敗から守るために、オアシスはアオキの株主に対して青木宏憲氏と青木孝憲氏、および新任候補である藤井大温氏に対する反対投票を、オアシスが提案する社外取締役候補と一連のコーポレートガバナンス改革に賛成票を投じるよう要請
詳細はwww.KusuriNoAokiCorpGov.comでご確認ください。
2023年8月10日、香港 – オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下「オアシス」)は、ドラッグストア事業を展開する株式会社クスリのアオキホールディングス(3549 JT)(以下「アオキ」または「クスリのアオキ」または「同社」)の株式を 約5.5%保有するファンドの運用会社です。
青木宏憲氏と青木孝憲氏による影響の元で、クスリのアオキは長きに亘りコーポレートガバナンス上の失敗を経験し、少数株主の利益は蔑ろにされ、競合と比較して株価や業績は劣後して参りました。クスリのアオキはその戦略の方向性について株主に明瞭に説明することに失敗し、取締役は株主との対話から逃げてきました。
最も強く懸念されることに、このコーポレートガバナンスの機能不全は青木宏憲氏と青木孝憲氏が主導したアオキと自身らとの取引で見られます。青木宏憲氏と青木孝憲氏の元でアオキはストック・オプションの発行に先立ってその実施が要求されていない不可解な業績の下方修正を行いました。この業績の下方修正によって青木宏憲氏と青木孝憲氏は多くの経済的な恩恵を受けた一方、株主は多大な損害を被りました。またアオキによる公開情報によると、青木宏憲氏と青木孝憲氏のみが引き受けた当該ストック・オプションにおいて、両氏は70億円以上のディスカウントを受けてこれを引き受けています。このディスカウントの基本的な考え方は次の通りです。
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有価証券報告書で開示されているストック・オプションの公正な評価単価:一株当たり2,073円
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実際に払い込まれたオプション料:一株当たり15円
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結論:青木宏憲氏と青木孝憲氏は公正な評価単価の総額が72億5600万円のストック・オプションを僅か5,250万円で引き受け。つまり、99%以上のディスカウントを受けた
アオキはこのようなディスカウントの根拠としてアオキが設定したストック・オプションの行使のための業績条件を挙げます。しかしながら、アオキはこれらの行使条件を達成することに対するディスカウントがどうしてここまで過大である必要があるかの詳細な説明を一切していません。なによりも、法的な要請の元に開示されている有価証券報告書において、当該ストック・オプションの「公正な評価単価」として15円ではなく、2,073円の評価が開示されています。オアシスは、これら条件は全て容易に達成可能であるような形で恣意的に設定されたものであり、このような大幅なディスカウントに相当する条件ではないと確信しています。このような取締役会における誤った意思決定は、取締役会が独立した監督機能を十分に持たないことに起因するものです。このような監督機能の不全は様々なステークホルダーから長きに亘って指摘されてきましたが、今般、議決権行使助言会社であるISSとグラス・ルイスもアオキの定時株主総会に先立って発行したレポートにて監督機能の不全を認めるに至りました。
直近のレポートにおいて、ISSは「脆弱なコーポレートガバナンスシステム」が「創業家による取締役会及びアオキにおける不当な影響力」に対する懸念を与えると結論づけました。また、この結論に従ってISSはアオキの株主に対してオアシスが提案する池井氏の選任に対して賛成票を投じることを推奨するとともに、オアシスが提案するコーポレートガバナンス改革の特に重要な議案について賛成票を投じることを推奨しています。
同様にグラス・ルイスもこれらコーポレートガバナンス上の機能不全を認知し、オアシスが推薦する取締役候補である池井氏への賛成票を投じること、および、代表取締役社長の青木宏憲氏の再任への反対票を投じることを推奨しています。
加えて、アオキはオアシスのプレゼンテーション資料への反論として2023年8月8日に開示した資料においても著しく誤導的な主張を続けています。例として以下のようなものが挙げられます:
アオキはオアシスが事前の確認なく、公に資料を公開したことを非難しています。
上記は以下の点から誤導的です:
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実際にはオアシスはプレゼンテーションで提示されている多くの疑問点について従来から質問を行ってまいりました。一方で、アオキはオアシスとの間で適切なタイミングで取締役との面談を設定することを拒み続け、2023年7月11日にオアシスとアオキの取締役の最初の面談が設定されたのはオアシスが取締役との面談を依頼した2022年11月17日から8か月も経ってからでした。オアシスが代表取締役社長である青木宏憲氏や社外取締役との面談を長きに亘って要請してきたのにも関わらず、このような経緯を経て設定された面談は、取締役の八幡氏との面談でした。現在に至るまで、アオキは弊社と社長の青木宏憲氏との面談を拒み続けています。
