株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース
各位
2019年4月26日
株式会社ストラテジックキャピタル
代表取締役 丸木強
世紀東急工業株式会社(東証一部:コード1898)への株主提案及び
同提案に関する特集サイトの開設について
弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタルは世紀東急工業株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。
ファンド及び弊社は、本年4月24日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、本年4月25日に当社への株主提案に係る書面の到達を本日確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は以下の通りです。
詳細な説明は、https://proposal-for-seikitokyu-from-sc.com/又は株式会社ストラテジックキャピタルのホームページ右上の特設サイトリンク(https://stracap.jp/)をご参照ください。
記
1. 提案する議題の内容
① 資本コストの開示に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第7章 資本コスト
第42条 当会社は、当会社が金融商品取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するものとする。
② 剰余金を処分する件
(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
74円から、第70回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議
案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金
額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。
第70期1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」という。)が
74円と異なる場合は冒頭の74円を実績EPSに読み替える。
なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に2019年3月31日現在の配当の対象とな
る株式数を乗じた額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生じる日
2019年6月に開催される第70回当社定時株主総会の開催日の翌日
なお、本議案は、第70回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。
③ 不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設するとともに、定款の最後尾に第43条から第45条の適用範囲に関
する後記の附則第1条を設ける。
なお、上記の議案1の「資本コストの開示に係る定款変更の件」が可決されなかった場合は、章番号ついて
は、第8章ではなく第7章とし、条数については、第43条以降の条数を1条ずつ繰り上げることとする。
第8章 第三者委員会
第43条 当会社において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為であって、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすもの(以下「不祥事」という。)が発生した場合及び発生が疑われる場合は、取締役会の諮問委員会として、日本弁護士連合会が2010年7月15日付で発表した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に次条の定め以外は準拠した委員会(以下「第三者委員会」という。)を設置する。
第44条 第三者委員会の委員は、第三者委員会が設置される都度、当会社の社外取締役と社外監査役の合議で選任されるものとする。
②第三者委員会は、3名以上で構成されるものとする。
③第三者委員会の委員には、当会社の本店所在地の弁護士会から推薦された候補者のなかから1名以上を選任しなければならない。
第45条 第三者委員会は、取締役会の諮問を受けて次の各号の事項について調査又は審議を行い、取締役会に答申するものとする。
1.不祥事に関する事実認定
2.不祥事に関する原因分析および法的責任の所在の認定
3.不祥事に関する再発防止策
4.その他、不祥事に関する事項で取締役会から諮問されるもの
附則第1条 第43条から第45条の規定は2019年3月6日に当会社が公正取引委員会から受領した「排除措置命令書(案)および課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書」に係る事案及び本定款の変更が可決された日以降に発覚した事案に適用する。
2. 提案の理由
① 資本コストの開示に係る定款変更の件
当社の株価は、解散価値を下回る水準まで下落した。これは、業績動向が不安視されていることに加え、低い配当性向を継続して自己資本をさらに積み増す当社の資本政策により、将来の自己資本利益率(以下「ROE」という。)に低下が見込まれること、及び、公正取引委員会から独占禁止法に違反する行為があるとの指摘を複数回受けた結果、投資家が当社の株式保有にはリスクを伴うとの認識を抱くこととなり、そのような認識の反映として、投資家の求めるリターンの水準(株主資本コスト)がROEを超える水準にまで高まっていることなどが主因だと考えられる。
東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」(以下「コード」という。)において、「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである」として、経営陣が自社の資本コストを的確に把握することを求めている(コードの「原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表」)。当社経営陣においても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。また、加重平均資本コストが開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通の尺度に基づく対話も可能となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市場における低い評価の改善を目指すことができると考える。
