国民生活センター、若者向けにクレジットカードついて注意喚起を実施

独立行政法人国民生活センターのプレスリリース

独立行政法人国民生活センターは、2022年4月から成年年齢引下げに伴い、「クレジットカード」をテーマとして取り上げ、相談事例と事前に知っておいてほしいポイント等を情報提供しました。
【資料URL】https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220210_1.html

報道関係各位
令和4年2月10日独立行政法人国民生活センター

クレジットカードはキャッシュレスで決済が可能なツールの一つです。便利な半面、支払方法を確認せずに使用すると想定外の手数料を請求されることや、利用明細を確認しないと支払残高が高額になっていることに気付かないことがあります。現金がなくても買い物ができるのは、消費者が約束通りに支払ってくれることを「信用」してクレジット会社が代金を立て替えているからです。支払いを延滞すると個人信用情報機関に記録が残り、将来不利益を被る恐れがあります。
全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。

・相談事例

【事例1】限度額いっぱいの買い物をしたら、支払えなくなった事例
成人すると簡単にインターネットでクレジットカードが作れるようになったので、ショッピング用にクレジットカードを作ったが、限度額いっぱいまで買い物をしてしまい、支払いができなくなってしまった。そのまま放置していたら督促状が届き、その返済のために借金をして返済不能になった。どうすればいいのか。
(2021年8月受付 20歳代 女性)

【事例2】リボ払いを選択したら、支払残高が高額になっていた事例
大学のオンライン授業に向けてパソコンを購入するために、クレジットカードを作った。支払方法には翌月一括払いとリボ払いがあったが、割引サービスのあるリボ払いを選択した。
1年以上経過した最近になってクレジットカードの利用明細を確認したら、支払残高が約30万円もあることに気付いた。こんなに高額になっているとは思わなかった。どうすればいいのか。
(2021年6月受付 20歳代 男性)

【事例3】もうけ話の契約で事業者からクレジットカードを作るよう指示された事例
未成年の息子が、SNSを通じてもうかる話があると女性から誘われて会いに行き、副業のコンサルティングの委託契約をしたと分かった。クレジットカードを作るよう指示され申し込みをしたが、未成年だったためカード会社から親に確認の電話があり発覚した。事業者からの連絡はすべて無料通話アプリで、息子宛に連絡があった際、電話を代わり、「未成年者と分かっているのに契約させるのはおかしい」と伝えたところ、今日、息子宛てにアプリを通じてクーリング・オフを認めるとのメッセージが届いたようだ。このままで大丈夫か。
(2021年6月受付 10歳代 男性)

クレジットカード4者間契約の仕組

・クレジットカードの発行には、審査のため申込者の個人信用情報等を確認します(①②)。
・審査の結果、カード発行となると有効期限と利用限度額が定められ、その範囲内で商品の購入やサービスの提供を受けることができます(③)。
・クレジットカードで支払うと、代金がカード発行会社によって販売店に立替払いされます。立て替えられた代金は、決められた支払日に口座引き落とし等で支払います(④~⑦)。
・支払方法には、主に手数料が発生しない翌月一括払い(1回払い)、ボーナス一括払いと、手数料が発生する分割払い、リボルビング払い(リボ払い)があります。

・トラブル防止のポイント

(1)2022年4月より、18歳から一人でクレジットカードを申し込めるようになります
成年になると、未成年時に必要とされていた親権者等の同意なしでクレジットカードの申し込みをすることができ、カード発行会社の審査が通るとクレジットカードを作ることができます。手元や口座にお金がなくても買い物ができるという意味では借金をしていることと同じです。トラブルに遭わないためにも、クレジットカードの仕組みや支払方法をきちんと理解したうえで、適切な管理の下で利用しましょう
※カード発行会社によっては、親の同意を必要とする会社もあります。

(2)延滞に注意!利用の際には、支払計画を立てて利用しよう。
クレジットカードは消費者の「信用」に基づき発行されます。期限までに支払いができなくなると延滞となり、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。延滞を放置したり、繰り返すと、新規にクレジットカードを作ることができない、住宅や自動車のローンが組めなくなる等の不利益を受ける恐れがあります。支払いのために借金をすると多重債務に陥る危険性もありますので、クレジットカードを利用する際は計画的に利用しましょう。

(3)手数料が発生する分割払い、リボ払いに注意!
「分割払い」「リボルビング払い」を選択した場合には所定の手数料がかかります。特に、リボ払いは、毎月の支払額が一定となる仕組みですが、残高に対して手数料が発生するため、残高が多く、支払金額が少ない場合等には、支払いがなかなか終わらないといった事態に陥る恐れがあります。また、クレジットカードの中には、リボ払い専用のものや、最初から支払方法がリボ払いに設定されているものもありますので、クレジットカード申込時などには十分に確認し、意図しない支払方法とならないよう注意してください。

(4)カードの管理は適切に。利用明細は必ず確認!
暗証番号は他人に推測されない番号に設定し、カードを他人に貸与しない等適切に管理しましょう。管理が不適切であった場合、不正利用された際に補償されない可能性があります。最近はフィッシングサイトによりクレジットカード情報等が不正に利用されるトラブルも発生しています。被害にすぐ気づくためにもカードの利用明細は定期的に必ず確認する習慣をつけましょう。万が一、身に覚えのない請求があった際には、速やかにカード発行会社に連絡しましょう。

(5)悪質事業者等から「クレジットカードで支払えばよい」とそそのかされても応じないで!
実態の分からない情報商材や副業などもうけ話のトラブルが増えています。「お金がない」と断っても、悪質事業者や知人から「クレジットカードを作ればよい」「稼ぎから支払える」等といって、クレジットカード決済を持ち掛けられトラブルに遭うケースがあります。クレジットカードを作らせて支払わせるような事業者は信用しないでください。

(6)2022年4月から『18歳で大人』に!
未成年者は、原則として、契約をするにあたって親権者等の同意を得なければなりませんが、同意を得ずになされた契約は取り消すことができます。
他方、大人になると一人で契約できる半面、原則として一方的にやめることはできません。不安に思った時、トラブルにあった時は「188」に相談を!

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