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八幡氏によると社長の青木宏憲氏は決算説明会を除いて一切株主との面談を行わないと回答しています。
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また、オアシスが行ってきた、青木家の財政状況などの基本的な質問などについても、対応に当たっている八幡氏は青木家の個人的な事情については関知していないとの理由付けの下で、オアシスからの質問への回答を拒絶してきました。青木家出身取締役との面談設定を拒絶する一方で、こういった回答を行うことは実質的にはこれらの質問を行うことを防ぐものです
アオキは青木宏憲氏と青木孝憲氏へのストック・オプションの発行は両氏のアオキの成長へのコミットメントのためのものであったと主張しています。
上記は以下の点から誤導的です:
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アオキは青木家が保有していたアオキ株式の時価が当時の時点において約600億円であった一方で、青木宏憲氏と青木孝憲氏によって払い込まれたオプション料がわずか5,250万円にしかすぎないことについての言及を避けています。
アオキは、同ストック・オプションは「報酬ではなく」、「個別の投資判断に基づく投資」であったと主張しています。
上記は以下の点から誤りです:
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アオキは第25回定時株主総会資料の「会社の新株予約権等に関する事項」において、同ストック・オプションを「会社役員が有する新株予約権等のうち、職務執行の対価として交付されたものに関する事項」」の下に記載しております。つまり、アオキは同ストック・オプションが報酬であったことを認めています。
アオキはオアシスとの面談中に言及した業績予想の修正基準としての「売上高で 10%以上、各種利益で 30%以上の変化」については「一般的な業績予想の修正開示基準を回答したもの」と主張し、アオキは「各種利益においては通期で 15~20%以上の変化が発生する可能性が高いことを1つの目安とし、その他様々な要素を総合的に考慮」して行っていると主張しています。
上記は以下の点から誤導的です:
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これはアオキによる過去の発言を帳消しにする試みに過ぎません。八幡取締役はオアシスとの面談において、「開示に関して言いますと、売上で10%とか、利益ベースで30%というところを一つの目安として開示を考えているところもございます」とした上で、当該基準を2023年5月期において業績予想の修正を行わなかった理由として挙げました。
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上記の発言が行われた面談の後に、オアシスは弊社の理解をまとめた書簡を送付し、理解に齟齬があれば訂正いただくように求めたものの、その後の面談などにおいてこれが訂正されたことはなく、当該時点においてはアオキがオアシスと同様の認識を持っていたことが分かります。
アオキは、2020年5月期に実施した業績修正が不自然なものではなかったことを正当化しようとしています。
上記は以下の点から誤導的です:
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アオキは、2020年5月期に実施した下方修正とその他の年度における開示の一貫性を説明することに失敗しています。例えば、2023年5月期には第3四半期累計での経常利益が通期予想における経常利益を上回っていたにも関わらず、業績予想の修正を行わないなど、業績予想を機動的に行わない体質であることが示されています。
また、アオキはオアシスが指摘した販促キャンペーンが2019年11月30日に終了していることについて「2019 年 12 月1日より新しい販促キャンペーンを追加しており、[…]オアシスの指摘は全くの誤り」として、業績の下方修正を正当化しようとしています。
上記は以下の点から誤導的です:
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追加で展開されたキャンペーンは元々展開されていたキャンペーンよりも大きく規模が縮小されたものであり、第3四半期及び第4四半期の業績が第2四半期よりも弱いものになることを示唆するような業績修正の根拠にはなりえません。
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2019年11月30日に終了したキャンペーンの内容:アオキのプリペイドカード利用者に対する還元は5%、現金利用者に対する還元は2%ないしは3%。
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2019年12月1日以降のキャンペーンの内容:アオキのプリペイドカード利用者に対する還元は3%ないしは5%、現金利用者に対する還元はなし。
アオキは行使条件の達成可能性について「容易な目標ではない」との主張を展開しています。アオキはこの主張の根拠として、「行使条件の1つである経常利益目標 220 億円は、上記の経常利益予想に対して約 170%であります。大手競合他社の北陸地区進出による主要展開地域での競争激化や、9年ぶりとなる増収減益及び業績予想の下方修正が発生した状況」を挙げています。
