国立大学法人千葉大学のプレスリリース
国立大学法人千葉大学の環境ISO学生委員会(以下、学生委員会)と株式会社京葉銀行(以下、京葉銀行)は、2017年度より協同でecoプロジェクトを実施しており、SDGs達成に向けた取り組みを行っています。 その一環として、学生5名が千葉県内の農園で農業体験を行いました。
- 農業体験プログラムについて
持続可能な開発目標(SDGs)の目標2「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」の達成に向けた活動の一環で、学生が農作業の体験をすることで、若者の農業への興味関心を深める取り組みです。京葉銀行が取引先の農家・農園・加工業者などから受入先企業を募り、学生委員会の学生を派遣するプログラムです。昨年度に続き、2回目の実施となりました。受入先企業の募集には、香取市佐原における歴史的資源を活用した観光まちづくりを行う株式会社NIPPONIA SAWARAも協力しています。
■プログラム概要
受入先 :株式会社芝山農園
(代表取締役社長:篠塚佳典、所在地:千葉県香取市福田500-25)
体験人数:環境ISO学生委員会の学生 5名
体験期間:9月12日(月)~18日(日)に2名、9月19日(月)~25日(日)に3名
主な作業:芋掘り機に乗りさつまいもを掘る作業、鎌を用いてつるを切る作業、さつまいもの選別(重さごとの仕分け)と積み込み作業、箱詰め作業、芋けんぴの袋詰め作業 ほか
- 体験した学生の感想
理学部1年 中村颯太
今回の体験を通じて特に外国人労働者の多さがとても印象的でした。収穫機での作業の際も4人中私以外の全員がタイ出身の方でした。そのほかの現場でも外国人の方が多い作業所が見受けられ、農業が外国人労働者に支えられていて、日本人の農業離れが深刻になっていることを実感するとともに、外国人労働者の雇用にあたって、企業側の工夫(工程の簡略化や明確化など)も多く感じられました。日本人の農業離れの解決策は、日本人の農業に対する価値観と現代農業とのギャップをなくし、農業を身近なものに変えていくことではないかと思います。そのために、今回の体験のように直に農業に触れて知ることや、私たちの今回の体験を伝えることで農業に対して関心を促すことをしていきたいと思います。
園芸学部2年 有賀優宇
農園の規模はかなり大きく、多くの外国人労働者が働いており皆で協力して作業を行っていました。その光景が私にとっては新鮮でした。農業は少人数でかつ機械を使って大規模で行うものだと思っていましたが、実際には大規模で機械が何台あっても結局は人手が多く必要なのだと分かりました。人手が減ると1人あたりの負担は重くなり、農業の人手不足の問題は個人の小規模な農園だけではなく大規模な農園でも直面する問題であるのだと感じました。さつまいもの仕分け作業を行いましたが、慣れるまで大変だったり、運搬が重くて体力を使ったり、1区画の畑の収穫に2日間かかったりするなど、労働力が必要であることを実感しました。
園芸学部1年 岡田雪寧
私は堀り機や鎌を使ったさつまいも収穫作業を体験しました。最も印象に残ったのは「1回目は失敗しても大丈夫だから、やりながら理解してね」という作業がほとんどであるということでした。一緒に作業をした外国人労働者の方々と作業を通してコミュニケーションをとれる、言語は片言でも間に作業があるから互いに分かりあえることがあるというのは私にとって興味深く楽しいことでした。しかしこれは、私が今興味を持っている農福連携の観点からは課題であると感じました。農福連携の領域では障がいを持った方々、外国籍の方々、元受刑者の方々など、様々な特性を持った人と一緒に農業をします。その人たちの特性によって、得意不得意もあり、そうしたニーズにきめ細やかに対応することは、経営を圧迫するようにも思えますが、実現できれば寧ろ全体の生産性を高めると感じました。
教育学部2年 遠藤凪紗
芝山農園は6次産業化を推し進めている企業であり、「芋ぺちーの」や「芋ちっぷ」といった商品も販売していることから、体験する前は第一次産業の部分でも画期的な機械や仕組みがあるものだと思っていました。しかしこのような先進的な企業でさえ、実際は一つ一つ手作業であることが多く、農業の大変さを実感しました。サツマイモの収穫、選別、袋詰めなどの作業を通して、また職員の方々や外国人労働者の皆さんとの交流から、第一次産業の実情の片鱗に触れることができ貴重な機会となりました。
理学部1年 佐々木七菜
私が住んでいる場所には農地がほとんどないため、農業の仕事に興味があったことと、大学卒業後に農業関係の仕事に進みたいと思っていたこともあり、このプログラムに参加しました。私はこの体験を通じて、農業は人手不足であることや新しい取り組みを始めようとしても、反対意見があると導入しづらいことが課題であると感じました。農業を今後も続けていくためには様々な意見も取り入れながら、革新的なことにも取り組んでいくべきだと思いました。
- 株式会社芝山農園(代表取締役社長 篠塚佳典)
株式会社芝山農園は農産物の生産、加工、販売や、観光農園、体験農園の運営などを行う会社です。
持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献することを重視しながら、農業生産工程の効率化によって豊かで安定的な食糧生産に貢献できるよう、最先端の農業技術を駆使し作業の省力化と作物の高品質化、フードロスのない商品加工を実現するべく「スマート農業」の推進と生産物ロスの利用価値研究を行っています。
ホームページ: https://shibayama-f.com/
■芝山農園 篠塚社長の感想
私たちは若い人たちが何を考えているか、何に興味関心があるのか知ることができますし、収穫の時期は人手が足りないので助かりました。また、若い人たちにとって農作業は新鮮で貴重な経験になると思いますし、野菜のおいしさを改めて実感できると思います。農業を通して自然と触れ合う大切さを実感してもらえたら嬉しいです。今後もお互いに良い影響を及ぼしあえたら良いと思っています。
- 株式会社NIPPONIA SAWARA(代表取締役社長 上村 進)
香取市における観光業の支援によるまちづくりを進めるために、株式会社京葉銀行が佐原信用金庫と株式会社地域経済活性化支援機構等と2015年に組成した「千葉・江戸優り佐原観光活性化ファンド」からの出資により、2016年に設立した会社です。古民家や蔵などの歴史的資源を宿泊施設等に改修する不動産開発事業、地域情報の発信、地元産品のブランド化事業などを行っています。
ホームページ: https://www.nipponia-sawara.com/
- 「千葉大学×京葉銀行ecoプロジェクト」について
千葉大学と京葉銀行は2012年に包括連携協定を結んでおり、千葉大学で環境活動を主体的に担っている環境ISO学生委員会と京葉銀行が協同で、2017年から「ecoプロジェクト~7色の虹を千葉から未来へ」を実施しています。本プロジェクトでは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、まずは「地域の環境負荷削減と環境意識向上に貢献したい」という想いで、京葉銀行の行員や取引先企業、地域住民、千葉大学の学生などを含めた千葉県内の多くの方々を対象に、環境意識の啓発活動を実践しています。
公式サイト https://www.keiyobank.co.jp/ir/eco_project/
- 本件に関するお問い合わせ
国立大学法人千葉大学 環境ISO事務局 TEL:043-290-3572
京葉銀行 経営企画部 広報グループ TEL:043-306-8065