② 剰余金を処分する件
「提案する議題の内容②」に記載の74円とは、2019年4月18日現在最新の当社予想1株当たり当期純利益の金額である。本件は、会社提案の1株当たり配当金がいくらであっても、当期純利益全てを配当すること、つまり、配当性向100%を企図した提案である。
当社の自己資本比率は2018年3月末現在で38.9%である。2016年3月末に当社の自己資本比率は36.9%に上昇し、1992年3月末の32.3%を24年ぶりに更新しており、2018年3月末はそれよりも高い水準となった。さらに、当社は2018年5月に発表した中期経営計画において、自己資本を2017年3月末から3年間で40%以上積み上げる数値目標を策定している。また、当社の2018年11月の決算説明会における説明によれば、2021年3月期までは税務上の繰越欠損金の影響でROEに嵩上げ効果があるとのことであるが、それ以降は、嵩上げされていたプラス効果が剥落することとなる。前記の通り、低水準の配当性向の影響からさらに資本が積み上がることから、将来的にROEは低下していくこととなる。
当社は、これ以上自己資本を増加させてもROEは減少するだけである。余剰資金を株主に還元することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額すべきである。
なお、当社は、2018年12月末現在で、現預金約146億円を保有しており、有利子負債は約25億円に過ぎない。これら現金類似資産の合計は約121億円(以下「ネットキャッシュ」という。)であり、2016年3月末のネットキャッシュは約60億円であったことに鑑みると、ネットキャッシュは大きく増加している。2019年3月6日に当社が公正取引委員会から受領した「排除措置命令書(案)および課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書」においては、課徴金の額が約43億円と想定されているところ、これを2018年12月末現在のネットキャッシュから控除した金額は約78億円となり、2016年3月期から2018年3月期までの3年平均ネットキャッシュの約80億円にほぼ相当する。また、課徴金43億円を勘案した2019年3月期の当社予想当期純利益は30億円である。したがって、43億円の課徴金納付を勘案し、今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社のネットキャッシュ及び自己資本の水準を大きく変えるものではなく、当社の財務状態は良好なままである。
③ 不祥事における第三者委員会の設置に係る定款変更の件
2019年3月7日、当社は、全国において販売するアスファルト合材の販売価格の決定に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、同月6日に公正取引委員会から、排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に関する意見聴取通知書を受領したことを公表した。同月7日、当社はさらに、本件に係る課徴金は当社が2018年3月期に引当済の約30億円から約13億円増加して約43億円に上ることが見込まれる旨も公表した。当社は、以前にも、独占禁止法違反の行為があったとして、以下の通り様々な処分等を受けている。
(1)2016年9月6日、東日本高速道路株式会社東北支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事
の入札に関し、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排除措置命令を受けた。
(2)2016年9月21日、東日本高速道路株式会社関東支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工
事の入札に関し、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会より排除措置命令を受け
た。
(3)2016年11月17日、上記①と②の排除措置命令を受けたことに伴い、国土交通省より、「全国にお
ける舗装工事業に関する営業のうち、公共工事に係るもの」について45日間の営業停止処分を受けた。
(4)2018年3月28日、過年度における東京港埠頭株式会社が発注する舗装工事の入札に関し、独占禁止
法に違反する行為があったとして、公正取引委員会から28百万円の課徴金納付命令を受けた。
(5)2018年6月7日、上記④と東京都及び成田国際空港株式会社が発注する舗装工事の入札に係る独占禁
止法違反行為と合わせ、国土交通省より「全国における舗装工事業に関する営業のうち、公共工事又は民
間工事に係るもの」について30日間の営業停止処分を受けた。
当社は、上記の(1)の談合に係る事案に係る公正取引委員会の立入検査を受けて、2016年3月25日に再発防止策を公表したが、その半年後にアスファルト合材の価格カルテルの疑いで立入検査を受けた。このように、当社の再発防止策には実効性が伴っていなかったため、今般のアスファルト合材の価格カルテルについて、事前に公正取引委員会に自主申告して課徴金を免れることができず、約43億円もの巨額の課徴金を支払わねばならない事態に陥り、株主価値が毀損されることとなった。
実効性がないことが明らかとなった再発防止策のもとで、独占禁止法違反の再発リスクを放置するのではなく、日本弁護士連合会が策定したガイドラインに準拠した第三者委員会を設置し、専門家の助力を得て、新たな再発防止策を策定するべきである。そして、前記の通り、株主資本コストがROEを超える水準にまで高まった主因は、独占禁止法違反によって当社株式の保有に関するリスクが増大したことなどであり、実効性のある再発防止策を策定して株主資本コストの低下を図り、株主価値の向上を目指すべきである。
さらに、今後の万一の場合に備え、独占禁止法に限らず何等かの法令違反行為等が起きたときには、速やかに第三者委員会を設置して具体的な再発防止策に繋げることができるよう、定款を変更するものである。
以上