松山智一、世界最大のオンラインアートプラットフォームArtsyにて開催されるベネフィット・オークションに参加

KOTARO NUKAGAのプレスリリース

松山智一《Another Believer》2021

松山智一は、NYを拠点にアジア系アメリカ人アーティストの活動をサポートする非営利団体「Asian American Arts Alliance」(以下A4) への支援のために、世界最大のオンラインアートプラットフォームArtsy にて開催される、ベネフィット・オークションに参加します。本オークション「Tomokazu Matsuyama for the Asian American Arts Alliance」は2022年5月12日から5月26日までの2週間、Artsyのオンライン上で開催され、松山智一のペインティングシリーズの一つ「Fictional Landscapes」から、大作《Another Believer》(2021)が特別に1点出品されます。オークションの収益は、アジア系アメリカ人のアーティストや彼らの共同体を強化するために、様々なリソースの共有、プロモーション、コミュニティの構築を目的とするA4に寄付されます。

松山の作品は、ポップアート、抽象表現主義、日本の古典絵画、そしてハイカルチャーから商業広告などの消費者文化に属するものまで、多様な文化からモチーフを引用します。本作《Another Believer》はこのように、私たち人類が育んできた文化的、歴史的、そして美学的価値観の十字路のようであり、日本とアメリカを行き来しながら育った松山自身のバイカルチュラルな背景を反映しています。松山の思考を体現するかのような《Another Believer》は、作家にとって最も重要な一点と言えます。

松山の作品の中でも希少な大型キャンバスに制作された本作を見ていくと、いかに複雑に多様な要素が描かれ、
難解で、同時に動的なエネルギーに満ちているかがわかります。《Another Believer》は現代におけるアイデンティティの意味と、バランス化された社会の生態系にアプローチしていきます。数か月の時間をかけ細部まで丁寧にそして重層的に描かれた花々や、動物、衣服の生地、紋様は見る者を深い思索へと誘います。画面中央の人物の思慮深く微光を放つかのような姿は、まるで時空を超えて現実と非現実との境界線上を漂うようかのようであり、中世の装飾写本の登場人物を想起させます。作品全体を見渡せば、見る者の視点は直ちに人物の立つ開かれたスペースと背景の山々が同居する構図へと誘われ、同時に二次元性を強調する意図的な線によって絵画の外へと押し戻されます。このような、フラットでありながら活き活きとした独自の遠近法は、松山の素晴らしい技術を際立たせています。
 

 

■コメント

アーティスト 松山智一
アートの世界は進化し始めていますが、アジア系アーティストによる活動はまだまだ強い発信力を必要としています。このベネフィット・オークションを通じて、私たちの声を拡大し、アジア系アメリカ人のアーティストやその文化的コミュニティの活動を強化するために尽力している団体に恩返をしたいと考えます。

ギャラリスト 額賀古太郎
このたび、Artsyとパートナーシップを結び、松山智一の代表作《Another Believer》をベネフィット・オークションに出品することを嬉しく思います。世界有数のオンラインアートマーケットであるArtsyは、アート業界の進歩、多様化、民主化という私たちの指針を共有しています。

Artsy オークション部門統括 シュロミ・ラビ
私たちArtsyは、より包括的なアート業界を目指して常に尽力しています。私たちの注目に値する非常に才能のあるアーティストで、社会運動と同じくらいその才能によって業界をリードしているアーティストをさらに支援することは、私たちの責任です。このコラボレーションを通じて松山智一にスポットライトを当てられること、そして彼の作品をオークションに出品し、アジアン・アメリカン・アーツ・アライアンスのための資金を調達できることを光栄に思います。

アジアン・アメリカン・アーツ・アライアンス事務局長 リサ・J・ゴールド
A4は、松山智一氏の作品のオークションによる収益金の受領者に選ばれたことを光栄に思っています。松山氏による他のAAPI(Asian Americans and Pacific Islanders / アジア・太平洋諸島系アメリカ人、以下AAPI)アーティストの支援は、当団体の目指すべき姿――AAPIアーティストのための機会を創出し、AAPIアーティストの活動を支援する――を示す素晴らしい例です。

■松山智一 | Tomokazu Matsuyama

1976年岐阜県出身、ブルックリンを拠点に活動。上智大学卒業後2002年渡米。NY Pratt Instituteを首席で卒業。ペインティングを中心に彫刻やインスタレーションも手がける。作品には、東洋と西洋、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素が見られ、これは日本とアメリカの両国で育った松山自身の経験や情報化の中で移ろいゆく現代社会が反映されている。これまでにニューヨーク、ワシントンD.C.、サンフランシスコ、ロサンゼルス等の全米主要都市、日本、ドバイ、上海、香港、台北、ルクセンブルクなど、世界各地のギャラリー、美術館等にて展覧会を多数開催。また、ロサンゼルス・カウンティ美術館、龍美術館、サンフランシスコアジア美術館、Microsoftコレクション、ドバイ長国の王室コレクション等に作品が収蔵されている。

2012年から2017年5月まで、スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(SVA)の非常勤教授を務める。2020年には東京・JR新宿駅東口広場に7mの常設彫刻を制作し、2021年にはNHK「日曜美術館」で特集が組まれる。他にも、カリフォルニア州カルバーシティのアイビー・ステーション複合施設の中心部に設置された彫刻インスタレーション、千葉市のティップスタードームに30mの壁画と2つの大型ステンレス彫刻を制作。また、中国・重慶のダウンタウンのリバーフロントにある近隣の高層ビルのファサードをアニメーション化した124m x 150mのLEDビルボード「Magic City」、東京の明治神宮の境内で展示された大規模な屋外ステンレス彫刻、カリフォルニア州ビバリーヒルズ市からの依頼による24mの巨大壁画「Thousand Regards」など、世界各地で大規模なパブリック・アートを制作している。