ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社のプレスリリース
- コロナ禍による自粛の反動による大規模な「リベンジ消費」を含む支出の拡大が経済成長の大きな原動力になると見られるものの、サプライチェーンの混乱とインフレが最大のリスク
- 約半数の機関投資家は、低金利により株式のバリュエーションに歪みが生じ、企業のファンダメンタルズが反映されていないと考えており、2割の機関投資家が「バリュエーションはもはや意味を持たない」と回答
- 利回り追求の動きから、機関投資家はプライベート資産やオルタナティブ資産を選好、株式・債券市場のボラティリティの上昇が予想されるなか、アクティブ運用や機動的な戦略を通じてアウトパフォーマンスを模索
- 機関投資家はインフラに資産を投じており、米国株式に対する投資意欲はやや冷え込む一方で仮想通貨に対して積極的
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズが本日発表した最新の調査結果によると、世界の機関投資家はインフレ率の上昇見通し、利上げおよび株式・債券・為替のボラティリティの上昇に対応するために戦術的な戦略を立てることにより、自信に満ちた状態で2022年を迎えようとしています。
調査対象となった世界の機関投資家の62%は、高額商品に対する繰延需要、いわゆる「リベンジ消費」が2022年の成長の重要な牽引役になると予想しています。しかし大半の投資家は、究極的には政策当局が景気回復の鍵を握ることになり、現在の需給の不均衡、インフレ、株式のバリュエーションの歪みの背景には政府の政策があると考えています。7割近く(68%)の投資家は、中央銀行が貨幣の増刷を止めれば長期にわたる強気相場に終止符が打たれることになるものの、そのタイミングは2022年より先になると見ています。
企業・公的年金基金、保険会社、政府系ファンド、財団・基金など合計で13.2兆ドルを超える運用資産を有する世界の500の機関投資家を対象に行った調査では、機関投資家は2022年に向けて、株式(39%)、債券(37%)、キャッシュ(5%)、オルタナティブ資産およびその他資産(19%)に対する全般的な資産配分の大幅な見直しはほとんど計画していないことが明らかになりました。むしろ、投資家は戦術的な投資に備えたポジションをとっています。
インフレと金利
7割(69%)の投資家は、インフレ率の上昇が最大のポートフォリオ・リスクであるとしていますが、インフレは金融緩和策と低金利に起因する構造的なものであると考える投資家が多く(55%)、循環的なものと判断している投資家は45%でした。インフレは数多くの長期にわたる経済的な問題をもたらしますが、機関投資家にとっては金利政策の方が資産運用面におけるより喫緊の課題となっており、回答者の64%が金利を最大のポートフォリオ・リスクとして挙げています。
2022年には利回りを追求
低金利環境が10年余り続き、パンデミック下では一部マイナス圏まで金利が低下していることを受けて、機関投資家は利回り追求の動きを強めています。2021年にはプライベート資産とオルタナティブ資産が選好され、現在、プライベートエクイティに投資している投資家の割合は84%、プライベートデットは81%、インフラは81%となっています。2022年の展望では、最も魅力的なセクターとして45%の投資家がIT、41%がヘルスケア、40%がインフラ、34%がエネルギーを挙げました。
しかしながら、半数弱(45%)の投資家は、相場調整が生じた場合には過去最高を更新し続けるプライベート資産がセーフヘブンの役割を果たすと考えています。調査対象の投資家の69%が、機関投資家は利回り追求のためにリスクをとりすぎていることを懸念しています。
ボラティリティの高さとバリュエーションの歪みを背景に、アクティブ運用が選好されています。最良の機会の確保のために選別色を強め、より高いリスク調整後リターンの達成を目指す機関投資家にとって、アクティブ運用は最も重要な要素となる見通しです。調査対象となった機関投資家の4分の3が、過去12ヵ月間にアクティブ運用がベンチマークをアウトパフォームしたと回答しています。
また、機関投資家はデジタル資産に対して積極的な姿勢をとるようになっており、すでに28%の投資家が仮想通貨に投資しており、4割の投資家がデジタル資産は合理的な投資機会を提供すると考えています。
取引再開:勝ち組と負け組
回答者の半数以上(56%)が、回復に対する最大のリスクとしてサプライチェーンの混乱を挙げました。機関投資家にとって中央銀行は市場のパフォーマンスという観点で極めて大きな役割を果たしており、47%の投資家は金融緩和策の縮小をリスクと捉えています。現時点では伝統的な経済要因が最大のリスクとなっていますが、最近検出された変異株「オミクロン」をはじめとして、新たな変異株が経済的リスクの3番目に挙げられています。
それにもかかわらず、回答者の60%がパンデミック収束後にはコロナ前の平常に戻ると考えており、これは消費行動にも反映されるようになると予想しています。機関投資家はストリーミングやデジタル商品をそれほど重要視しておらず、むしろ劇場、レストラン、旅行などの対面型の体験がオンラインショッピング、Netflixといった巣ごもり型の消費を凌ぐと考えています。
機関投資家の59%が、2022年には景気回復に伴い需要が押し上げられる結果、エネルギー・セクターがアウトパフォームすると考えています。また半数近い投資家(49%)が、世界的なコロナ関連の需要とワクチン接種の推奨を背景にヘルスケア・セクターがアウトパフォームすると見ています。コロナは、ロックダウン期間中の在宅勤務により家庭向けのITソリューションに対する需要が高まり、大きな関心を集めることになったITセクターの見通しにも影響を及ぼしています。