上記は以下の点から誤導的です:
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これらの説明はいずれも定量的な根拠を欠くか、適切性が疑われている業績の下方修正のみに立脚しています。
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アオキは過去3年間及び過去10年間のアオキの経常利益の年平均成長率がそれぞれ16.4%と26.8%であった一方で、業績条件を達成するために最低限必要される経常利益の年平均成長率が僅か4.2%でしかなかったことについての言及を避けています。
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また、経常利益についての条件も2024年5月期から2029年5月期までの6年間の間で一度のみの達成を求めるものです。
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本条件は資本コストなどを一切加味せずにM&Aなどを通して経常利益の絶対額のみを増やすことを容認するような設計となっており、これにより達成が容易になっています。
アオキはアオキが所有する建物である青木家臨川所屋(以下「所屋」といいます。)と青木桂生氏が所有する建物(以下「本建物」といいます。)(合わせて、以下「本施設」といいます)について様々な言及を行っています。
上記は以下の点から誤導的です:
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所屋と本建物について、「橋で繋がっているものの」、「独立した構造となって[いる]」と主張するなど、アオキにおいても混乱が見られます。
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アオキは所屋の所有意図として、「福利厚生施設としての利用価値に加え、書屋の文化的価値及び当社創業の地を保全する」ことを理由として挙げていますが、オアシスの調査や、近隣住民が認識している限りにおいては所屋が福利厚生施設として利用されている実態がないとの指摘について適切な説明を提供することに失敗しています。
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一方で、所屋は青木桂生氏が所有する本建物と繋がっており、本建物から容易にアクセス可能となっているだけでなく、各種の公的書類において青木桂生氏は所屋の住所を自身の住所として記載しています。もし、青木桂生氏が所屋での居住実態がないとすれば、これら公的書類において、青木桂生氏は虚偽の記載を行っていたことになります。なお、オアシスはアオキ及び青木桂生氏が望めば青木桂生氏が所屋を自身の住所として掲載している複数の公的書類を開示する用意があります。
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アオキは白山市観光スポーツ文化課から「書屋に個人が居住している旨を回答したことはないとの回答を明確に受けて[いる]」と主張していますが、オアシスは2023年7月10日に同課に電話での問い合わせを行い、そのような回答を得ています。
アオキは「オアシスが引用している ISS の議決権行使助言基準は、取締役会の員数を減員する定款変更に関する記載であり、取締役会の員数上限の引上げを行わないことが、あたかもコーポレートガバナンス上、不適切であると公に認められている行為に該当するかのような印象を与えかねず、誤導的」と主張しています。
上記は以下の点から誤導的です:
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そもそも、オアシスは他の株主を誤導する意図は有しておらず、誤導したこともありません。本引用については引用がISSガイドラインの「取締役会の定員の減少」からなされていると明示しています。
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アオキはガイドラインの精神、つまり株主提案を防ぐために取締役会の定数を埋めるような行為は望ましくないということを理解できていません。
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実際、これを踏まえてISSもグラス・ルイスもその分析において、アオキによる藤井氏の選任提案がオアシスの提案候補である池井氏の選任を防ぐために行われていることを考慮しており、結果として藤井氏の選任に対して反対票を、池井氏の選任に対して賛成票を投じることを株主に推奨しています。
アオキはオアシスによる藤井氏に対する指摘について、「藤井氏が関連する法人(以下、「藤井氏関連法人」といいます。)に関する情報は、いずれも直近時点のものではなく、藤井氏の経営能力を判断するにおいて適切なものでは[なく]」、アオキは「藤井氏関連法人の直近の状況について把握しており、藤井氏の経営能力について、オアシスとは異なる認識を持って[いる]」と主張しています。
上記は以下の点から誤導的です:
