リスクモンスター株式会社のプレスリリース
本調査は、企業が保有する有利子負債を集計し、安全性・収益性の観点から分析を実施したものです。
第2回借金王ランキングの上位3社は、前回調査に続き「トヨタ自動車」、「ソフトバンクグループ」、「本田技研工業」となりました。上位3社においては、EBITDAランキングと営業キャッシュフローランキングのいずれにおいても上位6位以内にランクインしています。また、「トヨタ自動車」、「本田技研工業」では、分析対象とした現預金回転期間、借入依存度、自己資本比率のすべてにおいて、優良な水準を保持している点、「ソフトバンクグループ」では、自己資本比率が30%未満と低水準でありながらも、月商の10か月分の現預金を備え、高い支払い能力を有している点で、それぞれ高い安全性を有していることが表れています。
無計画な借金は倒産リスクの上昇につながりますが、綿密な事業計画に基づいて、計画的な資金調達を行うことが重要です。その観点では本ランキング上位企業は、借入金額は多いものの安全性の低い企業はほとんど見られず、調達した資金を活用してキャッシュの創出につなげている点において、借金を上手に運用している企業といえます。
上場企業だけでなく中小企業においても、安全性や企業価値を損なうことなく、事業を成長させるための適切な資金調達の方法・金額・タイミングを計っていくことは極めて重要な経営判断と考えられます。
▼本調査の結果は以下掲載サイトでもご覧いただけます。
http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
決算短信記載の有利子負債に基づいて集計したところ、ランキング1位は「トヨタ自動車」(有利子負債26兆4,964億円)、次いで「ソフトバンクグループ」(同21兆4,574億円)が2位、「本田技研工業」(同8兆1,026億円)が3位となり、前回と同じ順位となりました。また、4位以下に関しては、「三菱HCキャピタル」(同7兆4,616億円)、「日本電信電話」(同7兆3,643億円)、「日産自動車」(同6兆9,978億円)、「ソフトバンク」(同5兆9,995億円)の順となりました。
上位20社の業種としては、自動車製造業、物品賃貸業、通信業、電気小売業が3社ずつランクインしています。特に、自動車製造業と通信業においては上位7社までに3社ずつランクインしており、有利子負債の多さが目立つ結果となりました。
また、上位20社において売上規模と有利子負債を比較したところ、上位20社のうち12社が年商以上の有利子負債を有する結果となっています。特に物品賃貸業、不動産賃貸業・管理業においては、上位20社にランクインした全ての企業において有利子負債が年商を上回っており、借入れが嵩みやすい業種であることがわかります。(図表A)
図A
なお、トップ100については、図表Bにまとめました。(図表B)
図B
(2)借入れが多額でも、安全性は高水準
有利子負債上位20社の安全性を調査するために「現預金回転期間」、「借入依存度」、「自己資本比率」について分析したところ、現預金回転期間(現預金÷月商)では、「楽天グループ」、「ソフトバンクグループ」、「三菱HCキャピタル」、「ソフトバンク」、「本田技研工業」が上位となり、リスクモンスターの倒産確率分析(以下、倒産確率分析)において高リスクとなる「1か月未満」の企業は20社中3社のみでした。また、借入依存度(総借入÷総資産×100)では、業種特性として借入金が嵩みやすい物品賃貸業と不動産業に該当する5社を除くと、倒産確率分析において高リスクとなる「50%超」の企業は「関西電力」、「九州電力」の2社のみとなりました。借金王ランキング上位企業においては、おおむね高い安全性を保ちながら借入を行っていることがうかがえます。
自己資本比率においては、倒産確率分析においてリスクが上昇する「30%未満」の企業は20社中12社あるものの、これらの企業については、財務レバレッジ(総資産÷自己資本)を効かせることで多額の収益獲得につなげているという見方もできます。(図表C)
図C
(3)借金をキャッシュの創出につなげている企業も
上場企業の収益力を計る指標として、「EBITDA」、「営業キャッシュフロー」を集計しランキングしたところ、EBITDAでは、「トヨタ自動車」、「日本電信電話」、「ソニーグループ」、「KDDI」、「ソフトバンク」が上位となり、営業キャッシュフローでは、「トヨタ自動車」、「日本電信電話」、「ソフトバンクグループ」、「本田技研工業」、「KDDI」が上位となりました。
借金王ランキング上位20社のうち8社がEBITDAランキングにランクインし、12社が営業キャッシュフローランキングにランクインしており、借入金と収益力との間に相関性がうかがえる結果となりました。(図表D、図表E)
図D
図E
※EBITDA=営業利益(税引前当期純利益+特別損益+支払利息)+減価償却費
[総評] 企業が借金を行う目的は、大きく事業拡大と運転資金確保の2つに分けられます。借金によって事業の成長や安定化を図れる一方で、返済の目途が立たず資金繰りが限界に達すると倒産に至ることから、借金の多寡は倒産リスクに直結するといえます。本調査は、企業が保有する有利子負債を集計し、安全性・収益性の観点から分析を実施したものです。第2回借金王ランキングの上位3社は前回調査に続き「トヨタ自動車」、「ソフトバンクグループ」、「本田技研工業」となりました。上位3社においては、EBITDAランキングと営業キャッシュフローランキングのいずれにおいても上位6位以内にランクインしています。また、「トヨタ自動車」、「本田技研工業」では、分析対象とした現預金回転期間、借入依存度、自己資本比率のすべてにおいて、優良な水準を保持している点、「ソフトバンクグループ」では、自己資本比率が30%未満と低水準でありながらも、月商の10か月分の現預金を備え、高い支払い能力を有している点で、それぞれ高い安全性を有していることが表れています。
無計画な借金は倒産リスクの上昇につながるため、綿密な事業計画に基づいて、計画的な資金調達を行うことが重要です。その観点では本ランキング上位企業は、借入金額は多いものの安全性の低い企業はほとんど見られず、調達した資金を活用してキャッシュの創出につなげている点において、借金を上手に運用している企業といえます。
今後、不透明な経済情勢のため先送りしていた設備投資を再開する企業や、円安の進行によって海外から国内に生産拠点をシフトするための設備投資を実施する企業など、企業における資金調達機会の増加が見込まれる中、上場企業だけでなく中小企業においても、安全性や企業価値を損なうことなく、事業を成長させるための適切な資金調達の方法・金額・タイミングを計っていくことは極めて重要な経営判断と考えられます。
※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
・調査方法 :決算書の分析結果に基づく調査
・調査対象決算期:2022年7月1日時点で開示されていた2021年4月期決算以降の最新決算
・調査対象企業 :金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)を除く、決算短信提出企業
・調査対象企業数:3,202社
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しております。
今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでまいります。
掲載サイトはこちら: http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
■リスモンの概要(東京証券取引所スタンダード市場上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2022年6月末時点で13,952(内、与信管理サービス等7,060、ビジネスポータルサイト等3,128、教育事業その他3,764)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/