株式会社ストラテジックキャピタルが図書印刷株式会社への株主提案提出及び同提案に関する特集サイトの開設を公表

株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース

各位

2019年4月26日

株式会社ストラテジックキャピタル

代表取締役 丸木強

 

図書印刷株式会社(東証一部:コード7913)への株主提案及び同提案に関する特集サイトの開設について

 

弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタルは図書印刷株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。

 

ファンド及び弊社は、本年4月24日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、本年4月25日に当社への株主提案に係る書面の到達を確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は以下の通りです。

詳細な説明は、https://cheer-up-tosho.com/又は株式会社ストラテジックキャピタルのホームページ右上の特設サイトリンク(https://stracap.jp/)をご参照ください。

 

 

1. 提案する議題の内容

 

① 資本コストの開示に係る定款変更の件

現行の定款に以下の章及び条文を新設する。

 

第8章 資本コストの開示

(資本コストの開示)

第51条 当会社は、当会社が金融商品取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するものとする。

 

② 取締役会の過半数を独立社外取締役とする定款変更の件

現行の定款第20条に以下の第2項を新設するとともに、定款の最後尾に第20条第2項の施行期日に係る附則を設ける。

 

2 当会社の取締役の過半数は、会社法第2条第15号に規定する社外取締役に該当し、かつ、次のいずれにも該当しない者とする。

 1.当会社と議決権比率10%以上の支配又は被支配の関係にある会社の役職員又は役職員であった者

 2.当会社の主要な取引先の役職員又は役職員であった者

 3.当会社が保有する政策保有株式の発行会社の役職員又は役職員であった者

 4.当会社から金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家であった者(就任の

   時点でその地位にある場合を含む。)

 5.前会計年度に開催された取締役会の出席率が75%未満の者

 6.任期満了日現在において当会社の取締役であった期間及び監査役であった期間の通算在職期間が8年を超

   える者

 7.常勤の職務があり、当会社以外の社外取締役又は社外監査役の兼職先が2社以上である者

 8.常勤の職務がなく、当会社以外の社外取締役又は社外監査役の兼職先が5社以上である者

 

(取締役の員数に関する経過措置)

附則第1条

第20条第2項の規定は、2020年の当会社定時株主総会日の翌日から施行する。なお、本附則は当該規定の施行後、これを削除する。

 

③ 剰余金を処分する件

(1)期末配当に関する事項

(1)-1 配当財産の種類

      金銭

(1)-2 配当財産の割り当てに関する事項及びその総額

      280円を、第107回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に

     係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額に加えて配

     当する。

      なお、配当総額は、280円に2019年3月31日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額

     となる。

(1)-3 剰余金の配当が効力を生じる日

      2019年6月に開催される第107回当社定時株主総会の開催日の翌日

 

(2)その他の剰余金の処分に関する事項

   別途積立金の取崩し及び繰越利益剰余金への振替

   ① 減少する剰余金の項目及びその額

     別途積立金    150億4,000万円

   ② 増加する剰余金の項目及びその額

     繰越利益剰余金  150億4,000万円

 

 なお、本議案は、第107回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。

 

④ 政策保有株式の売却に係る定款変更の件

現行の定款に以下の章及び条文を新設する。

なお、章番号と条数については、上記の議案1の「資本コストの開示に係る定款変更の件」が可決されなかった場合は、第9章ではなく第8章、第52条ではなく第51条とする。

 

第9章 政策保有株式の売却

(政策保有株式の売却)

第52条

当会社が、本条を追加する定款変更の効力発生日現在、貸借対照表に計上している政策保有株式は、第108期から第110期までの3期中に速やかに売却するものとする。

 

2. 提案の理由

 

① 資本コストの開示に係る定款変更の件

当社の株価は、解散価値を大きく下回る状態が継続している。これは、当社のROE(自己資本利益率)が投資家の求める水準(株主資本コスト)に達していないということである。

東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」(以下「コード」という。)において、「経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである」として、経営陣が自社の資本コストを的確に把握することを求めている(コードの「原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表」)。

当社経営陣においても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。特に当社は、後記のように大規模な投資計画を中期経営計画において策定していることから、当社が認識している加重平均資本コストの重要度は高い。加重平均資本コストが開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通の尺度に基づく対話も可能となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市場における低い評価の改善を目指すことができると考える。

 

② 取締役会の過半数を独立社外取締役とする定款変更の件

当社は、凸版印刷株式会社(以下「凸版印刷」という。)に過半の議決権を保有されており、いわゆる親子上場の状態となっている。当社の少数株主は潜在的に凸版印刷の株主と利益相反となるリスクに晒されている。株主提案にて示されている真に独立した社外取締役には、少数株主の利益を代弁する役割が強く期待されるものの、2019年4月1日現在の当社の取締役の人数は13名であり、うち弊社として真に独立していると考える社外取締役は1名もいない。