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オアシスはアオキと藤井氏に対して、株主が適切な情報に基づいて意思決定が行えるよう、藤井氏の事業の概要について、予定日よりも2年以上遅れても稼働が行えていないバイオマス事業も含めて、開示するよう要請いたします。
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また、アオキによる反論はオアシスによる、藤井氏の事業がいずれもアオキの事業規模と比較して大幅に規模が小さく、アオキの事業との関連性を欠くことについての適切な説明責任を果たすことに失敗しています。
総じてアオキの開示はオアシスの資料について、批判できる点のみに選択的に表層的かつ的外れな批判をしているのみであり、オアシスが提示している特に重要な懸念に対して、アオキは適切に説明責任を果たすことに失敗しています。
オアシスはストック・オプションの発行は青木家による企業支配と少数株主の利益を犠牲にした上で青木家の利益を優先するアオキの企業体質を象徴するものであると考えます。このような自身の地位を濫用し、自身のみを利する取引を行った青木宏憲氏と青木孝憲氏に対して、株主は断固たる態度で臨まなければなりません。アオキにおけるコーポレートガバナンスは機能不全に陥っており、青木宏憲氏と青木孝憲氏の解任はこれを解決するための適切かつ必要な第一歩であるとオアシスは考えます。
オアシスは、アオキの株主の皆様に対し、2023年8月17 日に開催される定時株主総会において、下記の提案に反対票を投じるよう、要請します:
第2号議案
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代表取締役社長である青木宏憲氏とその弟で取締役副社長である青木孝憲氏の取締役再任
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第2号議案
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会社側の新任取締役候補である藤井大温氏の取締役選任
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オアシスは、アオキの株主の皆様に対し、青木家によるガバナンス違反に対する監督機能を高め、少数株主の利益を保護するために、下記の提案に賛成票を投じるよう、要請します:
第4号議案
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真に独立し、高い適格性を有する池井良彰氏の取締役選任
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第5号及び6号議案
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経営陣に対する監督機能の向上を図るための筆頭独立社外取締役の設置、及び、指名報酬委員会の設置
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第7号及び8号議案
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社外取締役に対する新たな報酬制度の導入
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オアシスの提案の詳細については、www.KusuriNoAokiCorpGov.com. をご覧ください。アオキのガバナンスをより良くするために、すべてのステークホルダーがオアシス(info@KusuriNoAokiCorpGov.com )に連絡することを歓迎します。
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オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、さまざまな国やセクターにわたる幅広いアセットクラスの投資機会にフォーカスしている投資ファンドです。オアシスは、現在最高投資責任者 (CIO) を務めるセス・H・フィッシャーによって2002年に設立されました。オアシスに関する詳しい情報は、https://oasiscm.comをご覧ください。オアシスは日本の金融庁の「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」を遵守し、この原則に沿って投資先企業のモニタリング及び、エンゲージメントを行っています。
本プレス・リリースの情報と意見は、Oasis Management Company Ltd(以下、「オアシス」とする)が情報提供目的またはご参考に供する目的でのみ提供するものです。本プレス・リリースは、受領者に対して、 オアシスと共同して特定の会社の株券その他の金融商品取取引法における大量保有の状況等に関する開示制度の対象となる有価証券を取得し、若しくは譲渡し、又は議決権その他の権利を行使することを勧誘あるいは要請するものではありません。そのような共同行動をとる株主は大量保有の状況等に関する開示制度の共同保有者とみなされ、共同保有者は一般への情報開示のために合算した保有株式数を関係当局に報告しなければなりません。オアシスは、そのような報告が必要とされる共同保有者としての合意を明示的に締結する例外的な場合を除き、共同保有者としての報告義務を発生させる一切の行為を行わないことをご了承ください。