2019年ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査

チューリッヒ生命のプレスリリース

平成の30年間で日本人の働き方は大きく変わりました。平成が始まった当時はバブル期で、「終身雇用」「年功序列賃金」が定着し、働けば働くだけ稼ぐことができた時代だと言われていました。平成が終わる今、それらの考え方は覆され、働き方改革をはじめとする従業員の働きやすさを向上するための取り組みが政府主導で進められています。
チューリッヒ生命は、全国1000人のビジネスパーソンを対象に、昨年、一昨年に続きストレスについての調査を実施しました。調査では現在ビジネスパーソンが抱えているストレスの有無、原因のほか、働き方改革や大型連休についてのアンケートを実施しました。その結果、ストレスの原因は変化しつつも、日々、ストレスと向き合うビジネスパーソンの姿が見えてくる結果となりました。

【調査結果サマリー】
・ポイント1 過去3年でストレスを感じている人は最高に。ビジネスパーソンのストレスの要因は!?
ビジネスパーソンの8割近くがストレスを感じており、過去3年間の調査で最高値となりました。その原因は「仕事内容」が1位となる一方、「仕事の量が多い」「同僚・上司との人間関係」の順位が下がる結果に。働き方改革や高まるコンプライアンス意識の影響でしょうか。昨年、一昨年と比較をすると、ストレスを抱えている人は増えてはいるものの、ストレスの要因が変化している傾向にありました。
※ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査2017(https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2017/20170525
※ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査2018(https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2018/20180516

・ポイント2 働き方改革に取り組んでいるものの4割がストレス増。新たなストレスの種が生まれている?
働き方改革に取り組んでいる企業にお勤めの方のうち、4割が「ストレスが増えた」と回答。働き方改革を推進しているにもかかわらず、かえってストレスが増えている人も多いことがわかりました。要因として、業務管理が厳しくなったり、これまで出ていた残業代がなくなったことで収入が減ってしまったりと、働き方改革の影響で新たなストレスの種が生まれていることがわかります。

・ポイント3 大型連休直前!しかし、大型連休をストレスに感じる人も4割。
今年は10連休がありますが、大型連休を嬉しいと思っている人は6割となり、ストレスと感じている人が約4割もいることがわかりました。理由として「休みが長く仕事に支障が出る」「出勤日が減るため収入減となる」といったものがあり、ゆっくり仕事を忘れて休むわけにいかない人が多いようです。

【調査概要】
1. 調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
2.調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳~59歳の有職者を対象に実施
3.有効回答数:1000人(20代・30代・40代・50代、男女:各125人)
4.調査実施日:2019年4月4日(木)~2019年4月5日(金)

Q1. あなたは、勤め先でどの程度ストレスを感じているかお答えください。(単数回答)n=1000

勤め先で、どの程度ストレスを感じているかお聞きしたところ、ストレスを感じている人は全体で76.1%(内「非常にストレスを感じている」人は28.3%)でした。男女別に見ると男性は73.4%、女性は78.8%という結果となりました。昨年と比較をすると、男性は71.6%、女性は75.2%と、若干ではあるもののストレスを感じている人が増えていることがわかります。性年代別で比較をすると、昨年から引き続き男性では40代(「ストレスを感じている」人は80.0%)、女性では20代(「ストレスを感じている」人は83.2%)にストレスを感じている人が多いことがわかりました。一方、「ストレスを感じている」20代男性は昨年の71.2%から64.8%と減少しており、同じ20代でも女性の方がストレスを抱えやすい環境にあるようです。

Q2. あなたの勤め先で、ストレスの原因になっていると感じることをお答えください。(複数回答)n=919

次に、前問で「ストレスは感じていない」と回答した人以外に、勤め先でストレスの原因になっていると感じることをお聞きしました。1位は「仕事の内容」、次いで「給与や福利厚生などの待遇面」となりました。過去2年間1位だった「上司との人間関係」は、今年は4位となりました。ストレスの原因として上司との関係に悩んでいる人が減っているのは良い傾向ではないでしょうか。パワハラへの規制が厳しくなっていることなども関係しているのかもしれません。また、「仕事の量が多い」は3年続けて順位が下がっています。これは社会的に働き方改革が進められている影響でしょうか。ストレスを感じている人は増えているものの、その原因は年々変化してきていることがわかります。

