株式会社MILIZEのプレスリリース
株式会社MILIZE(東京都港区、代表取締役社長 田中(たなか) 徹(とおる)、以下 MILIZE)は、三菱UFJ信託銀行株式会社(東京都千代田区、取締役社長 長島(ながしま) 巌(いわお)、以下 三菱UFJ信託銀行)と共同で、ニュースベンダー等、複数の情報ソースから配信される様々なビジネス関連情報に対し、自然言語処理技術のひとつである「BERTモデル」(*1)を用いて、特定の情報の抽出および優先順位付けを行う、ラベリングシステムを開発いたしました。従来、大量のビジネスニュースの中から投資意思決定に関わる特定情報の抽出、ならびにその分析・吟味に当たっては相応の時間を要していましたが、同システムの開発により、作業の効率化、所要時間の短縮等を見込んでおります。
MILIZEは、市場運用やリスク管理業務の高度化に強みを持つAIベンダーで、オルタナティブデータや自然言語処理を活用して、機関投資家や個人投資家における運用業務のDX化支援を行っています。
一方、三菱UFJ信託銀行では、国内外のマーケットを対象とした市場運用業務において、投資の意思決定等にあたり多種多様な情報の収集、分析を行っております。その中でも、複数の情報ソースから配信される大量のビジネス関連情報の中から、投資判断に影響を与え得る重要なネガティブニュースを抽出し、吟味・分析するプロセスに関しては、従来その業務効率性の観点で課題認識を持っておりました。
今般、MILIZEは三菱UFJ信託銀行と共同で、投資関連情報の抽出および分析作業の効率化に資する新たなシステムを共同開発しました。本システムが実用化に至れば、三菱UFJ信託銀行の高い市場運用知見とMILIZEの優れた技術力により、効率的な業務体制が構築され、ネガティブニュース分析作業の大幅な負荷軽減と、市場運用業務における投資意思決定の際のデューデリジェンス・プロセスの円滑化が期待されます。
2. 本システムの概要
本システムでは、多様な情報ソースから日々配信されるビジネス関連情報がスクリーニングされ、そのうち、金融専門用語や特有な文脈を有するものに対して、機械学習モデルが、特定の企業や組織等の「投資・経済活動」に関連する記事、「アンチ・マネーロンダリング、経済制裁」に関連する記事等のネガティブニュースとしてラベリング・優先順位付けを行います。ラベリング結果は、ID取得者であれば、WEB画面上で確認可能です。
3. 今後の展望
MILIZEと三菱UFJ信託銀行は、市場運用業務におけるニュース分析、デューデリジェンス・プロセスの効率化に向けた新たな取り組みとして、今般共同開発したシステムの実務検証および実用化の検討を進めるとともに、今後も、先端技術の積極的な活用による業務効率化の推進に取り組んでまいります。
(ご参考)
【本システムの特徴】
1. 記事内容を理解し、AML・経済制裁に関する記事を優先的に分類
日々配信されるニュースに対して、同社のビジネス活動において重要度の高いネガティブニュースを分類し、スコアリング・優先順位付けを行います。
2. 高精度の分類モデル
予測精度は再現率(*2)97.1%・適合率(*3)84.7%を達成。AML・経済制裁に関する記事を中心に、ビジネス活動に影響を与える重要なネガティブニュースに関しては抽出漏れがないように特に配慮されています。
3.通常業務の蓄積により、モデルの精度が向上
担当者によって精査されたニュースのうち、誤った予測データが発見された場合は正しいラベルに貼り替え、教師データとして登録することで、モデルが再学習され精度を向上させることができます。
4.記事の主体となる企業の発見
文脈でキーとなる会社名を識別することができます。例えば「Apple」という単語には会社名以外に、「りんご」の意味もあります。本システムは記事上に存在する固有の企業名を会社として認識し、各企業の文脈上の重要性を推測した上で、その中でも主体となっている企業名を抽出しています。
5. 人の判断に近い分類ロジック
学習が進むと、特定の企業名があればそれだけで判定ロジックが働いてしまうようになります。こういった単純なルールでの判断ロジックを排除するため、企業名をマスキングして文脈のみで内容を判断する学習プロセスを構築しています。これにより、人が判断する思考過程と似た結果を導き出すことができます。
6. 翻訳サービスとの連携
翻訳サービスと連携し、高精度な英文記事の適時翻訳が可能です。
7.クラウド上で確認できるUIを開発
開発したAIモデルに対してユーザーインターフェース画面を作成し、関係部門のユーザーがWEB上で日々のアラートを確認することや、企業やキーワードによる検索をすることが可能です。
*1 BERTモデル
2018年10月にGoogleが発表した自然言語処理モデル。容易なファインチューニングにより、活用したいデータに合わせたモデルの最適化を可能とした。
*2 再現率:
実際に正であるもののうち,正であると予測されたものの割合。「AML・経済制裁」「投資・経済活動」に関する記事のうち、ただしく「AML・経済制裁」「投資・経済活動」と予測できた割合です。
*3 適合率:
正と予測したデータのうち,実際に正であるものの割合。「AML・経済制裁」「投資・経済活動」と予測した中で正しかった割合です。
【株式会社MILIZEの会社概要】
本社所在地:〒108-0023
東京都港区芝浦4丁目12番38号
CANAL GATE SHIBAURA (キャナルゲート芝浦) ビル6階
URL :https://milize.co.jp/
設 立:2009年4月
代表:代表取締役社長 田中 徹
事業内容:
■AIを活用した運用商品開発や相場動向分析システム等の開発及び販売
■AIや金融工学を用いた運用方法、リスク管理、予兆管理などの研究開発
■AIを活用した統合ライフシミュレータ「MILIZE人生設計」の開発及び販売
■AIやITに関するコンサルティング、ビッグデータ処理に関するコンサルティング