上場子会社のガバナンス改善策は、2019年3月7日に総理大臣官邸で開催された未来投資会議において議論されたところであり、今後の政府の成長戦略の一部となる可能性がある。

この政府の方針に対応し、また、当社の少数株主利益の保護を図るため、当社取締役会の過半数の取締役が真に独立した社外取締役となることを提案する。

 

③ 剰余金を処分する件

当社は、2016年9月に保有する株式会社リクルートホールディングス(以下「リクルート」という。)株式の半分を売却しており、その税引後の手取り額は、約121億円程度と算定されるため、当社取締役会が提案する配当金額に加え、この金額を今期の配当とされたい。そこで、前記の「提案する議題の内容③」に記載のとおり、1株当たり280円(総額約120億円)の配当を求める。

当社は、2018年12月末現在で、現預金約50億円、(短期)有価証券約178億円、そして約422億円の投資有価証券を保有しており、有利子負債は約4億円に過ぎない。これら現金類似資産の合計額の約646億円から有価証券売却に係る想定支払い税金を控除した金額(以下「ネットキャッシュ」という。)は約536億円となる。それぞれ当社の純資産の約72%及び時価総額の約132%(本年4月18日現在)に相当する巨額なものとなっている。

なお、2017年2月に発表された中期経営計画では、2017年度からの3年間で事業領域拡大に200億円及び事業構造転換に100億円と合計300億円を投資が予定されていた。しかし、事業領域拡大については、2019年3月末までで2社を合計約24億円で買収したのみである。そのうち1社については、買収前3年間の平均営業利益が約0.5億円に過ぎない会社の買収に13.2億円もの対価を支払ったのであり、この買収は明らかに当社の株主価値を毀損するものであった。我々は、事業領域拡大への大規模な投資は、凸版印刷グループとして決定すべきと主張してきたが、小規模であっても株主価値を毀損する買収は即刻停止するべきであると考える。また、事業構造転換については、本当に100億円もの巨額な投資が必要でそれに見合ったリターンが見込めるのであれば、そのリスクリターンを株主に対して情報発信した上で、速やかに事業構造転換のために投資を行って現在の事業の利益率を改善するべきである。

いずれにせよ、前記の通り、合計300億円もの投資計画を現状のまま進めることは、株主価値向上の観点から許容し難い。したがって、当社は、株主価値を毀損する可能性が高い投資計画の完遂を目的とするのではなく、将来の投資計画のためとの漫然とした理由で留保した別途積立金を取り崩し、これを株主へと還元することにより、株主価値を向上させるべきである。

当社の過去5年のROEは、リクルート株式の売却などの特別利益が計上された時期を除けば、1%を下回って推移しており、当社が公表している予想当期純利益及び2018年3月31日と2018年12月31日時点の平均自己資本によれば、2019年3月期は0.3%程度と予想される。

前記の通り、当社は、2018年12月末現在で約536億円のネットキャッシュを保有している。仮に当社の事業構造転換のための投資を100億円の規模で行ったとしても、400億円以上の株主還元が可能である。そこで、今期に加えて来期と再来期も1株当たり金280円程度の配当を継続して支払うことが期待される。そうすれば、三期合計で約363億円の株主還元となり、ROEが非常に低い一因である積み上がり過ぎた純資産を大幅に縮小させることも可能となる。

 

④ 政策保有株式の売却に係る定款変更の件

2018年3月31日現在で、当社が保有する政策投資株式は、24銘柄、計約387億円に上る。前記の通り、これらのうち主なものは、リクルート株式であり、2018年12月末の投資有価証券は約422億円である。

当社の2018年6月28日付にて提出された有価証券報告書によれば、政策保有株式の株式発行企業は、当社の取引先であり、保有の目的は「関係強化」と説明されている。取引先との関係を強化しても当社の株主価値が向上するとは考えがたく、また、株式を保有することがなぜ取引先との関係の強化につながるのかも理解しがたい。

また、前記のように、当社のROEは1%を下回って推移するなど極めて低い水準であり、低いROEの要因の1つとして多額の政策保有株式を保有していることが挙げられる。そもそも株式会社の目的は株主利益の最大化であり、そのためには、当社は低い資本効率性の改善を目指すべきであり、不稼働資産である政策保有株式を保有すべきではない。

当社が現在保有する政策保有株式を早期に全て売却し、さらにその他の投資有価証券も売却して、その売却代金を当社の株主価値向上のために使っていただきたいと考える。

 

以上