Q3. あなたが、仕事のストレスについて話を聞いて欲しいと思う男性有名人・女性有名人をそれぞれお答えください。(単数回答)n=1000

仕事のストレスの話を聞いてほしいと思う有名人についてお聞きしたところ、男性が選ぶ“男性有名人”1位は「マツコ・デラックス」さん、“女性有名人”は3年連続で「水卜麻美」さんとなりました。一方、女性が選んだ“男性有名人”は昨年同様「マツコ・デラックス」さん、“女性有名人”は「真矢ミキ」さんが昨年3位から上昇し、1位となりました。また、女性が選ぶ“男性有名人”2位に「内村光良」さんがランクインしました。2年連続で紅白歌合戦の総合司会を務めるなど、頼りがいのあるイメージを持つ人が増えているのかもしれません。男性有名人は思っていることをストレートに伝える方や博学な方がランキング上位を占め、女性有名人では朝の情報番組で司会をしている方や“癒し系”と言われる方がランキング上位となりました。

Q4. あなたがお勤めの会社は働き方改革に取り組んでいるかお答えください。(単数回答)n=1000

昨今、働き方改革について様々な企業で取り組みが進められており、今年の4月から順次、働き方改革関連法の施行が開始されています。そこで、現在お勤めの会社で働き方改革に取り組んでいるかをお聞きしました。すると、「取り組んでいる」と回答した人は35.7%という結果となりました。メディアでも働き方改革についての内容を目にすることが増えましたが、実際に取り組んでいる企業はわずか4割弱にとどまる結果となりました。

 

Q5. 「働き方改革」として取り組んでいる内容をお答えください。(複数回答)n=357

次に、「働き方改革に取り組んでいる」と回答した人に対して、具体的に取り組んでいることをお聞きしました。1位「残業削減」56.6%、2位「労働時間の削減」40.9%となり、労働時間の短縮化に取り組む企業が多く見られました。一時期、長時間労働や深夜残業が問題となりメディアでも多く取り上げられていました。そういった影響もあり、社会的にも、より従業員のワークライフバランスを整える動きが出始めているのかもしれません。一方、3位・4位の「働く時間・場所の多様化」や6位「出産育児手当の充実」と回答した人もいらっしゃいました。採用面においても売り手市場である今、優秀な人材を獲得するために多様性を認め、従業員が働きやすいと感じる環境作りに注力する企業が増えているのでしょう。

Q6. 働き方改革によって、取り組み前と比較してストレスはどのように変化しましたか。(単数回答)n=357

Q4で勤め先が働き方改革に取り組んでいると回答した人に対して、取り組み前と比較してストレスがどのように変化したかを聞きました。男女、全年代でストレスが減ったと感じている人が過半数以上となりました。特に20代の女性の7割以上はストレスが減ったと感じています。Q1では、最もストレスを感じている年代でしたが、働き方改革により、労働環境が改善してきているのかもしれません。一方、ストレスが増えたと感じている人も半数近くおり、30代男性では4人に1人が「とてもストレスが増えた」と回答しました。働き方改革が、必ずしも全ての働く人にとって、仕事のストレス低減に結びついているわけではないようです。

Q7. 働き方改革の取り組みによって感じるストレス要因をお答えください。(複数回答)n=357

次に、働き方改革の取り組みによるストレスの要因を聞いたところ、1位「勤務・業務管理が厳しくなったこと」33.3%、次いで「収入が減ったこと」26.3%、「スケジュールが調整しづらいこと」23.8%という結果となりました。特に男性50代は「業務管理が厳しくなったこと」が40.0%と他の世代より高くなっています。管理者は部下の労働時間削減のために、これまでとは仕事の進め方を変える必要があったり、会社で終わらなかった仕事を持ち帰り、自宅等で仕事をしたりしている人も多いのかもしれません。一億総活躍社会の実現に向けて政府主導で進められている働き方改革ですが、まだまだ課題は多く、働き方改革によってストレスを感じている人も半数近くいることから、根本的な解決には至っていないのかもしれません。

Q8.あなたは大型連休についてどう思いますか。(単数回答)n=1000

2019年の5月1日は新天皇が即位されることから国民の休日となり、それに伴い、今年のゴールデンウィークは10日間の大型連休になります。そこで、大型連休についてどのように思うかをお聞きしました。全体の6割以上が「嬉しい」と思っていることがわかりました。一方で4割弱の方は「ストレス」と感じており、必ずしも大型連休を歓迎している人だけではないようです。

Q9.前問で「嬉しい」、「ストレス」と回答した理由をお答えください。(複数回答)n=1000

前問で「嬉しい」と回答した人と、「ストレス」と回答した人にそれぞれ理由をお聞きしました。「嬉しい」と回答した方の理由1位は「ゆっくり休むことができる」、2位「ゆっくり眠ることができる」、3位「趣味に時間を費やせる」となりました。休息が足りていない、と感じている人が多いようです。「ストレス」と回答した人の理由1位は「どこに行っても混んでいる」、2位「仕事が休めない」、3位「出費がかさむ」となりました。また、ストレスの理由として「家事が煩雑となる」と答えた人は、男性が0.8%に対して女性が4.2%と差がありました。折角の連休なので、家族で協力して家事を分担できるとよいですね。