他方、伝統的にディフェンシブな市場は最も大きくアンダーパフォームする見込みで、35%の機関投資家が不動産セクターはアンダーパフォームすると予想しており、27%の投資家は公益企業のアンダーパフォームを想定しています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの日本・北アジア代表を務める加藤欣司は、次のように述べています。「2022年にはリベンジ支出が強力な牽引役になるでしょう。消費者の高額商品に対する繰延需要は大きいと考えられますが、サプライチェーンの混乱により価格上昇が続くと予想されます。しかし、持続的な経済成長は、現在市場動向を大きく左右している中央銀行の政策次第となります。過半数の機関投資家は、中央銀行が市場の下支えにつながる政策を撤回すれば長期的な強気相場に終止符が打たれると見ています。概して、機関投資家は2022年に向けて楽観的な見方をとっていますが、株式市場全般の高ボラティリティおよびインフレ率と金利の上昇を受けて投資家は慎重な姿勢を維持しており、現在の環境を乗り切るためにより戦術的な資産配分を余儀なくされるようになっています」
調査結果の全文は、こちらのリンクよりご覧いただけます:https://www.im.natixis.com/intl/research/institutional-investor-survey-2022-outlook
調査方法
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの「グローバル機関投資家調査」は、2021 年10月~11月に調査会社CoreData Research により実施されました。同調査は、北米、中南米、英国、欧州、アジア、中東の28カ国・地域の500の機関投資家を対象としています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、マルチ・アフィリエイトのアプローチにより、20社を超えるアクティブ運用会社の独立した思考と集中した専門知識をお客様に提供しています。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、世界最大級の資産運用会社1 (運用総資産額:1兆4,000億ドル、1 兆1,994 億ユーロ)2であり、革新的なESG(環境・社会・ガバナンス)戦略やサステナブル・ファイナンスの推進を目的とした商品など、資産クラス、スタイル、ビークルを問わず、多様なソリューションを提供しています。ナティシス・インベストメント・マネージャーズは、お客様のパートナーとして、市場環境や見通しに関する洞察を提供するとともに、長期的な目標に沿った戦略を提供します。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシスの完全子会社であり、パリとボストンに本社を置いています。ナティクシスは、フランス第2位の銀行グループBPCEの子会社です。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連資産運用会社は次の会社が含まれます。AEW、Alliance Entreprendre、AlphaSimplex Group、DNCA Investments3、Dorval Asset Management、Flexstone Partners、Gateway Investment Advisers、Harris Associates、Investors Mutual Limited、Loomis、Sayles & Company、Mirova、MV Credit、Naxicap Partners、Ossiam、Ostrum Asset Management、Seeyond、Seventure Partners、Thematics Asset Management、Vauban Infrastructure Partners、Vaughan Nelson Investment Management、WCM Investment Management。投資ソリューションは、ナティクシス・インベスト・マネージャーズ・ソリューションズおよびナティクシス・アドバイザーズを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com)およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、ナティクシス・ディストリビューションL.P.ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。
Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2021によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2020年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第15位となっています。
2021年9月30日時点の運用総資産額は1兆3,900億ドルです。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数株主が所有する関連企業の資産、およびナティシス・インベストメント・マネージャーズの関連企業が管理またはサービスを提供しているその他の規制対象外の資産が含まれている可能性があります。H2Oアセット・マネジメントを除く。
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